6月 17

ISCM世界音楽の日々2016トンヨン大会報告〜嶋津武仁


Ensemble 2e2mと指揮のPierre Roullier
(中央)2016.4.1, Black Box/Tongyeong

Ensemble 2e2mと指揮のPierre Roullier
(中央)2016.4.1, Black Box/Tongyeong

 

報告 嶋津武仁
日本現代音楽協会(国際現代音楽協会日本支部)会員/福島大学名誉教授

 

今年のISCM「世界音楽の日々(World Music Days)」は、韓国、トンヨン(統営)市において、3月28日から4月1日、開催された。

統営(トンヨン)市は、釜山(プサン)から西に車で高速道路を1時間半ほどのところにある港町。歴史的には秀吉による「文禄・慶長の役」の戦場となり、町の名前もその野営地に由来しているようである。東京から2時間余で着く、日本には大変近い開催都市だったといっていいだろう。

この人口15万ほどの地方都市では、毎年、「トンヨン国際音楽祭」TIMFが開催され、今年のISCMもその一環で、この音楽祭と並行的に開催された。トンヨン市は、韓国出身の作曲家、尹伊桑(イサン・ユン)の生まれた町で、この音楽祭も、彼へのメモリアルを兼ねたものという。

ISCMの「世界音楽の日々」には、29日より参加し、最終コンサートの翌日まで、同市に滞在した。他にISCM日本支部(日本現代音楽協会)推薦ではない日本人の作品が2曲(松下功作曲《Prayer of the Firmament》、福田拓人作曲《Beyond the eternal chaos for Flute and Electronics》)演奏されたが、2日間参加の遅れと、自作品のリハによって、それらには立ち会えことができなかった。また、日本支部の正代表でもなかったため、期間中に行われた代表者の会議でどのようなことが話し合われたかも分からなかった。

開催国、韓国の若い作曲家の作品を多く聴くことができたが、いわゆるポストモダン風の「現代音楽」といった感じで、強く印象に残る作品は、ほとんどなかったように思う。演奏家は、トンヨン市のアンサンブルやオーケストラなど、大変質のよい演奏を展開し、海外の演奏家として、日本から「オーケストラ・アンサンブル金沢」、フランスから「アンサンブル2e2m」がそれぞれ、「世界音楽の日々」の最初と最後のプログラムに配置され、その間に、12のコンサートのほか、インスタレーションの作品の設置やワークショップ、更にはTIMFのコンサートも行われ、ISCMは久しぶり(1993年メキシコシティー大会以来)の参加であったが、たっぷりと音楽を楽しむことができた。音楽環境も作品の内容や演奏の規模に応じて、3つの音響のよい、整ったホールが使用され、贅沢な内容の音楽祭を呈していた。コンサートの合間には、イギリスやアメリカ、フランス、韓国などいくつかの支部が会食パーティを設定し、多くの旧知の作曲家や演奏家と親しく旧交を温めたり、多くの音楽家たちと交流することもできた。

左からISCM韓国支部会長 Seungwoo Paik(大会会長)、嶋津武仁(韓国支部主催会食会にて/2016.3.31)

左からISCM韓国支部会長 Seungwoo Paik(大会会長)、嶋津武仁(韓国支部主催会食会にて/2016.3.31)

韓国のオーガナイズのスタッフは、海外からの参加者一人ひとりに対し、ホテルと会場や釜山の空港までも送迎をしてくれるなど、大変精力的に対応してくれたが、その一方、リハーサル時間など、スケジューリングが作曲家に伝わらないことが多く、大変閉口した。このままでは、演奏もおぼつかないと感じた拙作《Requiem for Nature》も、なんとか最終日(4月1日)、結局、最終作品として演奏された。コンサート直前で順番が決まった(変更された?)ようである。ただ、フランスのアンサンブル(指揮:Pierre Roullier
)は、見事な演奏をし、ドイツで勉強した韓国のバリトン歌手(Hyuk Lee)も、苦労しつつも、満足のいく演奏をしてくれた。コンサートには90歳になるイサン・ユン夫人もわざわざ来場していただき、大変思い出になるコンサートにもなった。

コンサートの翌日、帰国のために釜山の空港に向かう道路に沿って、数十キロと続く、満開となった桜の並木のみごとさも、強い残像として残っている。

6月 08

現代音楽との出会い〜『七つのバラ』を探して/原田真帆(ヴァイオリン)


