12月 04

〈現代の音楽展2018〉第1夜「世界に開く窓 岡静代クラリネットリサイタル」1月12日(金)東京オペラシティリサイタルホールで開催


〈現代の音楽展2018〉第1夜
世界で活躍する日本人音楽家シリーズvol.4
世界に開く窓 岡静代クラリネットリサイタル
制作:国際部・福井とも子

2018年112日(金)18:30開場/19:00開演|東京オペラシティリサイタルホール

日本現代音楽協会(現音)国際部は、海外で活躍する優れた日本人音楽家を紹介するシリーズをここ数年続けている。彼らの多くが、海外での高い評価にもかかわらず、日本での活動機会を得にくい状況にあるのではないかと思ったからである。様々な経験を経てきた彼らの存在は、日本で音楽(のみならず何か)を志す人たちにとって、大きな刺激となるのではないかと思う。
シリーズ4回目となる今回は、ドイツ在住のクラリネット奏者、岡静代(おか・しずよ)氏を紹介する。岡は高校卒業後すぐに渡仏。以来研鑽を積み、ヨーロッパを中心に活動を続けてきた。すでに多くの作曲家や演奏家の厚い信頼を得ているが、特にヘルムート・ラッヘンマン来日時に、作曲家の強い希望で、コンチェルトのソリストとして招聘されたことが印象深い。ドイツを拠点とする屈指のアンサンブル・ルシェルシュの中心メンバーとして欠かせない存在の岡は、ソリストとしてももちろん、デュオやトリオなどでも、精力的な活動を展開している。
今回、海外からの作品として岡がプログラムに選んだのは、高い技術と音楽性が求められるヘルムート・ラッヘンマン《dal niente》。クラリネットの魅力と合わせて、岡自身の能力を存分に発揮できる大作である。近年ドイツを中心に注目を集めるアルベルト・ポサダス《Sonolon》は、丹念に書き込まれた超絶技巧の連続であるにも拘らず、美しい音色に溢れた作品。そして、ガーシュインのA foggy dayを下敷きとした、ヨハネス・シェルホルン《a self-same-song》は、ロンドンの霧に覆い隠されたような原曲に、シェルホルンが輪郭を与えた逸品である。  日本現代現音協会会員からは、近藤譲のクラリネットソロ曲。偶然にも、岡氏のフランスでの師、ミッシェル・アリニョンが、1992年に近藤氏に委嘱した作品であり、なんと今回が日本初演である。東京初演となる山本裕之のデュオ作品と、この演奏会のために書き下ろされた渡辺俊哉のトリオ作品、さらに福井の《doublet》は、チェロをバスクラリネットに変えた改作初演である。
共演者は、長年活動を共にするヴァイオリンのヨハネス・ブルーメンルーターと、ドイツで学び、ヨーロッパを中心に活動を続けるピアニスト宮路なのつ。この3人はトリオKônotrioとしても活動しているが、3人揃っての登場は日本初である。どうぞお聴き逃しなく!

日本現代音楽協会 国際部長:福井とも子

 

ヘルムート・ラッヘンマン/Dal niente(1970)
Helmut LACHENMANN/ Dal niente cl solo

山本裕之/楔を打てど、霧は晴れず(2006/東京初演
Hiroyuki YAMAMOTO/ The Wedge is Struck, the Fog Remains cl, pf

ヨハネス・シェルホルン/a self-same-song(2010/日本初演
Johannes SCHÖLLHORN/ a self-same-song bass cl solo

近藤 譲/”接骨木の新芽”からの3つの歌(1992/日本初演
Jo KONDO/ Three Songs from “New Buds on the Elderberry Tree” cl solo

アルベルト・ポサダス/Sinolon(2000/日本初演
Alberto POSADAS/ Sinolon cl solo

渡辺俊哉/あわいの色彩(2017/世界初演
Toshiya WATANABE/ Colors in Between cl, vn, pf

福井とも子/doublet〜vn, bass cl version(2010/2017/改訂版初演
Tomoko FUKUI/ doublet vn, bass cl

※演奏順は予定であり、変更となる場合があります。

 

演奏:岡静代(クラリネット)

共演:ヨハネス・ブルーメンルーター(ヴァイオリン) 宮路なのつ(ピアノ)

 

