フォーラムコンサート・レポート

第1夜:田口雅英/橘 晋太郎/高嶋みどり
第2夜:藤原嘉文/ロクリアン正岡

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第14回現代音楽演奏コンクール“競楽XIV”第1位受賞の言葉〜谷口知聡(ピアノ)

この度、「第14回現代音楽演奏コンクール“競楽XIV”」にて第1位という結果を頂き、本当に嬉しく思います。新型コロナウイルス感染拡大という困難な状況にも関わらず、徹底した感染対策のもとで演奏する機会を与えて頂きましたこと、審査委員の先生方をはじめ日本現代音楽協会の関係者の皆様に、深く感謝申し上げます。

この“競楽”というコンクールは、現代作品の演奏を学ぶ身にとって、現代音楽を第一線で牽引されてきた作曲家・演奏家の先生方に、演奏を直接聴いて頂くことのできる大変貴重な機会であり、このコンクールで演奏すること自体が、私にとってはとても特別なことでした。それに加えて、このコンクールの大きな特徴である、演奏する楽器や編成に制限がないこと、ソロでも団体でも参加できることから、普段なかなか聴くことのできない作品の演奏に触れることができると同時に、出場にあたって自分の楽器の特徴や魅力について改めて向き合うきっかけともなり、多くを学ばせて頂きました。

今回2回目の挑戦で初めて本選に進むことができたのですが、初めての挑戦から今日に至るまでの2年間、私を成長させて頂いたのは、御世話になっております先生方の御指導と、なにより作品との出会いだと感じております。特に本選で演奏致しました、権代敦彦さんの《耀く灰》は、3年前に初めて聴いてからずっと虜になり続けている作品で、この作品との出会いがなければ、今回このような賞を頂くこともできなかったと思います。

今回の受賞をきっかけに、より多くの方、そして作品に出会うことができますならば、それほど幸せなことはありません。私自身、未熟で学ぶことが山積みですが、これから微力ながら少しでも現代作品の演奏に携わらせて頂けるよう、より一層精進してまいります。

 

▼第14回現代音楽演奏コンクール“競楽XIV”審査結果はこちら

第37回現音作曲新人賞受賞の言葉〜根岸宏輔

この度、第37回現音作曲新人賞を受賞しました根岸宏輔と申します。

今回、音楽として未熟な作品であるにもかかわらず、フルートの多久潤一朗さん、クラリネットの菊地秀夫さん、ヴィオラの甲斐史子さんという豪華な演奏家によって、東京オペラシティという素晴らしいホールで拙作を演奏していただけたこと、そして何より新人賞・聴衆賞をいただけたことを、とても嬉しく思います。

この作品を作曲する際、音の微細な動きと少ない音数の中で素敵に響くよう常に心掛け、それでいて容易に掴み取ることの出来ないような繊細な音の世界を表現できるよう努めました。一人の作曲家として、自分にしか表現できない音楽を作曲することが目標であり、今回の機会は、その目標の実現のためには非常に重要なものであったと感じます。

リハーサルの段階では、演奏家を記譜の中に拘束しようとしていましたが、コンサート当日での自由で洗練された演奏には圧巻の表現力と説得力があり、演奏時間十数分の間、思わず呼吸を忘れる程聴き入ってしまいました。まさに「自分よりも自分の作品を理解している演奏家」を見たような初めての感覚でした。それと同時に、自分の記譜能力の低さを痛感しました。そういった無責任な書法であっても、一つの芸術作品として完成させてくださった演奏家の方々には頭が上がりません。

それらの体験を含め、実際に演奏されることで、学べるものや得られるものの多さを改めて認識することが出来ました。

また、自分以外の入選者の方々の作品を間近で聴き、いくつか譜面を見せていただけたことで、自分には生み出せない音が多く見受けられ、とても勉強になりました。そういった機会をいただけたことも、非常に有り難く思います。

今日のように、開催が危ぶまれるような情勢であっても、新しい音楽が生み出され、演奏されるということは、現代音楽の発展や若い作曲家の成長という側面において素晴らしいことであると身をもって感じました。そこにはやはりコンサート運営関係者の、徹底した配慮が必要不可欠であり、そういった方々の慎重な対応の下で、実際にコンサートが開催され、作品を演奏していただけました。拙作に関わってくださった全ての方々に感謝しております。

