「平田英治サクソフォンリサイタル~Focus on saxophone! 」


「平田英治サクソフォンリサイタル」Focusu on Saxophone

                                                                制作:南川弥生

制作の南川弥生と申します。

この度は、日本現代音楽協会のご協力を得まして、このコンサートが実現できますことを大きな喜びと共に、深くお礼申し上げます。

2年前に大阪でのサクソフォンレクチャー開催を皮切りに、私を含め7人の会員の作品が集まりました。

演奏家一人のコンサートなので、編成は、ソロ又はデュエット。使用楽器はソプラノ、アルト、テナーの3種。演奏時間も制限を付けさせて頂きましたが、デュエット2曲、ソロ5曲。ソプラノ、アルト、テナーが各2曲ずつ使用となり、作風もそれぞれの作曲家により大変個性溢れるものばかりです。

関西では、サクソフォンで全作品新作のリサイタルというのは殆ど例がなく(平田氏が何年か前にも開催)注目すべきコンサートですので、是非ご来聴頂きたくお願い致します。

演奏者の平田英治さんからメッセージを頂きました。

「平田英治サクソフォンリサイタル」開催にあたって   平田英治

このコンサートの開催にあたり、主催頂きます日本現代音楽協会に深くお礼を申し上げます。

以前にも関西で、全作品新作初演のリサイタルを開催しましたが、何年かぶりの企画で、緊張しつつ練習に余念がありません。

大阪でレクチャーを開催させて頂きましたが、今回の作品はサクソフォンのオーソドックスな音色を生かしたものや、現代奏法を駆使したものまでバラエティーに富む作品ばかりです。

作曲家の皆様との共同作業では、こちらも新しい発見があり、楽しい時間でもありますが、今は、私のために作曲して下さった作品に何とか命を吹き込める様練習に励んでおります。

この企画が、新しいサクソフォンの作品を生み出し、レパートリーとして定着することを願っております。お聴き頂けましたら幸いです。

 

 

作曲家の皆さんから、今回の曲についてのメッセージを頂きました。

出品者の中村典子さんから、出品作「聲愈 audible」についてのメッセージをいただきました。

それを聴いたのは長崎でした。それは清澄で天空的な世界でした。

非常に若い女性が奏でていたソプラノサキソフォンの歌は青く光って走り続け、地上に鐘の音を撒くようでした。

2011年3月11日の直前、原爆に見舞われて66年目となる長崎へ難病繊維筋痛症の身体を運んでその響きに出会ったのは象徴的なできことでした。

長崎平和公園の原爆資料館で平和祈念像の前の水音を録音し僅か数時間の滞在に慌ただしくホールに着いたのは出島の音楽祭で、現音80周年のパーカッション・リサイタル「閾-しきいを超えて」の宮本妥子さんと後藤ゆり子さんが三人目の奏者として選んだステージマネージャーの岩永貴博さんが二階一番奥から送出する金属音が舞台と舞台奥と交差し、楽堂にはりん三十個のホカヒの響が満ちていました。この胎蔵曼荼羅系図形譜のホカヒは奈良遷都1300年と日本初の美術学校設立より130年となる京都2010年祇園祭鉾立の日の初演以来、およそ考えられない働きで、一年に十を超える再演に広島と大津の同時間上演そして独奏二重奏三重奏限りない様々な差異のヴァージョンに管絃楽から様々な国を超えての伝統舞踊現代舞踊とのセッションに舞踊劇シアターピースそして歌劇に劇音楽さらに放送放映によって様々な姿を随伴して運び、六段をクレドの元へと運んだイタリアの二つの地そして故郷とザルツブルグでの自演へと達し、先日宮本さんにより対となる金剛曼荼羅系図形譜の斎jaeが初演となりました。

長崎からの長い列車の時間を終えてこの地播磨難波奈良京都近江へとついた時、寒山詩を思わせるきさらぎの微かな白風が吹きました。

聲愈は金を鳴らすホカヒと同じく金を吹くことで形成均衡する自然です。消失点から吹く好ましい寒さと白さが平田英治さんによって際立つことを祈っています。

欲得安身處 寒山可長保 微風吹幽松 近聽聲愈好 下有斑白人 喃喃讀黄老 十年歸不得 忘却來時道

心身に平安を得たいなら山の寒さをいつまでもかかえよう。

かすかに風が静かな松に吹く。かなでる聲を近くに聴けばいよいよ好ましい。中国唐代、寒山詩の一節から聴こえる響をちかしい松にあらわしています。

 