■チケット(全自由席)
前売一般 2,500円
前売学生 1,500円
当日一般及び学生 3,000円
※未就学児はご入場になれません。

東京オペラシティチケットセンター
[電話受付]10:00-18:00
03-5353-9999
[カウンター受付]11:00-19:00
東京オペラシティビル3F

日本現代音楽協会
[電話受付]10:00-17:00
03-3446-3506
[メール受付]
gendai2018(a)jscm.net

 

【主催】日本現代音楽協会(国際現代音楽協会日本支部)
【助成】公益財団法人ローム ミュージック ファンデーション
【後援】一般社団法人日本音楽作家団体協議会(fca) 一般社団法人日本作曲家協議会

 


岡 静代
  Shizuyo OKA, clarinet

18歳までクラリネットを横川晴児に師事。宇都宮女子高等学校を卒業後渡仏、パリ市立音楽院でギィ・ドゥプリュに、パリ国立高等音楽院でクラリネットをミッシェル・アリニョンに、オーケストラ奏法をギィ・ダンガンに、室内楽をクリスティアン・イヴァルディに、バスクラリネットをジァンーノエル・クロックに師事、すべての科で1等賞を得て卒業。パリ音楽院受賞者オーケストラ、オペラ・エクラテオーケストラ(パリ)での活動を経て、1998年、アンサンブル・ルシェルシュのクラリネット奏者に就任。2000年から ヨーヨー・マと共にシルクロード・プロジェクトに参加、シルクロード・アンサンブルのクラリネット奏者としてヨーロッパ各地で演奏。現在、アンサンブル・ルシェルシュのクラリネット奏者として年間60〜70回のコンサートを世界各地で、また年間3〜4枚のCD録音などを行うかたわら、アンサンブル・モデルン、南西ドイツ放送交響楽団(SWR)、シルクロード・アンサンブルなどでも活躍中。2001年、ラッヘンマンのAllegro sostenutoのCDで、2004年in nomineのCDで、2012年Shadows in ParadiseのDVDでドイツ年間レコード批評家大賞を受賞。これまでにベルリン放送交響楽団、バイエルン放送交響楽団、東京交響楽団、ルクセンブルク交響楽団などにソリスト出演。ザルツブルク音楽祭、ルツェルン音楽祭、ホルツシュタイン音楽祭、シュヴェッツィンゲン音楽祭、パリの秋音楽祭などのヨーロッパ各地の音楽祭で招待演奏。ジォルジュ・クルターク、マーク・アンドレ、細川俊夫ほか多くの作曲家にソロ曲を贈られている。毎年夏のフライブルクでフライブルクバロックオーケストラとアンサンブル・ルシェルシュが合同で行っているアンサンブルアカデミーでの指導をはじめ、ザルツブルクのモーツァルテルム音楽院、モスクワのチャイコフスキー音楽院、ルガノ、エッセン、ワイマール、などヨーロッパ各地だけでなく、メキシコ、南米、中国などでも演奏会とマスタークラスを行い、後進の指導にも活躍中。

ヨハネス・ブルーメンルーター violin
ディーター・フォーホルツに師事、1991年にフランクフルト音楽大学でワルター・フォーヘェルトに師事してソリスト過程を首席で修了する。在学中からEUユース管弦楽団メンバー、またヘルムート・リリングの指揮のもとでシュトゥットガルト・バッハ・コレギウムのメンバーとして活躍。1989年にフランクフルトムターレ・アンサンブルのメンバーに就任、現代作品の初演、CD録音、ラジオ出演など多数。1991年にバーデン=バーデン・フライブルク南西ドイツ放送交響楽団に入団、現在に至る。

宮路なのつ piano
愛知県立芸術大学大学院首席修了後、ドイツ国立フライブルク音楽大学大学院首席修了。室内楽をアンドレアス・ザイデル氏に師事し研鑽を積む。国際ゼミナールにてミヒャエル・ヴォスクレセンスキー、パーヴェル・ギリロフ両氏に師事、エディット・ピヒト=アクセンフェルト女史のマスターコースにて、ファイナルコンサート出演、ディプロム受賞。宝塚ベガ音楽コンクール入選。読売新人音楽賞受賞。フィレンツェのヴィットリオ・グイ国際室内楽コンクールファイナリスト。名古屋弦楽ゾリステンと共演。チューリヒ・ヴォカリステンとロッシーニの小荘厳ミサ曲をルツェルン、チューリヒで共演、ドイツ現代音楽作曲家の作品の初演、2005年よりドイツの演出家、I.ヴァルトヘアのアンサンブル「カント・パローラ」のピアニストとして、ドイツ、スイス、イタリアなどを中心に演奏するなど、国内外にて幅広く活動している。山崎道子、小林光世、水野紀子、松野稀一、ボト・レヘル、ヘルムート・バルトの各氏に師事。

