2008年1月18日更新
 


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大衆性は必要か

2007年度芸術監督:三枝成彰

クラシック音楽とは本来、選ばれたエリートたちのための音楽であった。その歴史を振り返ってみよう。クラシックとはラテン語でクラシクス、すなわち「納税者階級」という意味である。中世、王権国家に税金を納めていたのは特権階級であり、彼らが音楽家たちを庇護し、育てていた。あのバッハもサラリーマンであった。彼らは貴族の要請に従って曲を作り、演奏していたのだ。またそれを聴く聴衆も、教養のある選ばれた人々であった。つまりこの時代の西洋音楽は、芸術を解する人のためにだけ作られていたのである。

ベートーヴェンやモーツァルトのころになると、音楽家は自由業となった。委嘱を受けて作品を書くこともあったが、自分の表現をしたいという欲求が募り、そのために技術を磨き、楽想を練って書くことも多くなる。請け負い仕事をこなす職人から、表現の高みを目指す芸術家への変化である。そしてロマン派になると表現への欲求はさらに高まり、おのが芸術によって世に認められたいと思うようになる。作曲家は今まで誰も聞いたことのない音楽を作ってやるという意気込みで作品に奇抜な趣向を凝らしていったが、自分のやりたいことをつきつめた結果、それを金に換えることができた者とできなかった者がいた。

そして20世紀。音楽家に試練が訪れる。進みすぎた芸術性はそのコンセプトを理解できない聴衆を置き去りにした。その結果、音楽を作って生活を成り立たせることが難しくなる者も出てきた。そこで芸術の追求を重んじながら、作品を売る以外の方法で生活を成り立たせるための手段として、バルトークやシェーンベルクらは大学の教授になる道を選んだのである。

1945年の第二次世界大戦終結後、ポップスがマーケットにおいて大きなシェアを獲得していくに従って、それを支持する大衆が文化の担い手となってゆく。ポップスの世界に芸術性を追求する者は少ないうえ、なおかつ「著作権」という名の魔物の出現によって、売れるもの(大衆性のあるもの)を作ることが重要視されていった。この大衆性と芸術性の乖離を、芸術音楽=クラシックの作り手である私たちはどうとらえるか? 誰しもがそれに日々悩み、答えを探していることと思う。ここまで全世界に浸透したポップスの影響力を取り除くことは、今さらできない。だからといってクラシックの存在意義が失われたわけでもないだろう。私としては、クラシックを愛好する人はもはや人口の1パーセントしかいないのではないかと考えている。もう一度、芸術家としてのマインドを持って、その1パーセントの人たちに理解され共感を得るものが作れれば、それでいいではないだろうかと。何でもありの時代となった今、「クラシック音楽とは何か?」という大きなテーマに答えを出すには、自分なりの方法で一生かけて取り組むしかないと思っている。

[合唱]合唱表現の新たな領域へ向かって- 田中信昭がワークショップから創り上げる合唱の醍醐味
(1)現代合唱の領域Ⅱ~田中信昭 第15回朝日現代音楽賞受賞記念演奏会

制作:山内雅弘

2008年2月17日(日)
■13:30開場/14:00開演
■東京文化会館小ホール
 ▲JR上野駅公園口前
■全自由席3,000円


左:田中信昭 右:新しい合唱団

[1]森田泰之進/うたのはじまり、ことばのはじまり
~The Oldest Song, The Oldest Words( 2007/初演)
新しい合唱団


[2]山本純ノ介/無伴奏合唱組曲Ⅱ番 Panta rei
~西行『捨てしをりの心』他~(2007/初演)
佐倉混声合唱団


[3]一柳 慧/鎮魂歌[詩:木原孝一](1985)
マーキュリー・グリー・クラブ、新しい合唱団


[4]松平頼曉/Le Tombeau de Olga Brodsky[詩:松井 茂](2007/初演)
新しい合唱団

[5]小鍛冶邦隆/銀色夏生の詩による混声合唱のための《マドリガルⅣ》(2007)
合唱連盟「虹の会」 中嶋 香(ピアノ)



【指揮】田中信昭

今回も多様なスタイルの意欲的な作品が並びました。 4つの気鋭の合唱団とのコラボレーションも興味を惹 きます。田中氏の適確な解釈によって、合唱表現の新 たな可能性を実感されることでしょう。

[オーケストラ]現音がオーケストラを創った☆

 コンミスは甲斐史子(ROSCO/第12回朝日現代音楽賞受賞)

(2)響楽Ⅱ~若手演奏家&音大生オーケストラによる現代作品ワークショップコンサート

制作:夏田昌和、松尾祐孝

2008年3月3日(月)
■18:30開場/19:00開演
■紀尾井ホール(四ツ谷)
■全自由席2,000円


甲斐史子(ヴァイオリン)

[1]高嶋みどり/管弦楽のための〈揺りかごの宇宙〉 (2007/初演)

[2]小林 聡/フルート協奏曲 (2007/初演)

[3]山本繁司/サウンドスペース~オーケストラのための (2007/初演)

