〈現音 Music of Our Time 2024〉「ペガサス・コンサートVol.VI」選考結果について

 日本現代音楽協会は、現代音楽の上演に積極的な演奏家を支援すべく、音楽祭〈現音 Music of Our Time 2024〉の中で「ペガサス・コンサート・シリーズ」と銘打った、演奏家自身が企画・出演するリサイタルを2公演、募集致しました(締め切り2024年2月29日)。
 2024年3月17日、佐藤昌弘、糀場富美子、斉木由美、渡辺俊哉各理事が選考を行いました(オブザーバー:近藤譲理事長)。厳正なる選考の結果、以下の2企画を選出し、音楽祭において開催することとなりました(なお、下記プログラムでの作曲者名と曲名については、応募者による表記をそのまま用いています)。
 選考にあたっては、1)原則的に1945年以降に作曲された作品であること、2)3分の1以上が日本人作品であること、3)世界初演または日本初演を含むこと、という募集条件に加え、優れた演奏技能と演奏表現力を有しており、かつ、企画のコンセプトとプログラミングの創造性、独自性の豊かさ、そして、一夜の演奏会としてのまとまりを十分に備えていることを選考基準としました。
 なお、日本現代音楽協会は「ペガサス・コンサート・シリーズ」を来年度以降も〈現音 Music of Our Time〉音楽祭の中で継続開催する予定です。

 

〈現音 Music of Our Time 2024〉2024年11月28日~12月22日

ペガサス・コンサート・シリーズ Vol. VI 全2公演

(1) 山本昌史(コントラバス)「無伴奏コントラバスの小宇宙」 
2024年12月5日(木)19時開演予定|東京オペラシティ リサイタルホール
【出演】山本昌史(コントラバス)
▼演目
Jacob Druckman/Valentine(1969)
Iannis Xenakis/Theraps(1976)
平義久/Convergence II(1976)
一柳慧/空間の生成(1985)
Brian Ferneyhough/Trittico per G.S.(1989)
Daniel D’Adamo/Ombres portées(2017/日本初演)
北爪道夫/新作(2024委嘱初演)

(2) 久保田晶子(薩摩琵琶)「那由多の月」
2024年12月6日(金)19時開演予定|東京オペラシティ リサイタルホール
【出演】久保田晶子(薩摩琵琶)
【助演】⿊田鈴尊(尺八)松平敬(歌)篠田浩美(パーカッション)
▼演目
古典曲/敦盛 武満徹/蝕〜エクリプス(1966年)琵琶, 尺八
間宮芳生/奥浄瑠璃 琵琶に磨臼(1997年)琵琶, 歌
藤倉大/Half Moon(2022年初演)琵琶
向井響/新作(2024委嘱初演)琵琶
山本和智/新作(2024委嘱初演)琵琶, パーカッション

現音 Music of Our Time 2024 日程(全8公演)
[1]第16回現代音楽演奏コンクール“競楽XVI”予選第1日|2024年11月21日(木)
[2]第16回現代音楽演奏コンクール“競楽XVI”予選第2日|2024年11月22日(金)
[3]フォーラム・コンサート第1夜|2024年11月28日(木)
[4]フォーラム・コンサート第2夜|2024年11月29日(金)
[5]ペガサス・コンサート(1) 山本昌史(コントラバス)|2024年12月5日(木)
[6]ペガサス・コンサート(2) 久保田晶子(薩摩琵琶)|2024年12月6日(金)
[7]第41回現音作曲新人賞本選会|2024年12月19日(木)
[8]第16回現代音楽演奏コンクール“競楽XVI”本選会|2024年12月22日(日)
【会場】東京オペラシティ リサイタルホール([1][2][8]の“競楽”はけやきホール)

※上記企画内容は2024年4月現在のものであり、変更となる場合があります。

岩瀬龍太クラリネットリサイタル3月4日ベヒシュタイン・セントラム東京ホールで開催!「演奏家+作曲家コラボレーションシリーズ」

演奏家+作曲家コラボレーションシリーズ
岩瀬龍太クラリネットリサイタル
+ Live Streaming & Archive Viewing

2024年34日(月)18:30開場 19:00開演
ベヒシュタイン・セントラム 東京 ホール
東京メトロ日比谷線「日比谷」駅A9出口直結
JR山手線「有楽町」駅日比谷口徒歩5分)

制作:佐藤昌弘

 

