現音作曲新人賞入選者からのメッセージ〜引地誠

引地初めまして。今回「第32回現音作曲新人賞本選会」で《超流動 -superfluidity-》を演奏していただくことになりました引地誠と申します。

今回のテーマ「弦楽四重奏」は機会を得て是非チャレンジしたい編成でした。2012年に大学の学内演奏会で弦楽三重奏曲《”strange shapes” for violin,viola,violoncello》という曲を作曲したことがあります。この曲はリズムが常に細分化されテンションも常に高く維持しなければならない複雑な曲でしたが、演奏者から弦楽器について貴重なアドバイスや話を直接的に伺うことができました。その時の経験を生かして今回の現音作曲新人賞に挑戦しようと思いました。

作品名の《超流動 -superfluidity-》とは、極低温において液体ヘリウムの流動性が高まり、液体が容器の壁面をよじ登ってこぼれ出したり、原子一個程度の狭い隙間から流れ出るといった不思議な現象を言います。弦楽三重奏”strange shapes”=「不思議な形」では「トポロジー・位相」という数学的概念を元に「変形」することに着目しましたが、弦楽四重奏《超流動 -superfluidity-》では物理学においての粒子レベルの「変化」・「移動」の形態をテーマにしました。一定の形状を持たない液体ヘリウムの粒子の不思議な物質移動の現象に魅かれました。今回の作曲コンセプトは『「変化すること」・「動くこと」が、まさに”時間”を生み出す要因である。』に集約できます。「変化すること」「動くこと」の繊細な関係性を創造することが”時間芸術”としての音楽の重要なファクターであると考えて作曲しました。

 

 

32thJAC〈現音・秋の音楽展2015〉
第32回現音作曲新人賞本選会
テーマ:弦楽四重奏

2015年1112日(木)18:30開場/19:00開演|渋谷区文化総合センター大和田6F伝承ホール

 

▼プレトーク:テーマ「弦楽四重奏の新たな可能性」18:40〜 出演:福士 則夫・南 聡

▼第一部:入選作品演奏審査

(1) 引地 誠/超流動 -superfluidity-(作曲2015年初演)

(2) 見澤 ゆかり/ジャングル – ソナタ〜ワルトシュタインへのオマージュ〜(作曲2015年初演)

(3) 川合 清裕/アンフォルムII〜弦楽四重奏のために〜(作曲2015年初演)

(4) 増田 建太/史実の花(作曲2015年初演)

▼第二部:日本現代音楽協会会員作品上演

(5) 福士 則夫/CALLING for string quartet(作曲2013年)

(6) 南 聡/第2アリア…(細胞癒合化作用前の)(作曲2015年初演)

▼講評・結果発表・表彰式 20:45頃〜

演奏:
佐原 敦子・小杉 結(ヴァイオリン)阿部 哲(ヴィオラ)豊田 庄吾(チェロ)(1)(3)(6)
甲斐 史子・松岡 麻衣子(ヴァイオリン)般若 佳子(ヴィオラ)宮坂 拡志(チェロ)(2)(4)(5)

審査員:金子 仁美(審査員長)鈴木 純明 山本 裕之

※就学前のお子様のご同伴・ご入場はご遠慮下さい。演奏順は変更となる場合があります。

 

チケット:全自由席 一般2,000円 学生1,000円

主催・チケット・お問合せ:日本現代音楽協会(国際現代音楽協会日本支部)
TEL: 03-3446-3506 E-Mail: aki2015(a)jscm.net

助成:一般社団法人日本音楽著作権協会
後援:一般社団法人日本作曲家協議会  一般社団法人日本音楽作家団体協議会