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文・絵 原田真帆
ヴァイオリン/第10回現代音楽演奏コンクール“競楽X”審査委員特別奨励賞受賞

 

今日もまた、新しい作品の譜面が届いた。生まれてから一度しか演奏会に出たことがない作品だ。
今でこそ、わたしが勉強中の楽譜の山の中に、現代曲の譜面が混ざっているのは普通のこと。しかし、かつてはわたしも「現代音楽」を拒否した人間のひとりだった。

 

小学4年生の頃。
当時、ヴァイオリンの古澤巌氏とピアノの高橋悠治氏によるコンサートシリーズが行われていて、わたしはこの演奏会に足繁く通っていた。

古澤さんはもともと好きだったが、このシリーズで初めて聴いた高橋さんのピアノに、わたしは感性を刺激された。
とてもラフな歩き方で出てくるのに、どうしてこんなに鮮やかで輪郭のはっきりした力強い音が出るのか―――。

同じく感銘を受けた母は、高橋さんのホームページで今後の演奏会情報を見ていた時に、ヴァイオリンソロのための作品を発見し、唐突にわたしに買い与えた。

考えてみてほしい、当時のわたしは現代音楽のゲの字も知らず、モーツァルトを勉強していた9歳児である。
母が別の音楽家の演奏でやはり感銘を受け、いつか弾いてねと言われた「ショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲」すら、CDを聴いて絶句したような頃だ。

そんなわたしが、好きなピアニストである高橋さんの作品だから―――といって弾けるわけがなかった。
まず譜面を開いて絶句。音を出して絶句。難しいソルフェージュをするのが嫌になって絶句。1ページほど格闘して出した結論は「まだ弾けそうにない」だった。

 

それから8年。なんの因果か、わたしは競楽の予選会にいた。
新聞で見た「現代音楽コンクールのお知らせ」を見て、ちょうど譜読みしていた「ルトスワフスキのパルティータ」を弾く場所がほしい、という気持ちだけで出場を決めた。

楽しく弾いたルトスワフスキが、わたしを本選に連れていってくれた。
しかし「この曲が弾けるだけ有り難や……」と思っていたわたしは、本選の無伴奏ソロの曲をまだほとんど譜読みしていない。

「やばい、絶対的に間に合わない」

本選まであと2週間、寸暇を惜しんで練習しなくては。しかし、予選会の翌日の、古澤さんと高橋さんによるコンサートのチケットは、もうずっと前から買ってあった。
そのプログラムには、わたしがかつて歯が立たなかった《七つのバラがやぶにさく》が含まれている。行かないという選択肢はなかった。

練習時間が減ることに若干不安を覚えながらも、日曜の午後、東京文化会館に向かう。
このコンビを聴くのは久しぶりだ。シューベルトのソナチネに始まり、それぞれのソロに入る。

ついに《七つのバラがやぶにさく》の実演を聴く時が来た。
たった1ページで音の描くものが理解できずに譜読みを諦めた曲は、ものすごく前衛的なイメージだった。しかし古澤さんの演奏はとても美しくロマンチックで、原案となった歌曲の歌詞であるブレヒトの詩の世界が、確かに見えた。

何よりわたしが印象に残ったのは、古澤さんがその曲をシューベルトと同じように、かつ普段の古澤さんらしく、いとも簡単そうに弾く姿。いつか読んだ誰かの言葉が蘇る。

「本当にいい奏者は、聴かせる者に『難しさ』を感じさせない」

とても思い上がった考えだけれど、その日の古澤さんの演奏に「わたしもこの曲を弾けるかもしれない! 今なら弾ける気がする!」と思わせられた。そしてわたしもこんな風に現代音楽を弾きたいと強く思った。

続く高橋さんのソロ。わたしは初めてモンポウを聴いた。
作曲者が20世紀の人と知り、つい「現代音楽……」と構えてしまったが、聴けばとてもナチュラルに耳に入ってくる。

確かにモンポウ作品はファンも多く聴きやすい。しかしこの曲が体のphに溶け込むように入ってくるのは、何より高橋さんがとても自然に弾いているからではないか、と聴いているうちに考えを改める。
その弾く姿に、音に、無理がない。高橋さんが譜面を完全に理解した上で、そのままでなく、自分の言葉で音を紡ぎ直しているかのように聴こえた。