全曲新作初演
寺本青空/なにもしなくたって…  cl
小林由直
/クラリネット独奏のためのクラ・クラ・クラ〜リネット  cl
前川貴雄/モノローグとタランテラ  cl
ロクリアン正岡/透明な魂/歪んだ生  cl, pf
伊藤高明/OBJECTs253  cl
橘 晋太郎/Cascade  cl, pf
佐藤昌弘/Novelette  bass cl, pf

●ピアノ:川村恵里佳

 

インターネット配信実施
ネット視聴チケット(¥1,000)をご購入の上こちらで視聴申込みを行って頂くと、リサイタル翌日から10日間、公演の録画映像をご視聴頂けます。3月3日(日)までに視聴申込みを完了した方は生配信でもご覧になれます。なお、視聴者の受信環境や、配信システムのトラブルにより、映像や音声の乱れ、公演の一時中断、途中終了の可能性があります。予めご了承ください。

 

Ticket Information

クレジットカード、コンビニ払い、キャリア決済、銀行振込、Amazon Pay、Pay-easyで購入可

▼座席チケット 全自由席 ※未就学児入場不可
一般2,500円ネットで購入
学生1,000円ネットで購入

▼ネット視聴チケット
1,000円ネットで購入

電話で購入 ⇒ 03-6417-0393(日本現代音楽協会/月-金 10:00-17:00)

 

主催:特定非営利活動法人日本現代音楽協会(国際現代音楽協会日本支部)
後援:一般社団法人日本音楽作家団体協議会

 

岩瀬龍太(いわせ・りゅうた)東京都出身。桐朋学園大学音楽学部卒業、同大学オーケストラアカデミーを修了したのち渡欧、ベルギーのアントワープ王立音楽院とモンス王立音楽院に学ぶ。これまでに、ピエトロ・ アルジェント国際音楽コンクール(室内楽)第1位。マルコ・フィオリンド国際音楽コンクール(室内楽)第3位。パドヴァ国際音楽コンクール(室内楽)第3位。夏期国際音楽アカデミー(ウィーン)においてバルトーク賞を受賞。ウィーンモデルン現代音楽祭をはじめ数々の音楽祭に招聘。19年には新作を含むバスクラリネット独奏曲のみによるリサイタルを行うなど、クラリネットのための作品を現代の作曲家へ委嘱・ 初演し、新たなレパートリーの開拓に意欲的に取り組んでいる。現在、Phidias Trio Tokyo、Ensemble Platypus(ウィーン)のクラリネット奏者。

智内威雄ピアノリサイタル3月21日箕面市立メイプルホール大ホールで開催!「演奏家+作曲家コラボレーションシリーズ」

 

現音 in 関西 vol.10 演奏家+作曲家コラボレーションシリーズ
智内威雄ピアノリサイタル
+ Archive Viewing

2024年321日(木)18:30開場 19:00開演
箕面市立メイプルホール 大ホール(阪急箕面線「箕面」駅下車7分)

制作:近藤浩平

 

全曲新作初演
中村滋延/《修羅の肖像》左手のためのピアノ曲
近藤浩平/「声明とコラールの記憶」左手のために 作品225
大野和子/Ne 〜for left hand
北條美香代
/花弁雪 ~はなびらゆき~ 左手のための
諸橋玲子/あわひII for piano (left hand)
飛田泰三/空に触れる
増田建太/前奏曲と後奏曲
宋詞/Tocatta for left hand
平良伊津美/春の嵐 ~左手のピアノ曲~
田丸彩和子/南西からの風 ~左手のために~ ※演奏順未定

 

インターネット配信実施
ネット視聴チケット(¥1,000)をご購入の上こちらで視聴申込みを行って頂くと、リサイタル翌日から10日間、公演の録画映像をご視聴頂けます。なお、視聴者の受信環境や、配信システムのトラブルにより、映像や音声の乱れ、公演の一時中断、途中終了の可能性があります。予めご了承ください。

 

Ticket Information

クレジットカード、コンビニ払い、キャリア決済、銀行振込、Amazon Pay、Pay-easyで購入可

▼座席チケット 全自由席 ※未就学児入場不可
一般2,000円ネットで購入
学生1,000円ネットで購入

▼ネット視聴チケット
1,000円ネットで購入

電話で購入 ⇒ 03-6417-0393(日本現代音楽協会/月-金 10:00-17:00)

 

