11月 03

NEW COMPOSER Vol8


webcomposer

Vol.8  2017.11.3

お待たせいたしました。Web版『NEW COMPOSER』第8号をお送りいたします。
第8号では〈現代の音楽展2017〉アンデパンダン展の出品者からのメッセージを中心にお送りします。

どうぞご覧下さい。

NEW COMPOSER編集室長 山内雅弘

—– C O N T E N T S —-

11月 03

ジュピターだけじゃない。ホルストの「惑星」的グローバリゼーション


ジュピターだけじゃない。ホルストの「惑星」的グローバリゼーション

                                板津 昇龍

 

ホルストのジュピター(Jupiter) は皆さんよくご存知でしょう。

「うん、惑星の中の木星の事でしょう?」

 そうですね、「天体・お星さま」のお話しですね。ということで、ここは1つ、地球を一周するようホルスト&ジュピターを読み解いていきましょう!

まず、木星(ジュピター)は、ギリシャ神における王様ゼウスで、天空の神さまのことを意味します。また、ジュピターという名前には、明るくかがやく空という意味もあります。さらに、ギリシャ神話ではゼウスは太陽の父とされています。その娘の一人に音楽(Music) の語源であるミューズがいます。

さらに宇宙開発では、NASAは1990年代後半からソーラーセイル技術の研究を始め、2010年に初めてソーラーセイルから推進力を得る小型人工衛星を地球周回軌道に打ち上げました。同じく2010年には、日本のJAXAが同じ技術で惑星間飛行ができることを実証しています。彼らが金星探査機「あかつき」と一緒に打ち上げた「イカロス(IKAROS)」は、地球から770万キロのところで帆を展開して光子加速を開始し、その半年後には金星の近傍まで到達するという偉業を成し遂げました。

「平原綾香のヒット曲で有名になったよね?」

うーん、確かにそうなんだけど、その遥か以前、20世紀初頭からからジュピターは、イギリス人の国民的ソングの一つではありました。ただ、世界的なヒット作品となったのは、 世界的指揮者のヘルベルト・フォン・カラヤンが、第2次大戦後、この作品を発掘し、ウィーンフィルハーモニー管弦楽団の演奏会で紹介したことがきっかけです。そして鮮明なレコード録音もあって世界的な(といっても20世紀後半、レコードやラジオ・TV放送が広く普及している国々において)大ヒットとなり、この曲は一躍有名になったのです。そして、「惑星」は、世界の多くの地域に於いてオーケストラのスタンダードレパートリーになりました。

2004年、最大震度7を観測した新潟県中越地震が発生した際には、被災地の人々を勇気づける曲として「Jupiter」が数多くリクエストされ、更には東日本大震災以降も、大多数の被災した人々を今日も救いつづけています。

 

「ホルストの他の曲って何かあったっけ・・・?」

えーっと、少しまって、ホルストはオペラからオーケストラ作品、吹奏楽(ミリタリーバンド、ウィンドオーケストラ・アンサンブル)のための組曲、合唱作品など多岐にわたる分野で作品を残したのですが、神秘主義、東洋趣味の作品もなかなか人気があります。「リグ・ヴェーダによる合唱讃歌」 ( 梵 : ऋग्वेद ṛgveda, 英 : Rigveda )は、古代インドの聖典であるヴェーダの1つ。サンスクリット語の古形にあたる言葉)、「二つの東方絵画」などが知られています。

ホルストは、独学でサンスクリット語を学び、インドの聖典「リグ・ヴェーダ」を自分で英訳したテキストを基に歌曲を書きましたが、東洋趣味以外にも、「日の沈まない国」と言われた大英帝国・グレートブリテンの政治的ヘゲモニーに対する「何か」があったのかは、真偽が不明、且つ、人道的見地からとても大切なポイントでしょう。

また、バレエ音楽「日本組曲」は、日本人ダンサーの草分け、伊藤道郎の依頼により作曲されました。伊藤から、なんと口笛により教えられた日本古謡が、全編に用いられています。例えば、「漁師の唄」(2017年時点ではどこの地方の唄なのかは不明)が効果的に使われるとともに、「桜の木の下で」は、「ねんねんころりよ~」の歌詞で知られる「江戸子守歌」が、リリカルなアレンジになっています。

 

というわけで、ホルストのヨーロッパ音楽の素養に加えて、アジアにも視野を広げ、更には、壮大な宇宙観を反映させたスケールの大きい傑作「惑星」を生み出した彼のグローバリズムは、当時、イギリスが世界経済の中心地であった事(今の基軸通貨はアメリカのドルですが、20世紀初頭はイギリスのポンドでした)なども踏まえると、実のところ意外にも、さほど特殊なものではなく、「時代の必然性」が透けて見えてくるのではないでしょうか?

環境問題をはじめ、国際紛争など困難な問題が、毎日、クローズアップ、アップデートされ続けています。作曲家は勿論のこと、アーティストやクリエイター、音楽学者・評論家も、グローバルな課題に対して俯瞰的に取り組む事は、音楽を楽しむ、或いは、思想的・美学的、音楽学的な諸問題を自らの創作に反映させる事と共に、大切な事だと否応なしに認識させられますね。

 

P.S. 今年、2017年2月25日(土)、渋谷の Bunkamura オーチャードホールにて、「爆クラ! presents ジェフ・ミルズ × 東京フィルハーモニー交響楽団 × アンドレア・バッティストーニ クラシック体感系 II – 宇宙と時間編 -」が開催されました。このイベントは、デトロイトテクノのDJ、ジェフ・ミルズの最新作「Planets」のリリースを機に日本に再上陸した、エレクトロニック・ミュージック(電子音楽)とクラシックの異色なコラボレーションプロジェクトです。世界的なエレクトロニック・アーティストが、新たに発表する史上最大の野心作をライブ体験しようと、約2000人が会場に集まりました。

