受けてつないで渡す

2006年度芸術監督:三善 晃

現音に芸術監督が必要かという議論はあると思いますが、一人一人の主体性を尊重する作曲家集団である現音には、責任の枠とかエンブレムとかいった意味でそれがいてもいいと私は考えました。現音の歴史的・社会的・音楽的位置付けという三つの視点の焦点に「現音の命題」が見えてきて、そこには組織の窓枠のようなものがあり、そこを会員は自由に出入りする。枠は「なかに=エン」「投企する=ブレム」というラテン語の「象眼細工」のような役割で、そこにいる。そう考えた次第です。「命題」のなかで、とりあえず、二つばかり提起が…というのは、問題が輻輳しているからですが…あります。

一つは《日本語のリテラシー》ということです。これは湯浅さん、林さん、歴代の監督の提言にも重なりますが、これには大事な前提があります。前提の一は、固有な価値こそグローバルな価値の基だ、ということ。前提の二は、日本語の歌は世界中で理解され愛される価値がある、ということ。この二つを前提に、日本語の文脈を世界に広めてゆきたい、と連なるのが大きな命題の一つ・日本語のリテラシーです。これはひとえに声楽曲のことだけでなく、器楽曲についても言えることです。日本の器楽曲には日本語の感性のパラダイムがあります(独、仏、露、英、伊など、みなそう)。いまやそれを売り込んだり宣伝したりするのでなく、自分で自分の歴史を書いてみようということです。あらゆる芸術はみなローカルだ、という言葉があります。そこから出発するなら、ヨーロッパの古典もアフリカ民族の太鼓音楽も同等です。そこに混じって日本の現代音楽も、真の地域性=固有性を打ち立ててゆきたい、それが世界(性)を創ることになる、というのが命題の一です。

もう一つの「命題」は《日本を紡ぐ》ということで、これも前述と重なりながら問題を輻輳します。前述の視座が外部だったのに対し、こちらは内部に向けられます。その前提認識として、日本人は自己決定をためらう、ということがあります。一言で言えば、「私は私」ということをひとまず避ける傾向があります。この傾向のために、逆説的なことですが、ほんとうの協調をしないことが見受けられます。私はよく「日本人は共同はするが協同はしたがらない」と言うのですが、このことは既に政経の外交面では、日本人という人種の定評になっていますね。これはしかし、21世紀の新しい世代では、通用しない、させたくない事です。現に、色々なことを知りたがっている世代があり、上の世代がそれに応えられない。逆に、ある世代がやりたがっていることに違う世代は関心が無い。両方とも不満で孤独です。この両者をつないで協同させる。とりあえず一つの地域、一つのイヴェント、一つのプログラムのなかで二つの世代を「つなぐ」。そういう時空を拡げ、延ばす。つまり、「紡ぐ」。横糸、縦糸でテキスチュアズを織ることを紡ぐといいますが、私たち作曲家にも、文化のテキスチュアズの媒介になり得る事柄や場面が、たくさんあるのではないか。

輻輳する命題のなかに、色々な課題の具体性が見えてきます。その一つ一つの実践のなかに、私たち現音の存在感もかけられているのでしょう。

[コンクール]織りなす未知の才
(1)第23回現音作曲新人賞本選会
10月21日(土)
■18:30開場/19:00開演
東京オペラシティリサイタルホール
 ▲京王新線初台駅直結
■全自由席2,000円


アンサンブル・ノマド

[1]稲森安太己/無言歌(2006初演)2Fl, Va, Vc, Pf

[2]増田真結/プロブレマティカ(2006初演)Fl, Cl, Vn, Va, Cb, Pf

[3]森 崇博/The grid of time and motion(2006初演)Fl, Cl, Vn, Va, Vc, Pf

[4]赤石直哉/螺旋の行方(2006初演)Fl, Cl, Vc, Pf

第一位受賞者には「第23回現音作曲新人賞」を贈ります。また審査員が特に奨励する作品に「富樫賞」を贈ります。演奏終了後、結果発表、講評、並びに表彰式を行います。

演奏:アンサンブル・ノマド

木ノ脇道元・多久潤一郎[1](フルート) 菊地秀夫(クラリネット) 野口千代光(ヴァイオリン) 甲斐史子(ヴィオラ) 菊地知也(チェロ) 山本修(コントラバス) 稲垣聡[1][3][4]・中川賢一[2](ピアノ) 佐藤紀雄(指揮)

審査員:三善晃(審査員長/日本現代音楽協会2006年度芸術監督) 坪能克裕 福士則夫

[ワークショップ+コンサート]作曲家、演奏家、聴衆がひもとくテクスチュアーズ
(2)器楽アトリエIII
10月22日(日)
■第1部→13:30開場/14:00開演
■第2部→19:00開場/19:30開演
東京オペラシティリサイタルホール
 ▲京王新線初台駅直結
■学生1,500円/一般2,000円
(全自由席)


