第30回現音作曲新人賞入選者発表

2013年7月27日(土)午後4時より日本現代音楽協会事務所に於いて、第30回現音作曲新人賞の二次審査が行われ、末吉保雄審査員長、名倉明子・藤井喬梓審査員による厳正な審査の結果、下記の4作品が新人賞候補作品に選ばれました。

11月6日(水)東京オペラシティリサイタルホールにて行われる「第30回現音作曲新人賞本選会」に於いて、演奏審査により新人賞受賞作を決定します(18:30開演予定)。賞金15万円。審査員特別賞「富樫賞」10万円。

 

■入選者(五十音順)

伊藤 巧真(Takuma ITO)
《ものろ・雲・のろぐ》(2013)[編成:Bariton, Tuba]
1987年生まれ。福島大学大学院人間発達文化研究科地域文化創造専攻芸術文化領域(作曲)修了。第17回東京国際室内楽作曲コンクール第2位。作曲を嶋津武仁氏に師事。

川崎 真由子(Mayuko KAWASAKI)
《ピアノ~小笠原鳥類の詩による〜》(2013)[編成:Soprano, Bass Clarinet]
1989年生まれ。国立音楽大学大学院作曲専攻在籍。奏楽堂日本歌曲コンクール第18回作曲部門一般の部第3位。作曲を菊池幸夫氏、音楽理論を山口博史氏に師事。

平野 一郎(Ichiro HIRANO)
《海の幸・天平の面影〜蒲原有明の詩に拠る、ソプラノとピアノの為の二連画》(2013)[編成:Soprano, Piano]
1974年生まれ。京都芸術大学大学院作曲専攻修了。ISCM世界音楽の日々2008ヴィリニュス大会入選。作曲を廣瀬量平、中村典子、北爪道夫、F.ドナトーニ各氏他に師事。

山下 祐加(Yuka YAMASHITA)
《ソプラノとピアノのための練習曲「五十音」》(2013)[編成:Soprano, Piano]
1987年生まれ。東京藝術大学大学院修士課程修了。現在東京成徳短期大学非常勤講師、東京藝術大学教育研究助手。作曲を尾高惇忠、日野原秀彦の各氏に師事。

 

▼応募総数:28作品

▼一次審査(譜面審査)
日時:2013年7月18日(木)15:00
場所:日本現代音楽協会事務所
通過作:9作品

▼二次審査(一次審査通過作品の作曲者によるプレゼンテーション)
日時:2013年7月27日(土)16:00
場所:日本現代音楽協会事務所
通過作(入選作):4作品

第30回現音作曲新人賞一次審査(譜面審査)結果

2013年7月18日(木)午後3時より日本現代音楽協会事務所に於いて、第30回現音作曲新人賞の譜面審査を行い、下記の9作品が一次審査通過となりました。7月27日(土)一次審査通過作品の作曲者によるプレゼンテーションを二次審査として行います(非公開)。

 

▼一次審査通過者/作品名 ※表記は作曲者名の五十音順

伊藤 巧真/ものろ・雲・のろぐ
加藤 めぐみ/朝の光
川浦 義広/アクセス・ポイント
川崎 真由子/ピアノ〜小笠原鳥類の詩による〜
小泉 香/心伝図
朴 炳五/49
平野 一郎/海の幸・天平の面影
廣田 はる香/幻影〜中原中也の詩による
山下 祐加/練習曲「五十音」

〈現音・秋の音楽展2013〉サテライト公演出演者公募

70年代の冒険と現代の展開
GEN-ON Contemporary Music Day in KUNITACHI

 

〜現音・秋の音楽展2013サテライト公演〜出演希望者公募

 

【演奏会日時】2013年10月26日(土)18時開演
※当日14時以降に90分程の最終リハーサルを予定しております。

【演奏会場】国立音楽大学内(玉川上水)

【演奏曲目】坪能克裕作曲「オカリナのためのコンヴェンション」(1972)

【初回リハーサル】2013年8月3日(土)13時開始
東京音楽大学(池袋)A地下100教室にて

 

音楽の専門家でない方やオカリナの初心者でも参加できます。
10月26日の演奏会に出演を希望される方は、8月3日(土)13時より東京音楽大学にて開催されます「図形楽譜による音楽づくりワークショップ」(ワークショップ・リーダー:坪能克裕)に参加することが条件となります。このワークショップは、「オカリナのためのコンヴェンション」の初回リハーサルも兼ねるものです。
ワークショップ参加と演奏会出演を希望される方は、オカリナを持参することが望ましいですが、希望者には楽器を使用日のみ貸与することも可能です。

 

【参加料】8月3日にワークショップ参加費として3,000円預かりますが、10月26日の演奏会に出演されますと、一律の交通費と預り金全額を加えた額を演奏料としてお返しします。

【募集人数】先着30名

【問い合わせ・申し込み先】
日本現代音楽協会事務局
TEL:03-3446-3506(平日10:00〜17:00)FAX:03-3446-3507
E-mail:80th (a) jscm.net

深澤舞*ボストン便り(11)

