«

»

10月 28

卑弥呼とホームズのヴァイオリン事件簿〜第5回「現代音楽ワークショップ」原田真帆


maholmes

こんにちは、ヴァイオリン弾きの原田真帆です。
『卑弥呼とホームズのヴァイオリン事件簿』第5回です。
前回予告した通り、今回はロンドンでの現代音楽の授業についてつづっていきたいと思います。

 

選択授業の中にあり

わたしは9月から英国王立音楽院の修士課程に在学しています。選択科目をいくつか選ぶ中で、まずわたしは迷わず「現代音楽ワークショップ」という名の授業をのぞいてみました。

その科目は学部3年以上の作曲科と声楽科・器楽科・古楽科向けに開設されています。担当教諭は作曲家ですが作曲科の専任教授ではなく、チューターという、学生のケア担当といいますか、履修相談から日々の学校生活に必要な連絡やら何やら、いわば担任の先生のようにお世話してくれる教授陣のひとりです。

教室に集まった学生の割合は、作曲家と演奏家がほぼ半々。人数は全体で20人程度でした。ヴァイオリンがわたしともうひとり、チェロがふたりにフルート・ピアノがひとりずつ、そしてクラリネットとトロンボーンやギターもいます。

 

作曲科と器楽科の共同作業

授業内容は、作曲家と演奏家でグループを作り、10分から15分程度の楽曲を作り発表するというもの。グループを組んでから曲を発表するまでの一連の流れをひとつのプロジェクトと呼び、年間を通じてふたつのプロジェクトを作成します。併せて学年末にはプロジェクトに関連したレポートも作成します。

各グループに2,3人の作曲家と2,3人の演奏家がいます。割り振られたメンバーで工夫を凝らし、アイデアを出し合って1つの曲を作り上げるのです。

まず驚かされたのが、奏者の側が持っているアイデアが豊富で、また意見することに積極的です。こういう奏法知っている? シュトックハウゼンの曲でこういうパートがあって…ファニーホウのあれがね…。奏者から働きかけに、作曲家のほうも、こんな音は? あんな音は出る? と興味が膨らんでいく様子です。王立音楽院は在学生の半分ほどが留学生なので、学生は非常に多国籍。それぞれが今まで学んできた場所で百戦錬磨現代音楽に関わってきたのだろうなぁ…と、初回の授業では圧倒されるばかりでした。

 

奏法か、音列か

先日の授業では、わたしのグループでは話題は特殊奏法に。チェロガールは紙を弦に挟んでみたり、トロンボーンボーイはチューニング・スライドを抜き差ししてみたりして、ノイジーな音を探しています。一方、隣のグループに目を向けると、奏法はふつうですが、音をぶつけることで表現を探しています。最終的に、特殊奏法と独自の音列は共存可能ですが、最初のとっかかりとしてはどちらかに分かれるように見受けられました。

そう考えると、わたしはどちらかというとユニークな響きやリズムが好きなのかもしれないな、という発見をしました。特にソルフェージュが好きなので、ムズカシイムズカシイと頭を悩ませながら複雑な拍子を解読していくことに喜びを感じている、ということを今さら自覚しました。

それにしても、これまでわたしは受け身だったなと思わされました。特に新曲に関しては、すでに完成したものを弾かせていただく機会ばかりだったので、自ら「こんなことをやりたい」と提案したことはなかったのです。いつか作曲家の方に委嘱作品をお願いするのが目標なので、その日のためにも、わたしの中の音楽の語彙をもっと増やしたいなと思います。

 

maholmes5-1

 

どんな曲ができるのか

さて、現在取り組んでいるプロジェクト1は11月末まで。次のコラムの更新のときには曲ができていることでしょう。その様子をお伝えできるかしら、それとも何か違うニュースができるかもしれませんね…。

というわけで、今回は現代音楽の授業についてお送りしました。また次回、お会いいたしましょう。

 

 

maho_harada文・絵:原田真帆
栃木県出身。3歳からヴァイオリンを始める。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校を経て、同大学音楽学部器楽科卒業、同声会賞を受賞。第12回大阪国際音楽コンクール弦楽器部門Age-H第1位。第10回現代音楽演奏コンクール“競楽X”審査委員特別奨励賞。現代音楽にも意欲的に取り組み、様々な新曲初演を務める。オーケストラ・トリプティークのメンバー。これまでに萩原かおり、佐々木美子、山﨑貴子、小川有紀子、澤和樹、ジェラール・プーレ、小林美恵の各氏に師事。

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です