ああ、来てよかった、そして早くさらって(練習して)みたい、と上野駅を後にする。
高橋さんと古澤さんの演奏を聴いて得たこのフィーリングを失わないうちに弾いてみたい、この感覚で演奏したらどんな音楽ができるのか試してみたい―――。

 

原田真帆(ヴァイオリン)本選の演奏

原田真帆(ヴァイオリン)本選の演奏

迎えた競楽本選。通常、ヴァイオリンで無伴奏曲を弾く時、奏者はちょっとした恐怖を覚える。なぜなら舞台でひとりきりだから、心細く感じるのだ。
しかしその日わたしは恐怖を感じなかった。演出上、譜面台を特定の場所に5台配置する必要があり、スタッフの皆さんが譜面台を持って袖に並んで控える姿を見ていたら、申し訳ないけれどおもしろくなってきてしまった。

この時優勝した佐藤祐介さんに対しての、審査委員長である湯浅譲二先生の講評をよく覚えている。

「佐藤さんは、現代音楽を、そうでない時代の音楽を弾いているのと同じように弾いていて、何より、『ピアノ』をとても楽しそうに弾いていました」

佐藤祐介

佐藤祐介(ピアノ)本選の演奏

「現代」という枕詞に恐れず、わたしたちは「音楽」をしなければ。
いつどんな時代に書かれたものも、それが「音楽」と呼ばれる以上は、演奏家も「音楽」だと覚悟して取り組む必要がある。古典だから、現代だから。ある意味そんな言葉はいらないのかもしれない。

しかし別の側面から見ると、「現代音楽」というくくりは必要だ。
国際コンクールなどの課題曲を見ても、このラウンドはバッハや古典派を、このラウンドではロマン派を、というように、近い年代の音楽で競い合っている。

例えば、子供への接し方と年長者への接し方を考えれば、その違いはわかる。

コミュニケーションを取る上で、それぞれの年代に適した言葉・内容があり、体力や能力も違う。
一緒に食べるご飯を選ぶなら、相手の好みや体調に合わせたい。子供は洋食の方が喜ぶだろうし、お年寄りは体に優しいものを好む傾向にある。

けれども、子供だから見下したり、年長者だからといってゴマを摺るような、相手によって「態度」を変える行為は不誠実だ。
人と接する時にどのような心持ちでいるべきか、それは不変のものである。

どちらも同じ「音楽」だけれども、現代音楽と古典の音楽とを同時に勝負にかけてしまうと、平等に競うことは難しいというのはこういうことで。
「音楽」へ取り組む姿勢は時代に左右されることなく純粋な心を保つべきであり、それぞれのアプローチ方法は生まれた時代に合ったものにすべきなのだ。

競楽」というコンクールは楽器や編成の自由がある分、その「音楽の扱い」にフォーカスを当てて審査される。
「現代音楽」をどれだけ「play」できるか。こんなにも「音楽」を試される機会はなかなかない。

わたしは現代音楽に出会ったことで、「音楽」をすることについてより深く考えさせられた。旋律がない音楽を紡ぐのはとても難しいが、音を繋ぐ力を鍛えられる。
わたしが現代音楽にハマるきっかけとなったのは「競楽」であり、「競楽」がひとつ大きな転機だったことは間違いない。

 

わたしは今、野望が2つある。
まずはいつか出るつもりの何かの国際コンクールにて、コンクールのために書かれた新曲の演奏が「もっとも優れていたで賞」を獲ること。
そしていつか、高橋悠治さんの《七つのバラがやぶにさく》を競楽の本選で弾くこと。

その勝負をいつにするか、まだわたしは知らない。

 

⇒ 現代音楽演奏コンクール“競楽XII”の参加要項はこちら!