10月 17

第34回現音作曲新人賞本選会 11月17日東京オペラシティリサイタルホールで開催


〈現音・秋の音楽展2017〉
第34回現音作曲新人賞本選会
テーマ:地域性と現代性のあらたな交差の可能性

2017年1117日(金)18:00開場/18:30開演|東京オペラシティリサイタルホール

 

▼第一部:入選作品演奏審査

(1) 青島佳祐/弦楽三重奏の為に(作曲2017年初演)

(2) 丹羽菜月/満たしの“ ”、繋ぎの“ ”(作曲2017年初演)

(3) キム・ヨハン/Unbeknownst – to(作曲2017年初演)

(4) 久保哲朗/Relativity by M.C.Escher(作曲2017年初演)

(5) 萩原晴子/Liquid(作曲2017年初演)

演奏:
多久潤一朗(フルート)(2) 間部令子(フルート)(5) 鈴木生子(クラリネット)(3)(4)
安田結衣子(ピアノ)(2)(4) 小倉美春(ピアノ)(5) 佐原敦子(ヴァイオリン)(1)(3)(4)
阿部哲(ヴィオラ)(1)(3)(5) 豊田庄吾(チェロ)(1)(2)(3)(4) 松川智哉(指揮)(4) 石川星太郎(指揮)(5)

▼第二部:日本現代音楽協会会員作品上演

(6) 南 聡/2つの余禄の心得(作曲2005/06年)

(7) 斉木由美/歓/JOY~ピアノのための(作曲2014年)

(8) 久留智之/人と樹と(作曲2011年)

(9) 久留智之/オーム貝の歌 (作曲1988年初演)

演奏:
井上ハルカ(サックス)(6) 小倉美春(ピアノ)(6)(7) 古川玄一郎(マリンバ)(8)
中山加琳(ヴァイオリン)(9) 鈴木真希子(ハープ)(9)

▼講評・結果発表・表彰式 20:45頃〜

審査員:南聡(審査員長)、斉木由美、久留智之

※就学前のお子様のご同伴・ご入場はご遠慮下さい。演奏順は変更となる場合があります。

 

チケット:全自由席 一般2,000円 学生1,000円

東京オペラシティチケットセンター インターネット予約 電話:03-5353-9999
日本現代音楽協会 電話:03-3446-3506 aki2017(a)jscm.net www.jscm.net

主催・お問合せ:日本現代音楽協会(国際現代音楽協会日本支部)
TEL: 03-3446-3506 E-Mail: aki2017(a)jscm.net

助成:一般社団法人私的録音補償金管理協会 一般社団法人日本音楽著作権協会
後援:一般社団法人日本作曲家協議会  一般社団法人日本音楽作家団体協議会

9月 19

卑弥呼とホームズのヴァイオリン事件簿〜第14回「卑弥呼のなつやすみ2017」


ヴァイオリン弾きの卑弥呼こと原田真帆です。夏休みは日本に帰省しておりました。結局「The! ニッポンの夏!」という気候はあまり感じることができずに滞在が終わってしまったことは残念ですが、畳の上に広々と自分の布団を敷いて大の字で寝る日々は、わたしを大いに癒してくれました。

そんなわけで、今回は前回予告した通り、わたしの夏休み2017について綴りたいと思います。この夏は2つの講習会を通して、フランスとイタリアを訪れました。

 

 

 

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9月 11

第34回現音作曲新人賞入選者発表


第34回現音作曲新人賞の譜面審査を行いました(テーマ:地域性と現代性のあらたな交差の可能性)。
全22作の応募の中から、南聡審査員長、斉木由美・久留智之審査員による厳正な審査の結果、新人賞候補作品(入選作)に下記の5作が選ばれました。
2017年11月17日(金)18:30開演、東京オペラシティリサイタルホールにて行われる〈現音・秋の音楽展2017〉「第34回現音作曲新人賞本選会」に於いて、演奏審査により新人賞受賞作を決定します。

 

■入選作(作曲者名五十音順に表記)

青島 佳祐(Keisuke AOSHIMA)
《弦楽三重奏の為に》vn, va, vc
1989年生まれ。東京藝術大学作曲科を卒業。作曲を有馬礼子、野平一郎に師事。第85回日本音楽コンクール作曲部門(管弦楽)にて入選。

キム ヨハン(Yohan KIM)
《Unbeknownst – to》b-cl, vn, va, vc
1989年韓国ソウル生まれ。22歳で渡日し、現在、国立音楽大学大学院音楽研究科作曲専攻1年在学中。作曲を近藤譲、川島素晴他に師事。

久保 哲朗(Tetsuo KUBO)
《エッシャーによる相対性》cl, pf, vn, vc
1992年生まれ。東京藝術大学大学院作曲専攻在学中。作曲を吉本隆行、西岡龍彦他に師事。第85回日本音楽コンクール作曲部門第2位。

丹羽 菜月(Natsuki NIWA)
《満たしの“ ”、繋ぎの“ ”》fl, vc, pf
1991年生まれ。愛知県立芸術大学作曲専攻を首席で卒業、桑原賞受賞。作曲を小井洋明、久留智之、Jean-Luc Herveの各氏に師事。

萩原 晴子(Haruko HAGIWARA)
《液体》fl, pf, va
1982年生まれ。桐朋学園大学音楽学部音楽学科研究科作曲理論専攻修了。作曲を夏田昌和、金子仁美の各氏に師事。