現代音楽演奏コンクール“競楽X”ファイナリスト紹介〜白井 奈緒美(サクソフォン)

現代音楽演奏コンクール“競楽X”ファイナリスト紹介
白井 奈緒美(サクソフォン)Naomi SHIRAI

▼本選演奏曲
酒井健治/イニシャルS(2010)

 

今回トップバッターで、サクソフォーン奏者は初めてのファイナリストとのことで頑張りたいと思います。

 

※以下作品初演時のプログラムより転載

 

白井奈緒美さんから依頼を受けて書かれ、その依頼の際にS(エス)に基づいた作品を、という事で、どの様に作品に取り組むか楽しんで書きました。この作品中でテーマになる幾つかの単語を引用出来ます。ドイツ語のエス音(Es、ミのフラット)を中心にした、対称的に(シンメトリー、Symmetry)音が配置されたハーモニー構成、フュギュアはシンコペーション(Syncopation)をベースにされており、それとはまた別に、音階(スケール、Scale)を元に、耳の錯覚を引き起こす様な螺旋状の(スパイラル、Spiral)フィギュアを形作るものもあり、それらの音型が飽和状態(サテュレーション、Saturation)も至ったり、突然短い休止が挿入されたり(無音、サイレンス、Silence)して音楽が展開されていきます。この作品は極めて技巧的な作品で、演奏が難しい作品です。僕は、演奏者と一緒に楽器演奏の可能性を拡げる様に曲を書く事を好み、ただ単に既に出来上がった楽譜を演奏して頂くだけでは無くて、一緒に話し合いながら音を選び書く事、それも創作の一部だと考えております。今回、その作業を白井奈緒美さんと出来、こうして発表する場を与えて下さった事に感謝致します。(酒井健治)

◎プロフィール
くらしき作陽大学音楽学部音楽学科、パリ国立高等音楽院サクソフォーン科一等賞卒業。卒業時にメイヤー賞受賞。第4回アドルフ・サックス国際コンクールセミファイナリスト。ローレア国立管弦楽団サクソフォーンソリストを務め2008年帰国。ドイツにてK・シュトックハウゼンコンサートに2008、2009、2010年と出演し演奏家賞受賞。2010年香川県文化芸術新人賞受賞。http://sproject2011.blog98.fc2.com/

 

▼第一次予選演奏曲
酒井健治/イニシャルS(2010)

▼第二次予選演奏曲
Luciano BERIO/Sequenza IXb(1980)