第1部のワークショップ風景

作曲家+演奏家+聴衆で新作を練り上げ(14:00〜)、コンサートで初演(19:30〜)

[1]中澤久長/収Bach性 II〜ヴァイオリンとクラリネットを伴ったギターとコントラバスのための(2002/2006一部初演)

[2]小林健樹/水無月の雨と海(2006初演)Fl, Guit, Va, Cb

[3]深澤 舞/披瀝の鐘(2006初演)Guit, Va, Cb

[4]門脇 治/連星(2006初演)Guit, Cb

[5]倉内直子/再生の儀式のためのコレオグラフィー(2006初演)Fl/Pic, Cl/B-cl, Guit, Cb

演奏:アンサンブル・ノマド
木ノ脇道元(フルート) 菊地秀夫(クラリネット) 野口千代光(ヴァイオリン) 甲斐史子(ヴィオラ) 佐藤紀雄(ギター) 山本修(コントラバス)

ワークショップ指導:三善晃(日本現代音楽協会2006年度芸術監督) 福士則夫

[室内楽]多様な絲が織りなす作曲の「いま」
(3)アンデパンダン展 第1夜  制作:佐藤昌弘
11月1日(水)
■18:30開場/19:00開演
東京オペラシティリサイタルホール
 ▲京王新線初台駅直結
■全自由席4,000円

〈現音・秋の音楽展2006〉
レジデント・アンサンブル
アンサンブル・アド・ホック
「現代音楽演奏コンクール“競楽”」に入賞、入選した気鋭の演奏家を中心としたアンサンブルです。現代の多様な価値観は音楽の世界も同じ。今を生きる14人の作曲家それぞれの価値観が生み出した自己表現を、アド・ホックが中心となりつむぎます。

▼今回の出演メンバー
永井由比(Fl) 内山厚志(Cl) 木佐貫美保(Va) 多井智紀(Vc) 大須賀かおり(Pf)

[1]森田泰之進/歪率0.618(2006初演)

辺見康孝(ヴァイオリン)

[2]田中範康/Twilight(2006)

武田忠善(クラリネット) ドミトリー・フェイギン(チェロ) 松山元(ピアノ)

[3]仲俣申喜男/ドリュアス・ファンタジー(2005初演)

大熊理津子(マリンバ)

[4]深澤倫子/プリスム〜平義久の追憶に〜(2005-2006初演)

永井由比(フルート) 多井智紀(チェロ) 大須賀かおり(ピアノ)

[5]小山和彦/フルートとピアノのためのバラード(2006初演)

渡瀬英彦(フルート) 大須賀かおり(ピアノ)

[6]遠藤雅夫/〈モアレ I 〉ヴィオラとピアノのために(2002)

木佐貫美保(ヴィオラ) 遠藤雅夫(ピアノ)

[7]岡坂慶紀/フルーティ・サークル(フルート、チェロとピアノのためのトリオ)(1996/2006改訂初演)

木ノ脇道元(フルート) 小川剛一郎(チェロ) 松山元(ピアノ)

[室内楽]多様な絲が織りなす作曲の「いま」
(4)アンデパンダン展 第2夜  制作:佐藤昌弘
11月2日(木)
■18:30開場/19:00開演
東京オペラシティリサイタルホール
 ▲京王新線初台駅直結
■全自由席4,000円


アンサンブル・アド・ホック

[1]くりもとようこ/Perspective(2005)

栗本洋子(ピアノ)

[2]高原宏文/笙のための“アリア”(2006初演)

高原聰子(笙)

[3]糀場富美子/ルブリョフの扉---独奏ヴァイオリンのために(2006初演)

海和伸子(ヴァイオリン)

[4]露木正登/三重奏曲〜クラリネット、ヴァイオリンとチェロのための(2006初演)

内山厚志(クラリネット) 木佐貫美保(ヴァイオリン) 多井智紀(チェロ)

[5]野崎勇喜夫/パーセプション(2006初演)

木佐貫美保(ヴァイオリン) 大須賀かおり(ピアノ)

[6]宮崎 滋/「遠山にかかる白雲は」〜ヴィオラ助奏付きの譚詠(2001)

天田美佐子(メゾソプラノ) 古川原裕仁(ヴィオラ) 宮崎滋(ピアノ)

[7]佐藤昌弘/シネマ(2006初演)

松岡一樹(アルトサックス) 佐藤昌弘(ピアノ)

[ワークショップ+コンサート]受けてつないで渡す----今日から明日へ
(5)童楽IV
11月5日(日)
■第1部→13:30開場/14:00開演
入場無料
ご入場には整理券または
第2部の入場券が必要です


■第2部→15:30開演
全自由席1,500円

東京オペラシティリサイタルホール
 ▲京王新線初台駅直結




音楽づくりのステージ発表風景(イメージ)