 ◎ 出品者の大慈弥恵麻さんから、出品作「Nasobema 1」についてのメッセージをいただきました。

関西の奏者によるレクチャーと会員/公募作品のリサイタル企画の第4弾はサクソフォンいつも個性様々な曲が刺激的なこの企画だが、サクソフォンという楽器と平田英治氏の多面性も加わって、興味は尽きない。

拙作はハラルト・シュテュンプケ著、日高敏隆・羽田節子訳の「鼻行類」に魅かれて書いたシリーズ。

前回の鍵ハモより前の2012年に書いたテナーサクソフォンのための作品(平田氏初演)の改訂初演をとお願いしていたが、今回はアルトに、またナゾベームの中からのモデルも「ナキハナムカデ」からキンポウゲの草原に群生しバターミルクの香りを吐く「フシギハナモドキ」に変えて構想したので、改訂というより素材の一部を引用した新作になった。

真偽判らぬ小獣の風体を楽しんでもらえたら嬉しい。

 

◎ 出品者の南川弥生さんから、出品作「瓢」~2本のサクソフォンのための~ についてのメッセージをいただきました。

「瓢」~2本のサクソフォンのための~は、ソプラノとアルト使用。まず一番目指したいのは、今回唯一のサクソフォン同士の作品なので、楽器の機能を生かしたデュエットを書くということです。レクチャーでも実演しましたが、bisbigliando(カラー・トリル)微分音、装飾音、グリッサンド、息音などの使用により、「息の綾」「音の揺れ」を表出し、二つの楽器による音色的旋律が途切れることなく紡いでいく過程を聴いて頂きたいです。

平田、篠原両氏の息の合った演奏を楽しみにしています。

 

◎ 出品者の近藤浩平さんから、出品作「海辺の祈り~震災と原子炉の犠牲者への追悼~
作品121」についてのメッセージをいただきました。

 東日本大震災の後、ノルウェイのスタヴァンゲル交響楽団元首席バスーン奏者のロバート・ロネス氏の依頼で無伴奏バスーン独奏の為に書かれ2011年4月にWebで演奏が公開されました。ポーランドのビシュクーフ室内楽音楽祭においてヴロツワフ歌劇場管弦楽団のダリウス・ベーター氏によってステージ初演され、6月にはヴロツワフ歌劇場における国際ワーグナー協会国際会議代表者会議で再演されました。その後、様々な楽器の為の編曲版が国内外で演奏されています。左手のピアノ版は2011年5月に桑原怜子氏によって初演され、その後、智内威雄さんが各地で繰り返し演奏しCD録音もおこなっています。楽譜をIMSLPで公開したこともあり、既に再演回数は80回を越えました。

サックス版は、今回の演奏会の為に新たに作り、今回が初演となります。ダイナミックスなど表現の幅の大きいサックスでの演奏が楽しみです。

この曲には、福島県浜通りの民謡、相馬土搗唄に特徴的な音の動きを変形してしのばせてあります。東日本の海辺の民謡の特徴をしのびこませることで、福島県相馬地方、東北の海辺の生活感情へのつながりをもたせようとしました。

原曲のバスーン版は、ロバート・ロネス氏がYouTubeに演奏を公開しています。

http://youtu.be/FkSiM6DrRYs

富田牧子氏のチェロによる演奏もYouTubeで公開しています。

http://youtu.be/JwAeE4MHbSM

左手の為のピアノ版は智内威雄氏が「左手のアーカイブ」で映像を公開し、CD、楽譜の頒布も行っています。

http://www.lefthandpianomusic.jp/#01

楽譜のPDFを私のWebサイトで公開し、ダウンロードできるようにしていますので、演奏家の方は、是非、ご演奏いただければと思います。震災の追悼作品として書かれましたが、東北の民謡を思い起こさせる旋律的な作品で、音楽作品として、様々な場で演奏できる作品です。

http://koheikondo.com/works1.htm