 

 

▼現代の音楽展2018 日程

2/26(月)19:00
ショートコンサートピース展
東京オペラシティリサイタルホール

3/7(水)19:00
現音ユース会員ピアノ作品展
渋谷区文化総合センター大和田6F伝承ホール

3/20(火)19:00
松原智美アコーディオンリサイタル
豊中市立文化芸術センター小ホール

8月 21

「いま聴く 生まれたての音符たち アンデパンダン展」11月29日30日の2夜に亘って全19曲上演


あのクラシックの名曲も

誕生時は最先端の音楽。

2017年秋、「現音」発の

最先端音楽と出会う二夜。

 

 

 

〈現音・秋の音楽展2017〉
いま聴く 生まれたての音符たち アンデパンダン展 第1夜

2017年1129日[水]18:00開場/18:30開演|東京オペラシティリサイタルホール

 

桃井千津子|Chizuko MOMOI
Let the Cat Out of the Bag(作曲2017年初演
土橋庸人(ギター)

森田泰之進|Yasunoshin MORITA
瞬息(作曲2017年)
福田輝久(尺八)

松岡貴史|Takashi MATSUOKA
アルトと三味線のための「古今春秋夜」(作曲2017年)
小川明子(アルト) 稀音家治乃(長唄三味線)

河内琢夫|Takuo KOCHI
ソナタ・パシフィカⅡ(作曲2015年/2017年改定初演
井上雅代(チェロ) 哲J(ディジュリドゥ) 河内琢夫(小物打楽器)

休憩

露木正登|Masato TSUYUKI
セレナードII〜バセットホルンとハープのための(作曲2017年初演
鈴木生子(バセットホルン) 鈴木真希子(ハープ)

浅野藤也|Fujiya ASANO
独白〜ピッコロ独奏のための〜(作曲2017年初演
増本竜士(ピッコロ)

ロクリアン正岡|Locrian MASAOKA
音楽昇華術 I「ある夫婦の物語」(作曲2017年初演
佐藤まどか(ヴァイオリン) 内山厚志(クラリネット)

休憩

宇野文夫|Fumio UNO
ピアノのための「破片II」(作曲2016年)
鈴木智恵(ピアノ)

田口雅英|Motohide TAGUCHI
バリトンとピアノの為の「ダバオ・タモガンの地獄」(作曲2017年初演
松平敬(バリトン) 清水友美(ピアノ)

高原宏文|Hirofumi TAKAHARA
弦楽四重奏のための”手鑑”(作曲2017年初演
松岡麻衣子・亀井庸州(ヴァイオリン) 甲斐史子(ヴィオラ) 松本卓以(チェロ)

※就学前のお子様のご同伴・ご入場はご遠慮下さい。演奏順、曲名は変更となる場合が有ります。

 

制作:日本現代音楽協会事業部

 

チケット:全自由席4,000円

東京オペラシティチケットセンター インターネット予約 電話:03-5353-9999
日本現代音楽協会 電話:03-3446-3506 aki2017(a)jscm.net www.jscm.net

主催:日本現代音楽協会(国際現代音楽協会日本支部)
助成:一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)
後援:一般社団法人日本音楽作家団体協議会(FCA)、一般社団法人日本作曲家協議会

 

 

〈現音・秋の音楽展2017〉
いま聴く 生まれたての音符たち アンデパンダン展 第2夜

2017年1130日[木]18:00開場/18:30開演|東京オペラシティリサイタルホール

 

飛田泰三|Taizo HIDA
Piano(作曲2017年初演
飛田泰三(ピアノ)

倉内直子|Naoko KURAUCHI
自分から最も遠い何か—ヴィオラ独奏のための(作曲2017年初演
甲斐史子(ヴィオラ)

