競楽XII本選出場者紹介〜井上ハルカ(サクソフォン)

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▼本選演奏曲
Stefano GERVASONI/Phanes II(2009-10/2013)
棚田 文紀/Mysterious Morning III(1996)

 

パリ留学中からずっと出場したいと思っていた競楽への出場が叶い、この度本選で演奏できることをとても嬉しく思っています。

鼓膜を様々に刺激する音が生み出す感じたことの無い感覚、魔法のような時間に魅了されてから、現代音楽作品に意欲的に取り組むようになりました。
今回本選で取り上げるのは、どちらもパリ国立高等音楽院にて大変お世話になった二人の先生の作品です。ステファノ・ジェルヴァゾーニ先生の《Phanes II》は、蝶の羽ばたきのような繊細さの中に、綿密なポリフォニーが書かれた作品です。棚田文紀先生の《Mysterious Morning III》は私が8年前に始めて本格的に取り組んだ現代音楽作品であり、サクソフォンの国際コンクールでも頻繁に取り上げられています。当時は演奏するのに必死だった記憶がありますが、今回は当時とは全く違ったアプローチの仕方を楽しみながら取り組むことができました。これらの作品の持つ魅力を感じていただければ幸いです。

◎プロフィール

ESA音楽学院、リヨン地方音楽院を経てパリ国立高等音楽院サクソフォン科、第三高等課程DAI現代音楽クラスを修了。ブーローニュ・ビヤンクール現代音楽コンクール2014にて審査員特別賞(部門最高位)を受賞。2012年度から2014年度までヤマハ留学奨学生。Mayer財団、ADAMI財団奨学生。サクソフォンを前田昌宏、ジャン=ドニ・ミシャ、クロード・ドゥラングルの各氏に、室内楽と現代音楽をイェンス・マクマナマ、へ=スン・カンの各氏に師事。ESA音楽学院講師。

 

▼予選演奏曲
坂田直樹/Tilt-Shift(2015)

競楽XII本選出場者紹介〜井上仁美(マリンバ)

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▼本選演奏曲
三木 稔 /マリンバの時(1968)
Ivan TREVINO/Electric Thoughts(2014)

 

コンサート楽器としての歴史が浅い打楽器にとって「現代音楽」は馴染みの深いジャンルです。そんな「現代音楽」に真正面から向き合い、楽譜を正確に、尚且つ自分なりに読み込むことの大切さを教えてくれる「競楽」で、本選に出場できますこと、心より嬉しく思います。

《マリンバの時》(三木稔)は世界的に有名なマリンバのための作品です。日本を代表するマリンバ奏者安倍圭子氏のために書かれ、ガムランの音列やリズムに影響を受けています。三木氏はマリンバの音を持続させるための「トレモロ奏法」が過剰であることを嫌い、この作品でも最低限しか使われていません。

《Electric Thoughts》(Ivan Trevino)はマリンバとCDのために書かれた作品です。電子音は伴奏としてバランスを保ちマリンバの響きを強化しており、シンプルながら美しい作品です。

マリンバという楽器の魅力を多面的に皆様にお伝えできたらと思っています。

◎プロフィール

3歳よりピアノ、13歳より打楽器を始める。東京芸術大学卒業、同大学院を修了。修了時に大学院アカンサス音楽賞を受賞。これまでに、マリンバ・打楽器を藤本隆文、故岡田眞理子、神谷百子、石井喜久子の各氏に師事。2012年、第7回安倍圭子国際マリンバアカデミーを受講、選抜者によるプレミアムコンサートに出演。2014年、万里の長城杯入賞。多数の新曲初演を始め幅広い分野で演奏活動を行う他、アウトリーチ活動や吹奏楽部の指導なども精力的に行う。また、音楽療法を学び演奏活動に生かす研究を重ねている。

 

▼予選演奏曲
三善晃/リップル 独奏マリンバのための(1999)

競楽XII本選出場者紹介〜小倉美春(ピアノ)

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▼本選演奏曲
石島 正博/REQUIEM for piano solo(2011)
Karlheinz STOCKHAUSEN/Klavierstück XIV(1984)

 

この度は、競楽の本選にて、敬愛する2人の作曲家の作品を演奏させていただくこととなり、嬉しく思います。

1曲目は、私の作曲の師でもある石島正博先生の《REQUIEM for piano solo》です。東日本大震災直後に作曲され、カトリックのミサに倣い6つの部分から成っています。静厳な世界の中、いつか必ず与えられるであろう光を求めて、祈り続けます。

2曲目は、STOCKHAUSEN《Klavierstück XIV》です。ブーレーズの60歳の誕生日に際し作曲され、合唱付きの版としてオペラ《Licht》の中にも組み込まれています。全てを包み込んでしまうような壮大さに圧倒されながら、強烈な光のもとへと向かっていきます。

私にとって現代音楽は、過去と未来を繋ぎとめ、「いま、この瞬間に」存在していることを認識するためのものとなっています。本選のステージが、全ての方々にとって祈りの場になれば幸いです。

◎プロフィール

3歳より、ピアノ・ソルフェージュを始める。桐朋女子高等学校音楽科在学中、卒業演奏会等に出演。Stockhausen Festival(ミュンヘン)のピアノアカデミーに受講生として選抜され、ピエール=ロラン・エマール及びタマラ・ステファノヴィチ各氏のレッスンを受ける。桐朋学園大学主催第38回作曲作品展選出。現在桐朋学園大学音楽学部2年に在学中。ピアノを廻由美子、作曲を石島正博の各氏に師事。

 

▼予選演奏曲
Karlheinz STOCKHAUSEN/Klavierstuck(1952-1953)

卑弥呼とホームズのヴァイオリン事件簿〜第6回「無伴奏の署名」原田真帆

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こんにちは、ヴァイオリン弾きの原田真帆です。
『卑弥呼とホームズのヴァイオリン事件簿』第6回、大英博物館から連れてきたエジプトの猫のぬいぐるみと見つめ合いながらタイピングをしている卑弥呼がお送りいたします。卑弥呼ことヴァイオリン弾きの原田真帆です。

 

今回は「事件簿」というタイトルに似つかわしい内容を書いてみたいと思います。わたしなんぞが語るのはおこがましいのですが、今回はヴァイオリンという楽器がひとりでどこまでできるのかということを考えたいのです。

 

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松平頼曉によるレクチャー「リゲティ《Aventures》《Nouvelles Aventures》考察」11月27日(日)18:30より開催!

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1127日日18:30開演(受付:18:15)
会場:きゅりあん 4階 第2特別講習室 JR京浜東北線・東急大井町線・りんかい線、大井町駅 徒歩約1分

料金:1,000円(右記日本現代音楽協会に要予約)

講師:松平頼曉(日本現代音楽協会理事)

 

この2曲にはリゲティの特徴であった巨大なクラスターは殆ど現れない。12音音列のような音列が、クラスターの本質であるアモルフ(無定形態)に接近して使われている。ここに現れる音列や半音階、バルトーク作品からの引用、2曲の関係性など、日本現代音楽協会『NEW COMPOSER』Vol.12とVol.13に載せた、これらの分析に沿って、話を進めたい。

※『NEW COMPOSER Vol.12』をお持ちの方はご持参ください。当日会場で販売も行います。

 

電話で参加予約 ⇒ 03-3446-3506

E-mailで参加予約 ⇒ gen-on1930(a)jscm.net

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