「上野信一&フォニックス・レフレクション演奏会」

現代の音楽展2015第4夜 演奏家と創造の現在④

「上野信一&フォニックス・レフレクション演奏会」
見どころ聴きどころ
制作:佐藤昌弘

 

「上野信一&フォニックス・レフレクション演奏会」は、〈現代の音楽展2015〉の最後を飾る公演です。国内外にて旺盛な演奏活動を展開しているマルチ・パーカッショ二ストの上野信一氏と、氏の傘下のパーカッショングループ、フォニックス・レフレクションの若手メンバーである荻原松美、小俣由美子、峯崎圭輔、新野将之、悪原至、大場俊各氏の演奏をフューチャーした打楽器作品の特集となります。プログラムは、さまざまな作風の6つの作品よりなり、うち4曲が日本現代音楽協会会員作曲家の作品、うち2曲が上野信一氏の選曲による中国作曲家の日本初演作品です。編成はバラエティに富み、打楽器独奏曲あり、打楽器二重奏曲あり、クラリネットの板倉康明氏をゲストにお迎えしての、クラリネットとヴィブラフォンによる私の新作二重奏曲あり、4奏者から6奏者までの打楽器アンサンブル作品にいたっては3曲あり、と、実に多彩なラインナップです。ステージには大小様々な、たくさんのいろいろな打楽器が所狭し、と登場して上野氏とフォニックス・レフレクションのメンバーがそれらを駆使し、縦横無尽のパフォーマンスをダイナミックに繰り広げますので、聴き手の耳のみならず眼をも十二分に愉しませてくれるでしょう。これら6つの作品を通して、現代の打楽器音楽の面 白さを存分にご堪能頂ければ幸いです。

この演奏会について上野氏は、「(…)現代の音楽展2015にグループで出演致します。1962年から半世紀を超えて続く、日本の同時代音楽の今を知るシリーズ。この音楽展の果たした役割と、その企画の重みを感じます。(…)多数の皆様のご来場をお待ちしております」(Facebookより)とコメントしていらっしゃいます。高い技術と豊かな音楽性に裏付けられた上野信一氏とフォニックス・レフレクションの魅力溢れる演奏に、どうぞご期待下さい。

◎ 出品者の佐藤昌弘さんから、出品作 “Nocturne pour Clarinette et Vibraphone” についてメッセージを頂きました。

この曲は、今回の〈現代の音楽展2015〉「上野信一&フォニックス・レフレクション演奏会」のために書き下ろした、クラリネットとヴィブラフォンの二重奏曲です。これら2つの楽器の取り合わせによるデュオは、あまり先例がないようですが、しかし両楽器とも、ニュアンスに富む豊かな表現力を持ち備えているゆえ、私の音楽指向に良くマッチした組み合わせと確信しています。

ところで、この文章のはじめに私、思わず「書き下ろした」などと記してしまいましたが、正確にいえば「書き下ろしている」ということになりましょうか。実はこの原稿を執筆している時点(1月18日)では、まだ作曲中の作品なのです。制作の進捗状況としては現在、大体全曲の3分の2を過ぎたあたりまで何とか漕ぎ着けたといったところでして、初演して下さるクラリネットの板倉康明氏とヴィブラフォンの上野信一氏のご両人には、1月末までに譜面をお渡しする予定なので、正直少々焦っているという現状ではあります。(苦笑)。

曲名のNocturne (ノクチュルヌ) という仏題は、いうまでもなく「夜想曲」のことで、音色とハーモニーのグラデーションを主軸に、夜の深淵をイメージした響きを描ければ、というところが作曲の狙いです。またこの曲は、クロード・アシル・ドビュッシーへのオマージュという側面も持っております。

 

◎ 出品者の松尾祐孝さんから、出品作 <PHONO X – a Rhapsody for Percussion solo <π> (2011) についてメッセージを頂きました。

壮絶な難曲です。円周率=πを乱数として応用して作曲した作品です。演奏者が、前後左右に任意の打楽器6個ずつの4セットを並べて、約13分にわたってそれらをひたすら叩きまくるという音楽です。

演奏者と聴衆が一体となって恍惚の時空を共有することになります。楽譜はマザーアースから出版されています。

4年前の現音の関西公演<宮本妥子パーカッション・リサイタル>での初演の映像が、宮本さんのHPにコーナーにアップされています。凄い演奏をじっくりとお楽しみください。

http://www.yasukomiyamoto.15.kg/gallery/videos.html

そして、今度は上野信一氏による生演奏をお楽しみください。

 

松尾祐孝(作曲家・指揮者・音楽プランナー)ブログ:http://ameblo.jp/phonosphere/