第15回現代音楽演奏コンクール“競楽XV”第1位受賞の言葉〜島田菜摘(打楽器)

“競楽”という憧れのコンクールで第1位を頂けたことがいまだに信じられず、身の引き締まる思いです。

フリーランスの打楽器奏者にとって、現代音楽の作品に集中して取り組むのは、さまざまな面でハードルが高いことだと思います。私自身、使用楽器や練習スペースの確保が難しい環境にある身ですが、機会を見つけては、なるべく演奏したことのない作品に当たるよう心がけてきました。このたびは魅力的なコンクールに参加する機会を頂戴し、さらにこのような身に余る評価を頂き大変光栄に思います。お力添えいただきました皆様に、この場を借りて御礼申し上げます。

課題曲なしのセルフプロデュースコンクールという“競楽”で自分らしい表現をするために、そして今まで挑戦したことのない作品として、『モノヴァランス IV』が最初に思い浮かびました。

本選前の意気込みでも触れましたが、この作品は素手で叩く、はじく、こする、息を吹き入れるなど、通常どおりバチを用いるのに比べてあまり大きな音の出ない奏法で構成されています。慣れない会場でこの奏法の面白さをどれだけ引き出せるかが課題でしたが、予選で初めてけやきホールを訪れた際、どんなに小さな音も新鮮さをもって客席に届けられる空間がこの作品にぴったりだと確信し、イメージを膨らませました。

また本来、譜面ではオプションとしてライティングの指定がされていますが、今回は照明での演出を行わず、一つ一つの音と動きに物語を込めて演奏することに集中しました。演奏中のドアの開閉や反響板を用いた奏法など、事務局と舞台スタッフの方々には多くのリクエストをしてしまいましたが、完璧にサポートしていただき、夢中になって演奏させていただきました。演奏するたびに新しい楽しみが生まれるこの作品を、これからも大切にしていきたいと思います。

予選では、21年に楽譜が出版されたばかりの『コナンドラム』を選曲しました。私が学んだ同志社女子大学を長年にわたって教えてくださいました山口恭範先生が1997年に作曲された、専攻生たちにとって思い入れ深い作品です。そんな“コナン”で予選を通過できたことがとても嬉しく、尊敬する先生、先輩方にお力を頂いたように感じています。

情報化が進んだこんにち、目に見えるものが全てだと感じてしまう機会が増えたように思います。現代音楽の演奏を通して、言葉にできない、時には五線譜にも表せないような思いを交わすことができると信じて、微力ながら活動を続けてまいりたいと思います。

最後になりましたが、これまでご指導くださいました先生方、審査委員の先生方、日本現代音楽協会の皆様、支えてくださいました皆様に深く感謝申し上げます。

 

▼第15回現代音楽演奏コンクール“競楽XV”審査結果はこちら