[4]松岡貴史/オーケストラのための〈メーロス プネウマトス〉 (2007/初演)

[5]水野みか子/蜃気楼消えなば宿るところなし (2007/初演)

【指揮】松尾祐孝(作曲家/洗足学園音楽大学教授)
夏田昌和(作曲家/国立音楽大学准教授)

【演奏】響楽オーケストラ2008

【協力】国立音楽大学 洗足学園音楽大学

1991年の〈東京現代音楽祭〉で開催した「響楽」は、小学生オーケストラが暗譜で現代作品を演奏するなど、鮮烈なイメージを残した企画でした。
今回は、現音が自らオーケストラを編成し、現音会員作曲家の最新作を紀尾井ホールで上演するという意欲的な試みです。

[室内楽]パリ大会での初入選から70年 100曲を超える〈World Music Days〉音楽祭邦人入選作の歴史から
(3)世界に開く窓~ISCM“世界音楽の日々”を中心に~日本からの発信

  制作:国際部、松平頼曉

2008年3月7日(金)
■18:30開場/19:00開演
■すみだトリフォニーホール小ホール(錦糸町)
■一般3,000円/学生2,000円
 (全自由席)



[1]松平頼曉/シミュレーション(1975年パリ大会入選)
橋本晋哉(チューバ)

[2]福井とも子/Schlaglicht (2005年ザグレブ大会入選)
辺見康孝(ヴァイオリン) 中村和枝(ピアノ)

[3]坪能克裕/弦楽四重奏曲 (1974年ロッテルダム大会入選)
野口千代光・花田和加子(ヴァイオリン) 甲斐史子(ヴィオラ) 松本卓以(チェロ)

[4]下山一二三/風紋Ⅵ (1975年パリ大会入選曲の室内楽版)
菊地秀夫(クラリネット) 長明康郎(チェロ) 宮本典子(打楽器) 岩下哲也(技術)

[5]湯浅譲二/チェロとピアノのためのプロジェクション
(1991年チューリッヒ大会国際審査員作品として演奏)
富永佐恵子(チェロ) 佐々木京子(ピアノ)

[6]外山道子/やまとの声(1937年パリ大会入選)
 太田真紀(ソプラノ) 田中隆英・益田真理(フルート) 有馬理絵(クラリネット)
 塚原里江(バスーン) 長明康郎(チェロ) 安良岡章夫(指揮)

[オペラ]20世紀を超えるオペラへの新たな挑戦
(4)オペラ・プロジェクトⅡ~モノ・オペラ二題

  制作:佐藤昌弘

2008年3月15日(土)
■17:30開場/18:00開演
■東京文化会館小ホール
 ▲JR上野駅公園口前
■全自由席3,500円


左:松平 敬(バリトン) 
右:新藤昌子(ソプラノ)

[1]門脇 治/ボルヘスの時間(2007/初演)
【台本】村上茂伯 【出演】松平 敬(バリトン)
知人から譲り受けた本をよんでいるうちに、男は現実と幻想の境目に迷い込んでしまう。
現実の不条理と幻想との狭間で、自身の存在やあらゆるものの存在があやうくなっていく…。


[2]三枝木宏行/モノローグ・オペラ「赤ずきん」(2007/初演)
【台本】三枝木宏行 【出演】新藤昌子(ソプラノ)
初夏のある日、列車に揺られて旅の少女が一人。赤い頭巾の彼女の名は-「思い出せないわ…」
見知らぬ土地と森を彷徨い、ようやくたどり着いた「終着駅」 そこで彼女は自らの真実を知る事に…。


【指揮】松尾祐孝

【演出】飯塚励生

【舞台監督】岸本多加志

【照明】辻井太郎

【エレクトロニクス制作協力】洗足学園音楽大学/音楽・音響デザインコース

【演奏】田中隆英(フルート) 有馬理絵(クラリネット) 桑田 穣(ヴァイオリン) 高田剛志(チェロ) 藤田朗子(ピアノ)

2006年の公演に続く、日本現代音楽協会の「オペラ・プロジェクト」の第2弾。現代音楽の祖の一人であるシェーンベルクが作曲した《月に憑かれたピエロ》と同じ編成の室内アンサンブルを背景に、ヴォーカル・シンセサイザー、ライヴ・エレクトロニクスを加えた、新感覚の新作モノオペラ2作を上演します。

[フェスタ]フュージョン・アンサンブル(2007年度レジデント・アンサンブル)による現代音楽の異種格闘技大会!!
(4)フュージョン・フェスタ  

制作:松尾祐孝

2008年3月16日(日)
■17:30開場/18:00開演
■洗足学園前田ホール(溝の口)
■全自由席2,000円



左:フュージョン・アンサンブル 
右:チャンチキトルネエド


〈現代の音楽展2008〉レジデント・アンサンブル
フュージョン・アンサンブル
本年度のテーマを音楽展で実現するために「フュージョン・アンサンブル」を編成しました。
メンバーは洗足学園音楽大学の教員演奏家が中心で、洋楽器、邦楽器、電子楽器など、幅広い楽器編成から成り、作曲家たちの壮大な音世界を表現していきます。