 

 

雪国の作曲家たち★原田真帆&佐藤祐介初競演コンサート

雪国の作曲家たちによる新曲作品展 vol.3
生物図譜〜脈動する・翔ける・蠢く・揺蕩う・囁く・叫ぶ
2016年7月19日(火)18:45開場 19:00開演
文京シビックホール 小ホール
東京メトロ丸ノ内線・南北線「後楽園駅」直結

 

原田真帆 ヴァイオリン
佐藤祐介 ピアノ
丁仁 愛 フルート
白石はるか クラリネット
浦田 拳一 ファゴット
松下 洋 サクソフォン
立石さくら ヴィオラ
上田 実季 ピアノ

《プログラム》
d88cdda89c72403383bb97f9706c6c39_6186b34cc3c83761f163d18b52b67c0d旭井翔一(2014年度富樫賞受賞)/Bubobubo
川上 統(第20回現音作曲新人賞受賞)/ラナンキュラス
佐原詩音/ルドンの黒
助川 舞/緒
辻田 絢菜/Ta-tan-ta-ta
薮田 翔一/Collide

 

《チケットのご予約・お問合せ》
全席自由
前売 一般3,000円/学生2,000円
当日 一般3,500円/学生2,500円

イープラス(e+)または主催者サイト

 

5月 27

現音レクチャーシリーズ「エレクトロニクスを知る(1)-3」講師:有馬純寿 6月4日開催!


 

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日本現代音楽協会主催
レクチャーシリーズ エレクトロニクスを知る(1)-3回目

日時:2016年6月4日(土)18:30
会場:きゅりあん5F第4講習室(前回までと違う部屋です)
JR京浜東北線・東急大井町線・りんかい線、大井町駅 徒歩約1分

講師:有馬純寿

 

▼第3回
第3回は手法の異なる2~3の作品を例に、既存の楽曲でエレクトロニクスがどのように扱われているかを分析し、ライブ・エレクトロニクスを用いた作曲に向けて、作曲技法と技術的な側面の両方から研究していきます。

 

受講料:800円(事前予約推奨。ご予約が無い場合は、当日お席や資料をご用意出来ない場合があります)

お問い合わせ:日本現代音楽協会

電話で参加予約 ⇒ 03-3446-3506

E-mailで参加予約 ⇒ gen-on1930(a)jscm.net

Facebookページで参加予約

 

有馬純寿(ありますみひさ)プロフィール
1965年生まれ。エレクトロニクスやコンピュータを用いた音響表現を中心に、現代音楽、即興演奏などジャンルを横断する活動を展開。ソリストや東京シンフォニ エッタなどの室内アンサンブルのメンバーとして多くの国内外の現代音楽祭に参加し、300を超える作品の音響技術や演奏を手がけ高い評価を得ている。第63回芸術選奨文部科学大臣新人賞芸術振興部門を受賞。2012年より国内外の現代音楽シーンで活躍する演奏家たちと現代音楽アンサンブル「東京現音計画」をスタート、その第1回公演が第13回佐治敬三賞を受賞した。現在、帝塚山学院大学人間科学部准教授。京都市立芸術大学非常勤講師。

5月 25

ENSEMBLE EXOPHONIE TOKYOインタヴュー〜競楽を経験して〜5月27日デビューコンサート開催!


世界遺産となった国立西洋美術館をバックに。左から安田結衣子(ピアノ)、松岡麻衣子(ヴァイオリン)、間部令子(フルート)、山澤慧(チェロ)

国立西洋美術館をバックに。左から安田結衣子(ピアノ)、松岡麻衣子(ヴァイオリン)、間部令子(フルート)、山澤慧(チェロ)

 

 

5月27日にデビューコンサートを開催する「ENSEMBLE EXOPHONIE TOKYO」は、メンバーの多くが「現代音楽演奏コンクール“競楽”」の優勝者、ファイナリストということで、今回は競楽経験メンバーの皆さんに、アンサンブルのこと、また競楽のことをお話して頂きました!

 

チラシ表——本日はお忙しいところありがとうございます。当協会としては競楽でお馴染みの皆さんが顔を揃えてアンサンブルを結成されたとあって、とてもワクワクしているんですが、アンサンブルの名前である「エクソフォニー」はどういった意味で、どういった想いを込めているんでしょうか?

間部令子(フルート)「エクソフォニー」はドイツ語で「母国語の外の世界」を指す言葉で、メンバーの多くが海外のエクソフォニーな環境で音楽を勉強してきた背景や、西洋楽器を表現の手段とする日本人として、ほどよく馴染むかなと思いました。それから、世界各地での言葉を通したさまざまな考察が一冊に綴られている多和田葉子さんの著書『エクソフォニー』から深く感銘を受けています。音楽を多角的に捉え、立体的に練り上げた演奏を目指したい、仲間を尊重して刺激し合い、ひと味違うサウンドを作りあげたい、そんな願いを込めて。

——結成の経緯を教えて頂けますか?

