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8月 19

卑弥呼とホームズのヴァイオリン事件簿〜第3回「ヴァイオリン弾き、整理魔を目指す」原田真帆


maholmesこんにちは、ヴァイオリン弾きの原田真帆です。
『卑弥呼とホームズのヴァイオリン事件簿』第3回です。

そんなわけで、前回まではわたしとホームズの関わりについてつづりました。トップの画像のうさぎさんとねこさんも、すっかりホームズとワトスンに扮していますね。

このうさぎは、わたしのオリジナルキャラクターで、その名を「うさギ」といいます。わたしの分身のようなもので、時に彼らの世界、つまり紙の上で、わたしに代わって飛行機を操縦したり、一輪車に乗ったり、様々なことに挑戦しています。このうさギ、ホームズの格好をすると「マホームズ」と呼ばれています。これはこのコラムの編集さんがつけたあだ名で、わたくしの名前「まほ」を文字っているわけです。

お隣のねこさんは「八われねコ」。顔の模様がこのようになっている猫を「八われ(はちわれ)」というのです。せっかくホームズがいるので、ワトスンも必要ですね。そこで編集のTさんのお名前の一部をお借りして、こちらのねコさんには「ワトモスン」になってもらいました。

マホームズとワトモスン、二人三脚で「事件」を解決していきますので、どうぞ末永くかわいがっていただけたら嬉しいです。

 

さて前置きが長くなりましたが、本日の事件(テーマ)は「引っ越し」
今わたしは人生2度目の引っ越しに直面しています。ただし、現在の住居をまるきり空っぽにしなくて良いこと、むしろ荷物を最小限にして出かけることから、引っ越し準備としてはかなり気楽な方かもしれません。

行き先が海外なのを除けば、ですけれど!

引っ越しの前に、真剣に整理整頓したのです。そのひとつが楽譜たち。とりあえず最低限のメンバーのみ持って行き、必要に応じては家族に送ってもらうことも考えて、伝わる分類が必要でした。

ソロの譜面はエクセルで表を作って、ナンバリングしました。あれ、これって楽譜のマイナンバー制度なのか? これで「何番お願いします!」と言えば誰にでも伝わるのです! あれ、これって楽譜のマイナンバー制度なのか?

室内楽や新曲などは、専用のファイルを作りました。室内楽、新曲、アウトリーチなどで使う小品たち、そしてオーケストラの譜面。ソロの譜面はABC順に立てていますが、クリアポケットのファイルに入れる場合は、後から後から増えるものを入れ替えるのは大変なので、手元にある順に入れては楽曲名を目次に書き足しています。

そしてすべての総覧を作成中ですが、これは渡航前には終わらないんじゃないかな、ちょっとそんな気がしています。

 

maho3-1

 

もともと楽譜総覧を作ることを夢見て、何年か前から、気が向いた時にコツコツとエクセルに楽譜のタイトルを打ち込んでいました。しかし収納に関しては、手持ちの譜面のうち半分程度が、手付かずに等しい状態でした。

1年ほど前、溜まりに溜まった譜面たちをどうにか整理しようとついに卑弥呼は立ち上がり、おしゃれな百円均一ことセリアに足繁く通い、ファイルなどをたくさん買いました。それはもう思い切りよく。何冊もファイルをカゴに入れた時は、少し快感すら覚えていました。

かなり根気のいる作業でした。とても楽譜の山が無くなる景色を想像できずに、気持ちが滅入った日もありましたが、結局最後には、ただ積み上げていた楽譜すべてファイルに納め、今は綺麗に棚に収まっています。

楽譜を探すのがそれまでに比べてえらく楽になり「なーい、なーい、楽譜がなーい!」という不毛な時間がなくなりました。また本番後に演奏を振り返りながら譜面を元の位置に戻したり、新たに目次に足したりする作業は、ちょっとした楽しみでもあります。

 

maho3-2努力の甲斐あって今回の「置いていく楽譜リスト」「持っていく楽譜リスト」もコピー&ペーストで簡単に作れました。さて、楽譜の整理に引き続いて、わたしはクローゼット断捨離にも取り掛かりました。

そこまでたくさん服を持っているほうだとも思いませんが、それでも着ていない服って、あるんですねぇ。こちらも楽譜同様、一旦すべての所持品を床に並べて分類しました。せっかく楽譜が片付いた部屋だったのに、間もなくクローゼットから出された衣服で埋まってしまったわけです。

クローゼットはかなりすっきりさせて、着なくなった服はユニクロの難民への服チャリティーのキャンペーンに出したり、古着としてリサイクルに出したりしました。はじめわたしは、自分が着なくなった服と言えど、難民キャンペーンに出すことを躊躇しました。この子(服)は、どんなところに行くんだろう、苦しい思いをするんじゃないか、過酷な環境に送ることができようか…

maho3-3その後、いいや家で眠っていることがこの服にとって幸せか? 普段難民に関するニュースを見て胸を痛めているのは誰だったか、それともそれは偽善だったのか? と自問自答を続けた結果、

「自分が着の身着のまま疎開をしたら、服をいただけることがどれだけありがたいか。その時の安心した気持ちや笑顔は、この子(服)にとって一番幸せを感じられるものではないか」

という思考に行き着いたので、「行ってらっしゃい、いつかまた会おう」と輪廻転生を信じて店頭の回収ボックスに置いてきたのですが

考えすぎじゃね? というツッコミが聞こえてきます。
ええ、よく言われます。

 

物への執着が強いタイプです。それは物ひとつひとつに人格を感じてしまうせい。でもこれを失ったら、幼い日の純粋さを失うような気もして、その思考だけは断捨離していません。これが無くなればかなり楽な暮らしができることも、重々承知してはいるのですが…ね。

机の引き出しの中などを見渡して、留学先に持っていく私物を検討しながら、ああわたしのような人間は、いっそミニマリストになったほうが、対話する必要のあるモノが減って暮らしやすいのかもしれないなぁ、とふと思いました。

そこで向こうではミニマリストになろうかと画策してみたのですが、日本から持っていく文房具用の箱に、マスキングテープをすかさず入れているあたり、ミニマリストには向いてないかもしれません。

というわけで次回はロンドンからの執筆になるでしょう。無事に荷造りが済んで無事に渡航して、無事に執筆できることを、ワトモスンさんと一緒にどうか祈っていてください。わたし自身が最も強く願っています、ええ、荷造りが終わることを。

 

 

maho_harada文・絵:原田真帆
栃木県出身。3歳からヴァイオリンを始める。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校を経て、同大学音楽学部器楽科卒業、同声会賞を受賞。第12回大阪国際音楽コンクール弦楽器部門Age-H第1位。第10回現代音楽演奏コンクール“競楽X”審査委員特別奨励賞。現代音楽にも意欲的に取り組み、様々な新曲初演を務める。オーケストラ・トリプティークのメンバー。これまでに萩原かおり、佐々木美子、山﨑貴子、小川有紀子、澤和樹、ジェラール・プーレ、小林美恵の各氏に師事。

 

 

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