高嶋みどり|Midori TAKASHIMA
『想』〜フルートとコントラバスのための(作曲2017年初演
下払桐子(フルート) 佐藤洋嗣(コントラバス)

休憩

橋本 信|Shin HASHIMOTO
Strange shadows(作曲2017年初演
藤本三四朗(ソプラノサクソフォン) 鈴木真希子(ハープ)

植野洋美|Hiromi UENO
Emission III – for piano solo(作曲2017年初演
植野洋美(ピアノ)

田中範康|Noriyasu TANAKA
時空の中でII  Fl.Cl.Pf.の為の(作曲2017年初演
立川和男(フルート) 武田忠善(クラリネット) 渋谷淑子(ピアノ)

休憩

遠藤雅夫|Masao ENDO
〈クリスタライズ〉4手のために(作曲2016年)
ピアノデュオ ドゥオール(藤井隆史&白水芳枝)

梶 俊男|Toshio KAJI
sculpture for contrabass(作曲2017年初演
佐藤洋嗣(コントラバス)

林 文夫 |Fumio HAYASHI
管・弦四奏者による二章(作曲2017年初演
菊地秀夫・内山厚志(クラリネット) 甲斐史子(ヴァイオリン) 松本卓以(チェロ)

※就学前のお子様のご同伴・ご入場はご遠慮下さい。演奏順、曲名は変更となる場合が有ります。

 

制作:日本現代音楽協会事業部

 

チケット:全自由席4,000円

東京オペラシティチケットセンター インターネット予約 電話:03-5353-9999
日本現代音楽協会 電話:03-3446-3506 aki2017(a)jscm.net www.jscm.net

主催:日本現代音楽協会(国際現代音楽協会日本支部)
助成:一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)
後援:一般社団法人日本音楽作家団体協議会(FCA)、一般社団法人日本作曲家協議会

12月 06

卑弥呼とホームズのヴァイオリン事件簿〜第15回「卑弥呼とホームズの修学旅行」


ヴァイオリン弾きの卑弥呼こと原田真帆です。木枯らしに吹き飛ばされるようにして10月と11月が去って行きました。何が恋しいって、わたしは日本のかぼちゃが大好きなので、ハロウィン・シーズンの南瓜スイーツがこちらでは手に入らなかったことでしょうか。

さて、本日のテーマは、秋の旅。秋になるとどうしても思い出してしまうすてきな思い出があります。今年はその記憶を、どうしても強く強く、刺激されてしまったのでした。

 

 

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12月 04

第34回現音作曲新人賞受賞の言葉〜丹羽菜月


第34回現音作曲新人賞受賞:丹羽菜月

この度、第34回現音作曲新人賞を受賞させていただきました丹羽菜月と申します。オペラシティで拙作が初演され、このような賞を頂けたことを大変嬉しく光栄に思います。

今回私は、フルートの多久潤一朗さん、チェロの豊田庄吾さん、ピアノの安田結衣子さんという素晴らしい演奏家の皆様に恵まれたことが、何より幸運だったなと思います。脈絡も起承転結もない私の作品を、入念なリハーサルによって本当に絶妙なバランスに仕上げていただきました。更に本番での何かの力が働いたかのような神がかった演奏は、いま思い出しても不思議な体験です。音が消えた瞬間、ただ単純に演奏そのものにこみ上げるものがあり、思わず涙ぐみながら舞台に上がっていました。

去年からの留学で自分に致命的に欠けている部分がより浮き彫りになり、この一年は試行錯誤を繰り返していました。ただそんな中で、今回の作品は、苦手の中にこそ好きのヒントが隠れてるんじゃないかと、逆に自分の足りない部分を誇張し、剥き出しにするように書いたので、今までと少し見方を変えられたという点では、良かったのではないかなと思います。だからこそ、今回改めて感じた改善点は多々ありましたが、それはまた次作の契機になると感じています。

審査員の南聡先生、斉木由美先生、久留智之先生とは本選後、作品はもちろんのこと様々なことをお話しさせていただく機会を頂きました。とにかくこれからも、ごまかさず丁寧に、自分の音を探すのみだなと気が引き締まりました。
結果は、これを出発点にこの先どう変わっていくか!という先生方からのエールと受け止め、誠実に、良くも悪くも今まで通りマイペースに、頑張ります。