間部 今回指揮をする作曲家の大西義明さんが東京にいらしてから、アメリカの共通の友人も多くいろいろ話していたら、大西さんは「アンサンブルの指揮をしたい」と。「それじゃあ編成は?」というと、やっぱりシェーンベルクの《月に憑かれたピエロ》の編成だろうということになりまして。時を同じくして、クラリネットの岩瀬龍太さんから「ウィーンから日本に帰国するから何か一緒にやろうよ」と連絡が来たんです。

——岩瀬さんは当協会の維持会友(サポーター)にもなってくださいました。

安田結衣子(ピアノ)私は間部さんから電話をいただいて。間部さんとは前に一度だけ坪能克裕さんの作品で共演したことがあって。

間部 何でも弾けるピアニストと言ったら安田さん、ということで。楽しい人だしムードメーカーとしても(笑)。

松岡麻衣子(ヴァイオリン)私も間部さんからお話をいただいて、チェロの山澤慧くんは私が推薦しました。

山澤慧(チェロ)お話をいただいて、小編成で、現代曲に強い人たちと一緒に出来るということで、麻衣子さん以外の方は一方的には知ってましたが、共演は初めてで、とても楽しみでした。

安田 私も山澤くんのことは一方的に知っていました。麻衣子さんは大学時代から知ってはいたんですけど。

松岡 森下周子さんの曲で一度共演したね。

山澤 僕は令子さんは「競楽の優勝者」ということで知っていました。

間部 声をかけるにあたって、若い世代とも一緒にやっていきたいと思ったし、今回たまたま多くのメンバーが競楽を経験していますが、競楽に挑むというのは現代曲に関心がある人だという基準にはなりますし。私の繋がりだけだど同じ学校出身の人たちになりがちなので、学校を越えてというのも意識しました。代表の大原裕子さんは作曲家で、ロンドンで学んで洗足学園で教えていたりと、違った風をもたらしてくれますし。

IMG_0041s——5月27日のデビューコンサートは、リンドベルイ、フェルドマン、シェーンベルク、武満徹、グリゼーの大作ばかり、かなり積極的なプログラムですね。どのように選曲されたんですか?

松岡 この編成で今後レパートリーにしていきたい曲をみんなで出し合いました。全部五重奏ではないですけど、この編成の楽器の組み合わせの曲も含めて300曲ぐらいリストアップしました。

安田 今回のプログラムは結構大変です(笑)。こんなにたくさん現代曲に取り組むのは久しぶりです。リハーサルを重ねてますけど、ピアノはシェーンベルクが特に大変ですね。

間部 聴きどころは…ヴァイオリンが結構ね…(笑)。

松岡 ハードル上げないでくださいよ(笑)。すごくヴァラエティに富んだ選曲です。「この楽器の組み合わせでこんなにいろんな色彩感のある響きが作れるんだ」というのを聴いてもらいたいですね。

間部 通常だとコンサートのメインで持ってくるような曲ばかり集めたので、盛りだくさんという印象です。

松岡 チャレンジングなプログラムですね。私はドイツに留学していた頃にこの編成でずっと活動をしていたので、今回初めてリハーサルで座った時すごい嬉しかったです。今回は全員日本人だから、きっと協調性があるアンサンブルになるのかな、と思ってたら、相当個性的な人たちの集まりで…(笑)。

間部 常にディスカッション(笑)。でもそれが競楽の本選まで行く所以だと思います。

安田 競楽経験者じゃないメンバーも相当…(笑)。みんないろんなところにいたから、そういう意味ではすごく面白いですよね。

松岡 海外だけじゃなく、国内でもいろんな経験を積んでる人達が交わってますからね。

山澤 僕は海外の経験はないのですが、皆さん海外で活躍されていた方ばかりなので、毎回リハーサルは刺激的です。今回のプログラム、チェロが特に目立つという訳ではないのですが、たまにとても美味しい箇所があります(笑)。

——今後はこのアンサンブルでどういった活動をされたいですか?