今後も音楽活動を続けていこうという自信になりました。

ありがとうございました。

▼第37回現音作曲新人賞審査結果はこちら

第14回現代音楽演奏コンクール“競楽XIV”第1位にピアノの谷口知聡さん

戦後に作曲された現代音楽作品の演奏を競う「第14回現代音楽演奏コンクール“競楽XIV”本選会」(主催:日本現代音楽協会、審査委員長:北爪道夫)が2020年12月13日(日)11時15分より、東京都渋谷区のけやきホールに於いて行われ、谷口知聡(たにぐち・ちさと)さん=ピアノ=が第1位となりました。

第2位は山口芽依さん=打楽器=、3位は神原颯大さん=ピアノ=。

審査委員特別奨励賞にDuo TOPOS=ピアノ四手=が選ばれました。

講評、結果発表に続いて、表彰式が行われました。

 

前列左から、齋藤里菜(マリンバ)、中山美輝(打楽器)、山口芽依(打楽器)、谷口知聡(ピアノ)、神原颯大(ピアノ)、Duo TOPOS(ピアノ四手/瀧山晃弘・寺長根ミカ) 後列左から、猿谷紀郎審査委員、渡辺俊哉日本現代音楽協会事務局長、吉原すみれ審査委員、近藤譲日本現代音楽協会理事長、北爪道夫審査委員長、井口みな美(ピアノ)、柴田解審査委員、中村栄宏(リコーダー)、中川俊郎審査委員、カメハ(打楽器デュオ/永野雅晴・永野仁美)、露木孝行一般社団法人日本音楽著作権協会常任理事、中村淳(フルート)、古賀優(打楽器)、安藤巴(打楽器)

 

第14回現代音楽演奏コンクール“競楽XIV”

主催:日本現代音楽協会

審査委員:
北爪道夫(作曲家・日本現代音楽協会理事/審査委員長)
猿谷紀郎(作曲家)
柴田 解(NHK音楽・伝統芸能番組チーフ・プロデューサー)
中川俊郎(作曲家・ピアニスト・日本現代音楽協会理事)
吉原すみれ(打楽器奏者)
※50音順

日程:
予選 2020年11月13日(金)14日(土)
本選 2020年12月13日(日)

全56組参加 ※ソロも1組と数える。

会場:
けやきホール(古賀政男音楽博物館内/東京都渋谷区上原)

 

 

■第1位(日本現代音楽協会より賞状と賞金30万円)

谷口 知聡(たにぐち ちさと)ピアノ

桐朋女子高等学校音楽科を経て、現在桐朋学園大学音楽学部に在学中。ピアノを廻由美子氏に師事。これまでに、カワイ音楽振興会主催〈桐朋学園ランチタイムコンサート 2020-2021〉や銀座山野楽器主催〈銀座音大フェスティバル 2016〉などに出演。また、2016 年 JML主催日独青少年交流コンサートに出演、翌年 Jugent musiziertよりドイツに招待され、ドイツ各地で演奏する。2018年には同演奏会及びその他東京と横浜で行われた演奏会で、ドイツの演奏家と共演。これまでに室内楽を堤剛氏と松谷園子氏に師事した他、Pascal Devoyon氏、Sébastien Vichard氏のレッスンを受ける。

本選演奏曲:
Tristan Murail/Cloches d’adieu, et un sourir e… in memoriam Olivier Messiaen(1992)
権代敦彦/ピアノのための 耀く灰(2008)

 

 

■第2位(日本現代音楽協会より賞状と賞金10万円)

山口 芽依(やまぐち めい)打楽器

埼玉県立芸術総合高等学校音楽科卒業。武蔵野音楽大学ヴィルトゥオーソ学科卒業。第34回日本管打楽器コンクールパーカッション部門第3位受賞。第22回松方ホール音楽賞選考会打楽器部門音楽賞受賞。大学4年次(2019年)、東京国際音楽協会助成による山口芽依パーカッション&ヴィブラフォンソロリサイタルを開催。現在、武蔵野音楽大学別科在籍。打楽器を秋田円美、吉原すみれ、ラテンパーカッションをカルロス菅野、山北健一、ジャズヴィブラフォンを山本玲子の各氏に師事。

本選演奏曲:
Christpher DEANE/Mourning Dove Sonnet(1983)
福士則夫/ソロ・パーカッションのための グラウンド(1976)

 

 

■第3位(日本現代音楽協会より賞状と賞金5万円)