▼第1部 14:00開演 子どもたちとプロの音楽家で「音楽づくり・発表会」

音楽大好きな子どもたちと音楽家(作曲家・演奏家・音楽教育専門家)が、作曲家のアイディアを もとにいっしょに音楽づくりをしました。オリジナル作品の発表です。

参加:杉並区立荻窪小学校 管楽器クラブ(担当:山根まどか先生)
文京区立窪町小学校 吹奏楽クラブ(担当:後藤宏子先生) ほか

作曲家:三枝木宏行、佐藤昌弘、坪能克裕、二宮玲子、久田典子、松尾祐孝
演奏家:藤本隆文、村田厚生、ワークショップサポーター ほか


▼第2部 15:30開演 作曲家の作品をプロの演奏で聴く「新世界」

[1]荒尾岳児/波の波(2006初演)

藤本隆文(ヴィブラフォン)

[2]三枝木宏行/"Tuba M ..." pour Trombone solo(2006初演)

村田厚生(トロンボーン)

[3]二宮 毅/洸(2006初演)

藤本隆文(ヴィブラフォン)

[4]佐藤昌弘/モーダル・カプリースII(2006初演)

佐藤昌弘(ピアノ)

[5]松尾祐孝/DISTRACTION VIII for Trombone and Piano(2006初演)

村田厚生(トロンボーン) 小山京子(ピアノ)

[コンクール]羽ばたく明日のつむぎ手
(6)第16回朝日現代音楽賞 現代音楽演奏コンクール“競楽VII”本選会
12月3日(日)
■13:30開場/14:00開演(予定)
けやきホール(代々木上原)
 ▲古賀政男音楽博物館内
■入場無料
■共催:朝日新聞社
■後援:(社)日本音楽著作権協会

日本唯一の無差別級演奏コンクール!
次代の音楽シーンを担う演奏家たちは、1945年以降に作曲された膨大な作品の中から、自分たちの表現に最もふさわしい作品を選び抜き、その作品の魅力と自らを追求します。この時代にある音楽に触れ、本選での聴衆賞の投票に是非ご参加下さい。

第一位受賞者には「第16回朝日現代音楽賞」が贈られます。本選会にて聴衆による投票を実施し、最多得票者に「聴衆賞」を贈ります。演奏終了後結果発表並びに講評を行います。

審査委員
三善晃(審査委員長/日本現代音楽協会2006年度芸術監督/作曲) 甲斐史子(ヴァイオリン/予選) 木村かをり(ピアノ) 小泉浩(フルート) 篠崎史子(ハープ・室内楽) 吉原すみれ(打楽器) 福士則夫(日本現代音楽協会会長/作曲) 水野佐知香(ヴァイオリン/本選)

コンクール日程(すべて公開/入場無料/開始時間は予定です)
第一次予選:2006年11月13日(月)・14日(火)10:30〜
第二次予選:2006年11月19日(日)11:00〜

[特別企画]日本現代音楽協会 創立75周年記念企画 第2弾(連続3回)
●批評家による座談会〜批評家の見た〈現代の音楽展〉1962→2006
10月22日(日)
■18:00開演
東京オペラシティリサイタルホール
■入場無料


〈現代の音楽展〉第1回目と2006年シリーズ

パネリスト:石田一志、上野晃、佐野光司
司会:沼野雄司

1930年の設立以来、長きにわたり作曲家の視点から音楽会を企画・開催してきた日本現代音楽協会。その協会が作曲家の表現を世に問うスタイルのひとつとしてたどり着いたのが〈現代の音楽展〉です。

1962年の初開催から現在に至るまで、日本作曲界の中心にあるこのシリーズを見守り続けた批評家、石田一志・上野晃・佐野光司三氏が、同シリーズから俯瞰する現代音楽の昨今を語ります。

協会70年史「現音小史」(『NEW COMPOSER』にて連載)の著者である沼野雄司氏が司会を務めます。

全公演主催・問合せ:日本現代音楽協会 Tel: 03-3446-3506 E-mail: gen-on@jscm.net
▼チケットお申込の方は-----


下記の内容をgen-on@jscm.netFAX(03-34463507)電話(03-3446-3506)でお知らせ下さい。振込先をお知らせし、入金の確認がとれましたらチケットをお送りします(普通郵便での発送は送料無料、書留希望の場合は別途料金がかかりますので事前にお伝え下さい)。

1.ご希望の公演日:
2.ご希望の枚数:
3.ご希望の席種(一般/学生):
4.お名前:
5.チケット送付先住所:
6.チケット送付先電話番号:
7.チケット送付形態(普通郵便/書留):

※就学前のお子様のご同伴・ご入場はご遠慮下さい。
※不可抗力により表記日時の興行を中止する場合以外は他の日時、別種のチケットと交換または払い戻し等は致しません。




過去の演奏会:2007年春・2006年秋・2006年春2005年秋2005年春2004年秋2004年春

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