安田 メンバーを増やしていけたら良いですね。室内オーケストラも出来たら。

松岡 このメンバーを核にして、外に広げて行きたい、外に出て行きたいというのはありますね。

山澤 この編成に書かれたメジャーな作品はもちろん演奏していきますが、日本人作曲家が書いた、なかなか演奏されない作品の再演もしたいと考えています。

間部 今後はメンバーの大西さんや大原さんの新作とか、現音の会員の方々の作品も演奏できたらと思っています。日本のものを外に持ち出したいという想いは私はありますね。正に「エクソフォニー」ということですね。アンサンブルとしてレパートリーを増やしていって、クラシックのコンサートをあまりやっていないような小さなスペースでもどんどんやっていきたいです。

 

エクソフォニー

 

——競楽を経験してみての印象はいかがでしたか?

エクストレイル安田 最初ピアノソロで出た時、本選でナッセンとブーレースを弾いたんですけど、お客で来ていた演奏家の友達はみんな「ブーレーズカッコ良かったー!」って言ってくれたんですけど、審査委員の先生方、特に作曲の先生は「ナッセンのあんな良い曲あるんだね!」っておっしゃっていて、こんなにも印象が違うんだなって思いました。2年後、ソロでの参加を迷っていた時に、フルートの多久潤一朗さんからデュオでの参加に誘われて、多久さんだったら一緒にやりたい、挑戦したいなと思って。ソロでもデュオでも参加できたのは良かったです。

山澤 競楽は、ソロから六重奏までエントリー出来るし、楽器も何でもOKだし、無差別級的なところが魅力だと思います。僕は藝大の学部の頃から受けたくて、過去の受賞者の名前を見ながらモチベーションを高めてました。前々回の競楽X(優勝:ピアノ佐藤祐介)の時に一次予選落ちしたので、前回受けた時はとにかく予選はインパクトを残せるように、という風に選曲を工夫しました。

松岡 私も学生時代、ドイツに留学する前に受けて予選落ちしたので、前回受けるにあたって随分ブランクがあったので、受けるか受けないかホントにぐじぐじぐじぐじ間部さんに相談してて(笑)。「悩むならやめとけ」と言われて(笑)これで最後にしようと覚悟を決めて受けました。

manabereiko間部 私もアメリカ留学中に何度か受けて、優勝する前は予選落ちでした。ところで、管楽器は当たり前のように現代曲を演奏しますが、弦楽器は、特にソロ作品は少ない印象ですよね。

山澤 普通に学生生活をしていると現代曲を勉強する機会はあまりないんですが、最近は少しずつコンクールでも課題になってきています。高校時代、僕の学年は珍しく作曲の同級生がいなくて、新曲をやりたいと思っていたのに出来なくて、学部に入った時にその反動で「やります!やります!」と。それが新しい作品への興味や意欲に繋がっています。

松岡 私も高校の頃ぐらいから新しいものに興味があって、大学の頃は作曲科の友達と率先し試演会をやったりしてました。

安田 私は作曲科出身でピアノを弾いていますが、ピアノを弾きたいと思って作曲の勉強をしていました。クラシックは大好きだし沢山弾いているけど、同時代の作品を演奏するというのは「使命感」じゃないですけど、そういう気持ちはあります。作曲家の気持ちも分かると思うし、作曲家からの作品へのアプローチも出来ると思って。競楽へはそういう気持ちで参加しました。

maiko_matsuoka間部 前回のファイナルは凄かったですね。松岡さんがファンクでした(笑)。

松岡 私の本来の性格はそういうタイプじゃないんですけど(笑)湯浅譲二さんの《マイ・ブルー・スカイ第3番》を中心に据えて、結果はどうあれ、自分なりにチャレンジしたくて、衣装もいろいろ考えました。

安田 私の衣装はインド製ですから(笑)。

山澤 インド縛りの選曲でしたよね(笑)。僕は逆に黒一色の衣装で、それは、ツィンマーマンの《無伴奏チェロソナタ》が、無音で始まり無音で終わる曲なんで、他の曲も足そうかなと思ったんですが、1曲勝負にしました

yamazawakei間部 武士のような…(笑)。私の頃(競楽VII)は衣装はそんなに凝ってなかったですね。忙しい時期で、予選から本選まで、アメリカと日本を3往復、凄く長かった印象です。

安田 確かに、前々回までは一次予選・二次予選・本選だったのが、前回は予選・本選だったので、2回続けてファイナルに出てみて、雰囲気は違いましたね。前回はガラコンサートみたいな印象でした。

松岡 参加曲について間部さんに相談した時、相談しているうちに間部さんが「出たい出たい!」と言い出しちゃって「代わりに出てください!」なんて話してたんですけど(笑)。他にもいろんな人に相談にのってもらったり、作曲家の友達に演奏を聴いてもらったりもしました。やっぱり凄く難しいコンクールだと思うので、特に予選を通過するのが難しいと思うので。