応援してくださった皆様、ありがとうございました。

▼第34回現音作曲新人賞審査結果はこちら

11月 21

第34回現音作曲新人賞に丹羽菜月さん


前列左から、萩原晴子(入選)、久保哲朗(入選/聴衆賞)、丹羽菜月(第34回現音作曲新人賞)、キム・ヨハン(入選)、青島佳祐。後列左より、久留智之審査員、斉木由美審査員、南聡審査員長、福士則夫日本現代音楽協会会長、佐藤昌弘日本現代音楽協会事務局長。

日本現代音楽協会(会長:福士則夫)は、2017年11月17日(金)18:30より、東京オペラシティリサイタルホールに於いて〈現音・秋の音楽展2017〉「第34回現音作曲新人賞本選会」(審査員長:南聡、審査員:斉木由美、久留智之)を開催し、譜面審査会において入選した5作品の演奏審査を行いました。
厳正な審査の結果、丹羽菜月(にわ・なつき/1991年生まれ)さんの《満たしの“ ”、繋ぎの“ ”》が2017年度「第34回現音作曲新人賞」に選ばれました。
演奏、審査に続いて表彰式が行なわれ、福士則夫日本現代音楽協会会長より、賞状と賞金15万円が授与されました。
また聴衆賞には久保哲朗さんの《Relativity by M.C.Escher》が選ばれました。
なお、来年度の「第35回現音作曲新人賞」は、鈴木純明日本現代音楽協会会員が審査員長を務め、募集要項は後日当協会ウェブサイトで発表します。

※応募総数22作。一次審査:2017年8月26日(金)13時〜

 

第34回現音作曲新人賞本選会結果
2017年11月17日[金]18:30開演 東京オペラシティリサイタルホール

■第34回現音作曲新人賞
賞状、賞金15万円、現音入会資格の認定
丹羽菜月(Natsuki NIWA)
《満たしの“ ”、繋ぎの“ ”》
演奏:多久潤一朗(フルート) 豊田庄吾(チェロ) 安田結衣子(ピアノ)

■入選(表彰状)
青島佳祐(Keisuke AOSHIMA)
《弦楽三重奏の為に》
キム・ヨハン(Yohan KIM)
《Unbeknownst – to》
久保哲朗(Tetsuo KUBO)
《Relativity by M.C.Escher》
萩原晴子(Haruko HAGIWARA)
《Liquid》

■聴衆賞(賞状)
久保哲朗(Tetsuo KUBO)
《Relativity by M.C.Escher》

※入選者は本選演奏順に記載してあります。全作新作初演。

11月 20

アンデパンダン出品者メッセージ2017


アンデパンダン出品者からのメッセージ 

アンデパンダン出品者からのメッセージを50音順で紹介します。

 

◎ まずは植野洋美さんからのメッセージです。

Emission III – for piano solo   (第2夜)

Emissionとは光や熱、香気などの放射を意味し、そこから音の放射というイメージを膨らませて作曲したソロ作品のシリーズとして命名した。Iのフルートソロ作品は’12年に浜離宮朝日ホールにて現音主催の<現音・特別音楽展2011>で多久潤一朗氏によって、またIIのピアノ演奏とライブエレクトロニクス作品は’13年に豊中市ローズ文化ホールにてSé.主催「Sé.現代音楽作品展」で作曲者自身によって初演された。今回のIIIはピアノソロにより、昨年他界した父を追悼したいと思い、できる限り自由な発想を大切にしながら作曲した。

 

神戸女学院大学、大阪音楽大学大学院修士課程、東京芸術大学大学院修士課程、エリザベト音楽大学大学院博士後期課程の各作曲専攻を卒業及び修了。Ph.D.。神戸女学院大学クラブ・ファンタジー賞、吹田音楽コンクール作曲部門第1位、大阪音楽大学コンクール奨励賞、エリザベト音楽大学学長表彰他受賞、国際ピアノデュオコンクール作曲部門、現音新人賞他入選。フェリス女学院大学、エリザベト音楽大学の各講師を経て現在、植野音楽塾塾長、植野音楽芸術・電子技術研究所所長、東京かつしか作曲コンクール企画委員会会長。日本作曲家協議会、日本現代音楽協会、日仏現代音楽協会、日本音楽学会、日本音響学会、IEEE(米国電気学会)他会員。作曲、後進の指導の傍らピアノ打鍵フォームに関する研究をIEEEや国際表現科学学会等の国際学会や日本音響学会等で発表。

