深澤舞*ボストン便り(12)

タングルウッドでのマチネ公演。開演前から大賑わいです。

タングルウッドでのマチネ公演。開演前から大賑わいです。

ボストンの街を通り抜ける穏やかな風が、少しずつ秋らしくなってきました。先日出かけたタングルウッド音楽祭への道中には、もう色づき始めた樹々もあり、短い夏がそろそろ終わりそうです。

Boston_photo_12bタングルウッド音楽祭、今回は1泊して、ジョン・ウィリアムズ指揮の映画音楽と、ハイティンク指揮の第九、景色もすっかり違う夜公演と昼公演を2日かけて楽しむことができました。まだ2歳の息子が一緒なので、今年も芝生席へ。開演よりだいぶ前から、皆思い思いにテーブルやピクニックシートを広げ、食事やワインを楽しみながら賑やかに開演を待つ光景と高揚感は、夏を迎える度に恋しくなりそうです。ジョン・ウィリアムズの公演の最後は、自身の代表作、スター・ウォーズやE.T.のメインテーマが演奏されたのですが、上空には満月が煌めき、誰の目にもE.T.が映っていることを確信できる、特別な瞬間でした。翌日も清々しい晴天で、前夜にも勝る人出でしたが、広々と連なる美しい丘にはまだたっぷりスペースが。自然の中に響き渡る第九は、音楽の神様の祝福が重なって聴こえてくるような、とても敬虔なものでした。終演後、 合唱団員の方が芝生席に来られ、迎えるご家族の拍手が、あたたかい余韻となっています。

月明かりの下でのコンサート。

月明かりの下でのコンサート。

MIT Music Library。新学期前なのでまだ人も少なく静かです。

MIT Music Library。新学期前なのでまだ人も少なく静かです。

そして先日、MIT(マサチューセッツ工科大学)出身のお友達に、MIT構内とMusic Libraryを案内してもらいました。まだ新学期前で学生さんも少ないとのことで、2歳の息子と、0歳と2歳の小さなお友だちも一緒の、賑やかなツアーです。 楽譜や音源はクラシックからミュージカル、ジャズまで様々に揃い、中でも現代音楽とエレクトロニクスのコレクションが充実しているとのこと、新刊コーナーからお勧めと見せてくださった1冊は ‘JAPANOISE’ という、こちらも興味深い本でした。

2駅先のハーバード大学とお互いに単位互換制度や共同研究も行われているそうで、また、一般の方達や子どもたちへのオープンキャンパスなども活発とのこと、ホームスクーリングを行っている知人のお子さんも、毎年夏になると、学生さん主催の科学のワークショップに参加されるのだそうです。(アメリカは全ての州でホームスクーリングが合法となっており、今は150万人を超えるそうです) なによりMITは、2001年に世界で初めて学内の講義を、資料や講義ノートと共に無償でオンライン公開し始め、全ての講義の公開を目指しているとのこと。こうして最先端の技術や学問を生み出し、その知的財産を世界に発信する本拠地は、緑豊かで穏やかな、子どもたちにも最高の遊び場でもありました。

MITキャンパス。

MITキャンパス。

MIT Music Library
http://libraries.mit.edu/music/

MIT Open Course
http://ocw.mit.edu/index.htm

MIT Open Course (Music and Theater Arts)
http://ocw.mit.edu/courses/music-and-theater-arts/
音楽関連の講義も数多く公開されています。

6月末から始まったタングルウッド音楽祭も今日で終わり。きっと9月の間にぐっと気温が下がり、紅葉の季節がやってきます。今年の夏は、アメリカで初めて蝉の声が聞こえ、日本の夏の余韻を届けてもらえました。

MITキャンパス。

MITキャンパス。

(2013.9.1. Mai Fukasawa)

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