神原 颯大(かんばら そうだい)ピアノ

4歳よりピアノ17歳より作曲を学ぶ。東京藝術大学附属音楽高等学校ピアノ科、東京藝術大学作曲科を経て現在同大学大学院音楽研究科修士課程作曲専攻1年。これまでに30曲以上の新作初演に携わる。第6回大阪ジュニアピアノコンクール最優秀賞。シティ・オブ・大阪シンフォニアと共演。第24回彩の国・埼玉ピアノコンクール高校生部門金賞、埼玉新聞社賞。第9回ロザリオ・マルチアーノ国際ピアノコンクール課題曲特別賞。第20回日本演奏家コンクール大学生部門第2位。現在作曲を小鍛冶邦隆氏、ピアノを中井正子氏、松山元氏に師事。

本選演奏曲:
間宮芳生:ピアノ:ソナタ第2番(1973)

 

 

 

■入選(本選演奏順)

Duo TOPOS(でゅお とぽす/寺長根ミカ・瀧山晃弘)ピアノ四手

本選演奏曲:
Wolfgang RIHM/Klavierstück Nr.3 für zwei Spieler op.8c(1971)
渡辺俊哉/透かし織り openwork for 4 hands(2012)

 

中山 美輝(なかやま みき)打楽器

本選演奏曲:
山根明季子/Poppi Cue Popper Key for percussion(2012)
稲谷祐亮/《dia-Monolog/mono-Dialog》自問、渦渦渦. . . for Cajon solo(2018)

 

齋藤 里菜(さいとう りな)マリンバ

本選演奏曲:
末吉保雄/マリンバのための ミラージュ(1971)
Paul FOWLER/Michiyuki for 5-octave marimba(2002)

 

 

■審査委員特別奨励賞(賞状と一般社団法人日本音楽著作権協会より表彰楯授与)

Duo TOPOS(でゅお とぽす/寺長根ミカ・瀧山晃弘)ピアノ四手

 

第37回現音作曲新人賞に根岸宏輔さん

前列左から、紺野鷹生(入選)、山田大貴(入選)、室元拓人(入選)、根岸宏輔(第37回現音作曲新人賞/聴衆賞)、岡本伸介(入選)。後列左より、渡辺俊哉日本現代音楽協会事務局長、松平頼曉審査員、久留智之審査員長、近藤譲日本現代音楽協会理事長、徳永崇審査員。

講評、結果発表を行う久留智之審査員長

特定非営利活動法人日本現代音楽協会(理事長:近藤譲)は、2020年12月4日(金)19:00より、東京オペラシティリサイタルホールに於いて〈現代 Music ou Our Time 2020〉「第37回現音作曲新人賞本選会」(審査員長:久留智行、審査員:徳永崇、松平頼曉)を開催し、譜面審査会において入選した5作品の演奏審査を行いました。
厳正な審査の結果、根岸宏輔(ねぎし・こうすけ/1998年生まれ)さんの《仄めく幻影の その揺曳する挙動》が2020年度「第37回現音作曲新人賞」に選ばれました。
演奏、審査に続いて表彰式が行なわれ、近藤譲理事長より賞状と賞金15万円が授与されました。
また聴衆賞にも同作が選ばれました。
なお、2021年度の「第38回現音作曲新人賞」は、森田泰之進日本現代音楽協会理事が審査員長を務め、募集テーマは「差異(ディスタンス)を越えて」で、独奏から三重奏の作品を募集します。募集要項は2021年1月頃に発表します。

※応募総数23作。一次審査(譜面審査):2020年9月22日(火)

 

 

第37回現音作曲新人賞本選会結果
2020年12月4日[金]19:00開演 東京オペラシティリサイタルホール

■第37回現音作曲新人賞
賞状、賞金15万円
根岸宏輔(ねぎし・こうすけ)
《仄めく幻影の その揺曳する挙動》
演奏:多久潤一朗(フルート)菊地秀夫(クラリネット)甲斐史子(ヴィオラ)

■入選(表彰状)
紺野鷹生(こんの・たかお)《二つの反影》
山田大貴(やまだ・だいき)《プラズマ》
室元拓人(むろもと・たくと)《Tokara Evoke》
岡本伸介(おかもと・しんすけ)《Barcarolle from Inland Sea》

■聴衆賞(賞状)
根岸宏輔(ねぎし・こうすけ)
《仄めく幻影の その揺曳する挙動》

※入選者は本選演奏順に記載してあります。全作新作初演。