 

◎ 次は河内琢夫さんからのメッセージです。

ソナタ・パシフィカII    (第1夜)

今回、私はディジュリドゥとチェロ、打楽器のための「ソナタ・パシフィカII」という作品を発表します。ディジュリドゥとはオーストラリア先住民アボリジニの楽器で、それはシロアリに中心部を食べられて筒状になったユーカリで作られた大変シンプルな楽器です。その起源は一千年前とも一万年前とも言われ、多くの謎に包まれていますが、人類最古の楽器のひとつであることは間違いないでしょう。構造的には大変シンプルですが、その音はまさに木霊、あるいは大地の神の声そのものと言ってもよいほど神秘的です。私は今度の作品でチェロに人間を、ディジュリドゥに自然を象徴させ、その二つを組み合わせることで人間が自然と一体化する、人間が自然のゆりかごに再び包まれる、という、おそらくは人類が遥か昔から夢見ていたであろうヴィジョンの一万分の一か一億分の一でも表現できたら、と思います。ディジュリドゥを担当するのは日本における第一人者、哲J氏。おもに映画音楽や先鋭的なロックのシーンで大活躍する大変クリエイティヴなアーティストです。チェロは長年私の作品に携わってくれている井上雅代氏。

打楽器は今回、私が担当します。先日、井上氏とだけリハーサル兼打ち合わせを行いましたが、大変よい手応えを感じました。皆さん、ぜひ聴きにきて下さい。

 

◎ 次は高嶋みどりさんからのメッセージです。

『想』〜フルートとコントラバスのための     (第2夜)

 

作品は夢幻能のような構想を持ち、渋くて甘美な色合いや、日本独特の時間構 造を持つような演劇作品を制作したいと考えながら作曲しました。

場面は晩秋の水辺。とある老年の男女が佇む。あたりには黄紅緑が混ざり、舞 い落ちた葉を漂わせる水面から突如羽音を立てて飛び立つ鳥の群れ。冷たい 風、凛とした空気、静けさ、かさこそと擦れる葉音・・・。 しばらくすると、コントラバスの長いハーモニクスのまわりを纏わりつくよう にフルートが奏でる場面となる。眉目秀麗な若い男女が戯れるのどかで甘美な 情景を表現している、夢の中での出来事のように美しい回想シーンである。 ひとときの幻想を見た後ふと現実に還ると、そこには又より添う老年の男女の姿。

コントラバスとフルートは、太鼓や大皮、笛や尺八などの和楽器等の多様な音 色表現も要求されるだけではなく、あたりの風景や気配の描写もしながら、見 た目でも(現実の奏者自身が)老若の男女に扮して心理的な揺れや変化の表現 も要求される等、一人何役もの役柄や役割を演じたり表現することが求められ ています。

下払桐子、佐藤洋嗣 ,両氏のすばらしい演奏で初演していただけますことをと ても嬉しく有り難く存じております。又、このたび発表の機会をお与えくださ いました現音の諸先生方や関係者の皆様方に、深く御礼申し上げます。

◎ 次は高原宏文さんからのメッセージです。

弦楽四重奏曲のための手鑑      (第1夜)

 

グローバル化した現代社会の中で作曲という行為の持つ意味、そして自分が手掛ける技法と民族性の関連等々、未だに明快な答えが見出せない中、弦楽四重奏曲と言う最も密度の高い編成の曲をどの様に書くか、試行錯誤の中での作業でした。

 

◎ 次は露木正登さんからのメッセージです。

セレナードII~バセットホルンとハープのための(2017)      (第1夜)

 

今年2月1日、「デュオ・コンチェルタンテII(幻想曲風に)」というタイトルでバセットホルンとピアノのための作品を初演した。そのとき、バセットホルンのための作品を連作することを予告していたが、これはその第2作目にあたる。

バセットホルンのためのデュオ作品ということで、前作と同じような感じになることを避けるためにピアノではなくハープとの組み合わせにしてみたのだが、意欲的だったのはそこまでで、五線紙を広げるとたちまち気力をなくしてしまった。ハープという楽器のために曲を書くことの困難さはよくわかっていたつもりであるが、作曲は当初の予想通り、非常に難航した。