山澤 ある楽器の友達が、凄く現代曲が得意なのに予選で落ちちゃって、それはひょっとしたら選曲もあったのかなと。

松岡 プログラミングのセンスとか、コンセプトとか、演奏する技術以外のものも求められますね。

安田 私はコンクールに出たことがなくて、コンクールってもっと凄くピリピリして誰もしゃべらないのかと思ってたら、競楽は楽器も編成も違うせいか、みんな凄くしゃべってて(笑)ビックリしたけど、私としてはリラックスして挑めたし、友達増やせる!みたいな感覚だったり、出会いも沢山あったし、共演してみたいなと思った人たちと今回こうやって一緒にアンサンブルが組めたのは嬉しいです。

間部 参加者の曲目リストを見るだけでも面白いですよね。自分の楽器じゃなくても、興味深い作品があったら、その作曲家のフルート作品がないか調べたりだとか。私と山澤くんはもう受けられないので、クラリネット、ヴァイオリン、ピアノの「ミニ・アンサンブル・エクソフォニー」で競楽に出てもらえればと思います(笑)。もう受けられない身としては「この曲を競楽の審査にかけてみたい」という曲があるので、もしフルートの作品を探している方がいれば是非連絡を頂ければと思います。

——みなさんのお話を聞いて、沢山の人が競楽にチャレンジし、それが新たな出会いの場になったり、更なる音楽活動へのステップになれば嬉しいです。貴重なお話をありがとうございました!

 

現代音楽演奏コンクール“競楽XII”の参加要項はこちら!

 

 

アンサンブル・エクソフォニー・トウキョウ Vol.1
2016年5月27日(金)18:30開場 19:00開演
豊洲シビックセンターホール(豊洲シビックセンター5F)

東京メトロ有楽町線「豊洲駅」7番出口から徒歩1分
新交通ゆりかもめ「豊洲駅」改札フロア直結

 

チラシ表間部令子 フルート
岩瀬龍太 クラリネット
松岡麻衣子 ヴァイオリン
山澤慧 チェロ
安田結衣子 ピアノ
大西義明 芸術監督・指揮
大原裕子 代表

 

《プログラム》
Magnus Lindberg (1958-)
Quintetto dell’estate (1979)

Arnold Schönberg (1874-1951) (arr. by A. Webern)
1. Kammersymphonie Op. 9 (1906/1923)

Morton Feldman (1926-87)
Durations I (1960)

Toru Takemitsu (1930-96)
Quatrain II (1977)

eet2016_flyer_back_0205.jpgGérard Grisey (1946-98)
Talea (1994)

 

《チケットのご予約・お問合せ》
一般 3000円/学生 2000円(当日は各500円増し)
exophonie.tokyo@gmail.com
080-8827-9922 (岩瀬)
演奏者各自でも承っておりますのでお問合せ下さい。

Confetti
フリーダイヤル 0120-240-540(通話料無料・受付時間平日10:00~18:00)
発行手数料がかかりますが、予約直後からセブンイレブンで受け取り可能です。

 

主催:アンサンブル・エクソフォニー・トウキョウ
後援:日本現代音楽協会/洗足学園音楽大学/東京藝術大学音楽学部同声会/フェリス女学院大学音楽学部同窓会/Fグループ

5月 13

第12回現代音楽演奏コンクール競楽“XII”


ロゴ

第25回「朝日現代音楽賞選考」コンクール
第12回現代音楽演奏コンクール競楽“XII”

参加要項及び参加申込書pdf版はこちら

概要

●審査委員
安良岡章夫[長](作曲・日本現代音楽協会会員)
金子仁美(作曲・日本現代音楽協会理事)
斉木由美(作曲・日本現代音楽協会会員)
村田厚生(トロンボーン)
溝入敬三(コントラバス・第10回朝日現代音楽賞受賞者)
※役職は2016年1月現在

●日程
【予選】2016年11月4日(金)〜5日(土)
【本選】2016年12月4日(日)

●会場 古賀政男音楽博物館内 けやきホール(代々木上原)

●主催 日本現代音楽協会、朝日新聞社

※本要項は4月に日本現代音楽協会ウェブサイトで発表予定。

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