「フュージョン・フェスタ」は異種格闘技大会とでも言うべき、あらゆる異分野の組み合わせによる、特別なフェスタ企画です。
“洋楽器と邦楽器”、“生楽器と電子楽器”、“ロックとのフュージョン”、“ジャズとのフュージョン”等、ステージ上だけでなく、客席を巻き込んだパフォーマンスや、ピロティー(エントランス・ロビー)を活用したエレクトロニクス系作品発表を組み合わせた多様性に溢れています。
演奏・楽器・エレクトロニクスについては、洗足学園音楽大学/音楽・音響デザインコース、電子オルガンコース、現代邦楽研究所の全面的な協力を得ています。

▼18:00~オープニング・パフォーマンス on Electronics Stage

[1]Air-Reader/SUI(2008/初演)
多田絵理子(朗読) 大澤真穂・畑木あゆみ(エレクトロニクス)
一人は詩の朗読、その声を他の一人がPCでリアルタイムサンプリングし、もう一人が音響合成を行う。

[2]小野綾子/『坪田宗久』(2007/初演)
坪田宗久(クラリネット)
ブルーススケールの練習中突然怒りだしたメトロノーム。二人のケンカの行く末は…?抱腹絶倒のドタバタ音楽コント!!

▼18:20~フュージョン on Main Stage パート1

[3]竹岡智行/「雨木」日本舞踊とピアノのための(2008/初演)
富田佳乃子・成田和華子(日舞) 首藤健太郎(ピアノ)
現代音楽と日本舞踊による、新しい時間的、そして空間芸術。

[4]田口雅英/邦楽器とCHING-DONG Orchestraの為の「ダンス」(2008/初演)
山口賢治(尺八) 山本普乃(三味線) 染谷京子(箏)
+ チャンチキトルネエド
チンドン音楽のダンス音楽的要素と、邦楽の踊りと関連した要素を融合。チンドン楽器群は客席を練り歩く。

[5]佐藤昌弘/Piano Improvisation(2008/初演)
佐藤昌弘(ピアノ)
「書かれた即興」。1970年代初頭、フュージョン(クロスオーバー)というジャンルが幕開けしたことに因み。

[6]森田泰之進/Ko-chô(三重のフュージョン・和楽器+声楽+舞踏)
(2008/初演)
太田真紀(ソプラノ) 木村英一(ダンス) 野澤佐保子(十七絃)
宮田まゆみ(笙) 佐藤秀嗣(鼓)
声楽と箏の演奏に感化されたダンサーが舞い、逆にダンサーの動きに合わせて演奏者が音を発する。

▼19:30~ティータイム・パフォーマンス on Electronics Stage

[7]斎藤 葉/エオリアン・クイーン(2004, 2008/改訂初演)
斎藤 葉(ハープ、箜篌、音源作成)
ハープ、幻の和のハープ~正倉院復元楽器の箜篌(くご)と、ProTools HDを駆使して制作した音源を融合。

[8]佐藤亜矢子/うてなと(2007/初演)
佐藤亜矢子(音源作成、演奏)
身の回りに存在する具体音を素材としたミュジーク・コンクレートに「自由な」自作楽器演奏をフュージョン。

[9]及川潤耶/複数のスピーカーにより拡張した感覚器官と、想像する空間
(2008/初演)
及川潤耶 (Laptop and Acousmonium)
物音や声、電子音など、硬質で尊い音の世界が、そこに生まれる何かを創造します。

▼21:10~フュージョン on Main Stage パート2

[10]荒井秀仁/Music Palette(2008/初演)
輪彩:小松崎恭子(フルート) 伊藤めぐみ(クラリネット)
内山詠美子(マリンバ) 窪田 翔(ビブラフォン&打楽器)
稲川永示(コントラバス) 荒井秀仁(ピアノ)+チャンチキトルネエド
ジャンルを越えた音楽の融合。

[11]松尾祐孝/〈音・音〉Ⅲ-b(2008/初演)
鈴木俊哉(リコーダー) 宮田まゆみ(笙)
和の管楽器=笙と、洋の管楽器=リコーダーによるフュージョン。

▼クロージング・パフォーマンス 当日のお楽しみ!!***

全公演主催・問合せ:日本現代音楽協会 Tel: 03-3446-3506 
▼チケットお申込の方は-----


下記の内容をメール、FAX(03-34463507)電話(03-3446-3506)でお知らせ下さい。振込先をお知らせし、入金の確認がとれましたらチケットをお送りします(普通郵便での発送は送料無料、書留希望の場合は別途料金がかかりますので事前にお伝え下さい)。

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※就学前のお子様のご同伴・ご入場はご遠慮下さい。
※不可抗力により表記日時の興行を中止する場合以外は他の日時、別種のチケットと交換または払い戻し等は致しません。




過去の演奏会:2007年秋2007年春2006年秋2006年春2005年秋2005年春2004年秋2004年春

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