前作と同じ5楽章形式であるが、この「セレナードII」は両端楽章(第1と第5楽章)だけでも、あるいは3つの中間楽章(第2、第3、第4楽章)だけでも演奏することが可能である。また、全曲演奏する際にも、3つの中間楽章は任意の1つあるいは2つの楽章だけを取り出して演奏してもかまわないし、3つの中間楽章の順番を入れ替えてもかまわないという構成になっている。

前作の場合は、全5楽章の順序を入れ替えたり省略したりすることは絶対に不可能で、全5楽章がひとつの音楽的な流れの中に確定的に構成されていたが、今回の「セレナードII」は同じ5楽章制でもそれらがひとつの音楽的な流れの中に確定されず、演奏のたびに構成を変更できるところが前作との大きな違いである。

第3楽章のハープ・パートは、来年2月に開催される「ショートピース展」のために書いたハープ独奏曲「アラベスク」の前半部分がそっくりそのまま使われていて、あとからバセットホルンのパートを重ねたものである。本当は石井眞木の「遭遇II」のように別々のスコアを同時演奏する、みたいなことをやってみたかったが、私にはそれは難しすぎる課題であった。この第3楽章を「アラベスク~ハープ独奏のための」に差し替えて演奏することも可能で、その際、バセットホルンは全休となる。

私はいわゆる特殊奏法、楽器から新奇な音色を得ることにはあまり関心を持たないが、音楽の時間構成についてはいろいろと実験するべきだと思うし、まだまだ大胆な発想ができず平凡な曲に終わっているが(発想してもそれを記譜するための方法が見つからない)、今後も音楽の時間構成については自分なりの実験をしたいと考えている。

 

◎ 次は松岡貴史さんからのメッセージです。

アルトと三味線のための「古今春秋夜」  (第1夜)

今から千年以上も前の平安時代に編まれた古今和歌集。本日は、春の夜、秋の夜を詠んだ二首をアルトと三味線でお届けします。

1.春の夜の闇はあやなし梅の花 色こそ見えね香やは隠るる(凡河内躬恒)

[春の闇は、梅の花の色を見えなくしても、香りを隠せるだろうか。]

2.天の川 浅瀬しら波たどりつつ 渡りはてねば明けぞしにける(紀友則)

[(彦星が)天の川の浅瀬がわからず、白波をたどっても(織姫のいる)対岸に渡りきれないうちに、夜が明けてしまったよ。]

三十一文字の言外に込められている想いや情趣を読み解き、想像の翼を広げるのも、興味深いことです。小川明子さんと稀音家治乃さんの阿吽の呼吸をお楽しみください。

 

東京藝術大学作曲科卒業,同大学大学院修了。1981年,ドイツ学術交流会(DAAD)の給費留学生として渡独。1982年シュトゥットガルト市作曲賞,1985年エルディング・オルガン曲国際作曲コンクール第1位,第30回徳島県芸術祭最優秀賞(1996年)他の受賞。最近では特に,「中国・四国の作曲家in徳島」(2012年,2016年)など,地域文化貢献・子ども達参加を含む現代音楽の祭典のプロデュースや,「満月の夜の伝説(ミヒャエル・エンデ)」(2012年),「竹取物語」(2017年)など,音楽・朗読・映像コラボ作品の制作・公演にも力を注いでいる。現在,徳島文理大学教授。鳴門教育大学名誉教授,日本現代音楽協会,日本作曲家協議会,日本音楽表現学会会員。

 

◎ 次は桃井千津子さんからのメッセージです。

Let the Cat Out of the Bag     (第1夜)

 

本作品は、イソップ物語に基づくネズミや猫、鳥たちの回想です。

ギターソロに他の音も含まれていて、非業の最後を迎えた鳥たちへの祈りを表します。

現代社会における矛盾や格言が大きなテーマで、連作のうち一部分の発表となります。

以下、プログラムノートとは別の角度から、コンセプト詳細を書かせていただきます。

 

