競楽XI本選出場者紹介〜松岡麻衣子(ヴァイオリン)

matsuoka▼本選演奏曲
Jörg WIDMANN/Étude III for Violin solo(2002)
湯浅 譲二/マイ・ブルー・スカイ第3番 独奏ヴァイオリンのための(1977)

 

この度は本選会の出場者に選出いただき、ありがとうございます。かねてから目標の一つとしていた「競楽」の本選に出場することを、大変嬉しく光栄に思っております。

本選では二つの作品を演奏いたします。

クラリネット奏者としても名高いヨルグ・ヴィットマンが、ヴァイオリン奏者の妹に捧げた《エチュードIII》。微分音の小さな素材から幅広い音程へ拡張されていく一方で、タッピングやピチカート等のテクニックも織り交ぜられています。「半狂乱に興奮して、可能な限り速く」と指定されているように、起伏が激しく疾走感が特徴的な作品です。

湯浅譲二先生の《マイ・ブルー・スカイ 第3番》は、全体に漂う静謐さの中に、莫大なエネルギーが隠された作品です。初めて録音を聴いたとき、見事に構築された音楽表現の幅広さ、深さに魅了され、機会があればぜひ挑戦したいと思っていました。また、同タイトルの電子音楽作品2作に続く本作が、ヴァイオリン・ソロの作品というのは興味深く、一連のシリーズとして関連づけられるような音色が出せないかと模索しています。

双方の作品の持つ響きやメッセージに注意深く耳を傾け、ひとつひとつの音に反映した演奏ができるよう力を尽くしたいです。

◎プロフィール
桐朋女子高等学校音楽科を経て同大学音楽学部演奏学科卒業、同大学研究科修了。2008年に渡独、インターナショナル・アンサンブル・モデルン・アカデミー(フランクフルト音楽・舞台芸術大学)にて現代音楽作品演奏の研鑽を積む。これまでにトリオ・シュトイアーマン、アンサンブル・リネアのメンバーとして活動する他、アンサンブル・モデルン、アンサンブル・レゾナンツ等でも演奏する。江藤俊哉、江藤アンジェラ、小林健次、ジャグディッシュ・ミストリーの各氏に師事。

 

▼予選演奏曲
Salvatore SCIARRINO/6 Capricci per Violino No.6″Con brio”(1975-76)
Liza LIM/Philtre for solo retuned violin or hardanger fiddle(1997)