西海岸のビーチ。違う国に来たようでした。

西海岸のビーチ。違う国に来たようでした。

季節の移り変わりが早いとは言え、昨秋に寄稿させて頂いて以来、すっかり時間が経ちすぎてしまいました。ボストン・マラソンのテロからも、早いものでもうすぐ2ヶ月。6月に入って、こちらも梅雨のように雨が降り続いています。街には緑が溢れ、平和への祈りとともに、また穏やかな時間が積もっています。

先月、西海岸を旅行してきました。ボストンからロサンゼルスまで飛行機で飛び、そこからキャンピングカーに乗りヨセミテ国立公園、セコイア国立公園、ラスベガスを経てグランドキャニオンと、アメリカの大自然を周る10日間― その中で、印象的な音たちとの出会いがありました。

セコイアの森。地球上で最も大きな生命体とされる80mの巨木群が聳えます。

セコイアの森。地球上で最も大きな生命体とされる80mの巨木群が聳えます。

ロサンゼルス近くの海辺を散歩していた夜、ドアを開け放した民家のテラスに数人集まり、思い思いに太鼓を叩いたり笛を吹いたり、それに合わせて鼻歌のように歌を口ずさんだり・・バークリー音楽院のウエストコースト・ジャズの授業でヒッピー音楽にも少し触れ、何とも言えない湿度を帯びた魅力を感じたのですが、この時も、西海岸独特の開放的な土地と気候、そこに刻まれてきた歴史と音たち、全てがこの歌とゆるやかに溶け合い、波打っていました。セコイア国立公園に聳える、樹齢2000年を越す巨木の穏やかな葉擦れの音、グランドキャニオンに昇る朝日を背に飛び立つ鳥たちの羽音、 デスバレーの砂漠地帯で暮らす家族が焚き火を囲んで歌う優しい旋律 、サンタモニカの潤いに満ちた夜の海風、それぞれの地で生まれ、奏でられ、歌われてきた音楽たち・・全てがあまりにも自然に揺蕩い、「音」と「音楽」との境界を滲ませ、なくしているように思われました。

20億年の地層の底を流れ続けるコロラド川。

20億年の地層の底を流れ続けるコロラド川。

ここに生まれ育っていたら、どんな音に包まれ、どんな音楽を書いていたのだろうと想像を巡らせながら、そして音と音楽の境が消滅する、その淵への出逢いを求めて、まだ見ぬ様々な地へ、そして自分自身のルーツと音の中へと、旅への楽しみが膨らみます。

最終日に寄ったハリウッド、フランク・シナトラの手形もありました!

最終日に寄ったハリウッド、フランク・シナトラの手形もありました!

最後に、友人に教えてもらった動画をご紹介させて頂きます。たまたま同じ地下鉄に乗り合わせた2人のサックス奏者による、車内で始まった即興演奏。ニューヨークの魅力が溢れます。こちら、ボストンは今年もタングルウッド音楽祭のシーズンが始まりました。この季節になると 、紫陽花に乗っていた雨粒を、友だちと弾いて遊んだ通学路を懐かしく思い出します。美しい季節を、どうぞお元気にお過ごしください。

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(2013.6.12. Mai Fukasawa)

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上野信一打楽器ワークショップ報告〜渡辺俊哉

 

報告:渡辺俊哉(日本現代音楽協会会員)

 

打楽器ワークショップ

上野信一、悪原至

5月25日(土)に上野信一氏のスタジオにおいて、打楽器ワークショップが開かれた。

この企画は、これまでに作曲された打楽器作品の紹介、楽器の説明、新作公募を中心に据えることを上野信一氏が発案し、湯浅譲二・松平頼曉両現音名誉会員の賛同を得て私、渡辺俊哉がそのお手伝いをするという形で始まった。定員は30名だったが、定員を上回る申し込みがあり、このワークショップへの関心の高さが示された。

今後は、9月と12月(詳細な日時はまだ未定)にワークショップを開催し、来年の3月頃を目処に演奏会を開く予定である。今後2回のワークショップでは、作曲している曲(未完成でも構わない)やアイディアとなる素材を持ち寄り実際に演奏して音の確認をし、問題点などがあればそれについて作曲家と演奏家が、一緒に解決方法を見つけ出して行くといった内容も考えている。

松平頼曉、上野信一、渡辺俊哉、湯浅譲二

松平頼曉、上野信一、渡辺俊哉、湯浅譲二

会は上野信一氏、湯浅譲二氏、松平頼曉氏、私の座談会から始まったのだが、この座談会から浮かび上がったのは、作曲家と演奏家が一緒に作り上げていくことの重要性という事だった。特に打楽器の場合は非常に多くの種類と奏法があるため、それらを把握するためには演奏家の協力が欠かせない。当日湯浅譲二氏は、3種類のスーパーボールを持って来てタムタムを擦ってみて、大きさによって全く音色が違うことを実演してみせた。

対談後は、悪原至氏がフィリップ・ユレルの、上野信一氏がヤニス・クセナキスのを演奏、新野将之氏が彼のリサイタル映像(アクションを伴う楽曲)を見せることで、打楽器作品の多様性が示された。

この日のワークショップは、作曲の学生や打楽器の学生の参加者が多かった。こうした場で彼らや現音会員が知り合いになり、共に学び、新しい優れた打楽器作品が生まれてくるのであれば、この企画の意義はあったと言えるだろう。そのような機会を現音が、積極的に提供していくことは今後、益々重要になってくるのではないだろうか。