創作の根幹

「再演可能」・・身近な楽器による小編成の作品で、3.11や自らの経験に基づきます。

「印象的な旋律」・・特殊な音階が現れる箇所や、対称となる小節間の反復で表現します。

「無駄な音の削除」・・なるべく少ない音での良い配置、永遠の課題です。

「制限項目」・・本作品に関しては、数字や確率、対称性、特殊な音階など使用します。

 

これまでのあらすじ(《ベル・ザ・キャット(猫に鈴をつける)》より)

 

1.2016年初演(第1部~第3部)

猫に鈴をつける事を嫌がるねずみたちが首輪をたらいまわしする(嫌な事を引き受ける)。

・・・演奏者全員が鈴付き首輪をバトンリレーのように渡す演出付き。ピアノ2、プリペアドピアノと歌3、ヴィビラフォン2の3部構成。

※最後に鈴はピアノの蓋に入れられましたが、うっかり回収し忘れ、その後は不明です・・

 

2.2017年初演(第4部、間奏曲、第5部)

一方猫は、鳥たちをだまして家に呼び、一匹残らず食べる(簡単に信用できない)。

・・・指揮付き室内楽と電子オルガン伴奏付き歌の中間部を持つ3部構成。

 

3.(第6部~第8部)

ねずみを救う救世主(犬)が登場(良い日は誰にでもある)。

・・・第7部が本作品にあたり、残りは未完。「犬テーマ」が次回のスピンオフ作品予定。

 

・・・・・読んでくださり、ありがとうございました。・・・・・

 

◎ 次はロクリアン正岡さんからのメッセージです。

音楽昇華術 I「ある夫婦の物語」    (第1夜)

 

我が理念空間を2017年アンデパンダン展直前の観点から語る 

“魂”を仲介項あるいは共通項として片や霊と、片や心とがある。人間誰しもそうなのではないか?果たしてロボットは自分というものを意識できるだろうか。出来なければ自分というものも存在していないことになる。自分のあり方は人それぞれだがそれを対象化する機能は“何者でもない無”であり、だからこそ自分というものを実感できるのだ、と思う。霊は、それ自体としては“無”ではないが、自分に対しては「自分でない」ものとして鏡のように振舞える“無”なのである。意識とはそういうものだろう。

今回の作曲では、自分の心の中で妻になったり夫になったり豊田真由子になったり男性秘書になったり、と忙しかったがやはり常に明鏡止水の心境にあった。なぜなら楽曲のどの瞬間にも全体感が現存してしかるべきだからである。

私の大好きな絵画鑑賞。まずは全体が与えられ、そのなかで自由に視線を動かすことが出来る。音楽はその運びそのものが“視線の動き”であり、人々が普段から持っている意識の全体感が“それ”に従って変容し一枚の画布となって行く。だが、楽曲の演奏が終了した時点で果たして我々は生々しく画布を目にし得ているだろうか。いや、我々は画布の中身のようでもあり、はたまた朧気にそれを見ている視線のようでもある。

だから音楽は、心とも、霊とも言い切れず、魂のあり方に一番近いように思えるのだ。

霊と心とを繋ぐもの、あるいはその重なり合う部分が魂。といっても音楽は魂そのものではない。“魂に寄り添う女”だというべきだろう。ストラヴィンスキーも「元来、音楽の雰囲気は女性的なものだ」との言を書物に残している。

 

さてさて、ここまで、天上気分で文を認めてきたが、楽譜そのものは音を鳴らしはしない。

単なる音化ならパソコンでもできるし、音程そのほかの完璧さならそれに限るともいえよう。ところがパソコンには心も魂も霊もない。お客様に音楽を食して頂くにはやはり味見しながらの音化活動を通す必要がある。歴史の中で、作曲と演奏の両活動はここまで専門化し、だからこそ、美よりも面白さに於いて高度な音楽鑑賞も可能になって来ているのだ。だが当然の前提として、楽譜への忠実度はパソコンでもロボットでもない人間様たる演奏者にも求めねばならない。しかるに、楽譜への忠誠心、誠実さは人間ならではのものと思われる。

 

以上は、プログラム冊子の文章に繋がるものでありますが、音楽や芸術全体をも超え、人類の先行きを考える上で避けて通れない切実な問題を紐解きつつ、その為の観点を提供出来ればと思うので、私LMのホームページもご参照頂きたく存ずる次第です。2017.11.20