競楽XII本選出場者紹介〜中山加琳(ヴァイオリン)

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▼本選演奏曲
藤倉 大/Samarasa for violin(2010/new version 2014)
Pierre BOULEZ/Anthèmes 1 pour violon seul(1992)

 

この度、競楽本選会に出場させていただけること、大変嬉しく、光栄に思っております。

藤倉大氏の作品名「Samarasa」には、氏によると、サンスクリット語で「心の平衡(mind at rest)」という意味が込められています。一音ごとの弦の移動や普段使われないポジションによって、その不自然さがメロディに美しい揺れを引き起こします。不自然な運動によって、生みだされる音楽からは、不安や焦りの感情も見え隠れします。エネルギーをふつふつとため、後半、一気に激しさを増し、爆発したあとは静かに落ち着いて、遠くに消えて行ってしまいます。その心の様を表したいと思っています。

今年(2016)に亡くなられたブーレーズ氏の「Anthèmes 1」は、メニューイン国際コンクールのために書かれた技巧的に難しい曲ですが、瞑想的であったり、急にアップテンポになったり、不規則なリズムになったりと、パッセージやテンポがコロコロと変わって、あたかもフランス語の詩や会話のように聞こえます。まるで誰かが何か言いたいことがあるのに、言いかけては途中でやめて、別の人が割って入ってくる、そんな風にせわしなく場面が変わって進んでいくようなイメージを膨らませてくれる作品です。

作曲家の込めた想いやメッセージが皆様に届きますように。

◎プロフィール

桐朋女子高等学校音楽科を経て、桐朋学園大学音楽学部卒業。ドイツ国立フォルクヴァング芸術大学演奏家修士課程を最優秀の成績で卒業後、現代音楽科(同大学修士課程)へと進む。石井志都子、Jacek Klimkiewicz, Günter Steinke, Hannah Weirichの各氏に師事。第16回Luigi Nono国際コンクール第1位、第4回Maria Grazia Vivaldi国際コンクール第1位、第9回大阪国際音楽コンクール第2位。現在ドイツ拠点の現代音楽アンサンブルEnsemble CRUSHの一員としてソロ、アンサンブルで活躍中。http://ensemble-crush.com/

 

▼予選演奏曲
Salvatore SCIARRINO/Sei Capricci Per Violino(1976)
Adriana HÖLSZKY/Klangwaben-Signale für Violine Solo(1993)