主催:特定非営利活動法人日本現代音楽協会(国際現代音楽協会日本支部)
共催:一般社団法人ワンハンドピアノミュージック
後援:一般社団法人日本音楽作家団体協議会、一般社団法人全日本ピアノ指導者協会(ピティナ)

 

智内威雄(ちない・たけお):埼玉県蕨市生まれ、大阪府箕面市在住。東京音楽大学在学中にイタリア・ミラノにて研鑽を積む。卒業後、ドイツ国立ハノーヴァー音楽大学に入学。グリーグ国際コンクール、マルサラ国際コンクールに入賞受賞するが、右手に局所性ジストニアを発症。03年に左手のピアノ音楽と出会い「左手のピアニスト」として活動開始。日本と外国を行き来しながら各地でピアノコンサートを行っている。芸術振興事業とともに教育福祉事業を手がけ、08年『ザ・ドキュメント 心に響く命の音』(フジテレビ系・関西テレビ)、13年NHK『ETV特集』でドキュメンタリーが放映され、大きな反響を呼ぶ。18年世界初となる左手のピアノ国際コンクール主催。現在、一般社団法人ワンハンドピアノミュージック代表理事、「左手のアーカイブ」プロジェクト代表。

第40回現音作曲新人賞受賞の言葉〜魯戴維

この度は、第40回現音作曲新人賞を受賞し、大変光栄に思っております。今回は、クラリネットとサックスのための二重奏という編成で作品を創作しました。以前にはクラリネットソロやサックソフォン四重奏の編成で作曲した経験がありましたが、今回は初めてデュオの形式で作曲し、クラリネットとサックソフォンの組み合わせの可能性を探求しました。クラリネット奏者の菊地秀夫氏とサックソフォン奏者の坂口大介氏と共に、リハーサルを通じて奏法と音響の組み合わせの実験を行い、多くの貴重な意見を頂きました。他の方々の作品や審査員の先生方の講評を拝聴し、たくさんの勉強ができて、嬉しい限りでした。

私は作曲家として、最近関心を持っている分野の一つは、伝統的な音楽形式の拡張です。子供の頃から耳に馴染んでいた「タンゴ」に着目し、この賞に応募して作品を書きました。作中では、リズム以外に、「タンゴ」の音楽形式を想起させる音楽要素は殆ど使いませんでした。一方、この作品で一番探求したのは、「タンゴ」という単語に含まれる、音楽以外の意味です。「タンゴ」という単語の発音を聞く度に、ピアソラなどのタンゴの名曲が頭に響くかもしれませんが、よく考えてみれば、「タンゴ」は舞曲のジャンルとして、視覚的な要素も含んでいるかもしれません。例えば、タンゴに関するコンサートチラシ、アルバムの表紙、ファインアーツ、あるいはアニメ風のイラストには、よく舞者の二人が少し大げさなジェスチャーで踊る様子が描かれています。私はこの作品に、音楽慣習としてのタンゴを再現するのではなく、むしろ「タンゴ」が持つ他の側面や象徴的な意味を模索し、音楽を通じてその表現を試みました。具体的には、2人の舞者(ここでは、2つの性格の近い楽器によって象徴されています)が身体のジェスチャーを通じて、互いに配合する様子を音楽で描きました。

ちなみに、この作品のタイトルが単に「タンゴ」(Tango)ではなく、スペイン語の定冠詞エル(El)が付いた、「エル・タンゴ」(El Tango)、つまり英語の「The Tango」の意味となっています。その理由は、この作品は音楽としてのタンゴではなく、象徴としてのタンゴを追求する作品であるためです。

私は、どの音楽のジャンルの背後にも、その音楽以外の象徴があると考えます。異なるアプローチで既存のジャンルを探求することは、私にとって大変有意義だと思います。すでに耳に馴染んでいた伝統音楽を解体し、その中の象徴するものを探求し、または「脱構築」することは、現在の私の音楽の思考方向の一つであり、このコンクールのお陰で、色々な実験ができました。

最後に、このコンクールに携わる方々、奏者たち、コメントを頂いた審査員の先生方と参加者・聴衆の方々に深く感謝いたします。この機会を通じて得た経験は、これからの創作の道でも活用したいと思います。

 

▼第40回現音作曲新人賞審査結果はこちら

「ペガサス・コンサート Vol.VI」リサイタル企画&主演者募集!

募集要項のpdfはこちら