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大衆性は必要か2007年度芸術監督:三枝成彰 クラシック音楽とは本来、選ばれたエリートたちのための音楽であった。その歴史を振り返ってみよう。クラシックとはラテン語でクラシクス、すなわち「納税者階級」という意味である。中世、王権国家に税金を納めていたのは特権階級であり、彼らが音楽家たちを庇護し、育てていた。あのバッハもサラリーマンであった。彼らは貴族の要請に従って曲を作り、演奏していたのだ。またそれを聴く聴衆も、教養のある選ばれた人々であった。つまりこの時代の西洋音楽は、芸術を解する人のためにだけ作られていたのである。 ベートーヴェンやモーツァルトのころになると、音楽家は自由業となった。委嘱を受けて作品を書くこともあったが、自分の表現をしたいという欲求が募り、そのために技術を磨き、楽想を練って書くことも多くなる。請け負い仕事をこなす職人から、表現の高みを目指す芸術家への変化である。そしてロマン派になると表現への欲求はさらに高まり、おのが芸術によって世に認められたいと思うようになる。作曲家は今まで誰も聞いたことのない音楽を作ってやるという意気込みで作品に奇抜な趣向を凝らしていったが、自分のやりたいことをつきつめた結果、それを金に換えることができた者とできなかった者がいた。 そして20世紀。音楽家に試練が訪れる。進みすぎた芸術性はそのコンセプトを理解できない聴衆を置き去りにした。その結果、音楽を作って生活を成り立たせることが難しくなる者も出てきた。そこで芸術の追求を重んじながら、作品を売る以外の方法で生活を成り立たせるための手段として、バルトークやシェーンベルクらは大学の教授になる道を選んだのである。 1945年の第二次世界大戦終結後、ポップスがマーケットにおいて大きなシェアを獲得していくに従って、それを支持する大衆が文化の担い手となってゆく。ポップスの世界に芸術性を追求する者は少ないうえ、なおかつ「著作権」という名の魔物の出現によって、売れるもの(大衆性のあるもの)を作ることが重要視されていった。この大衆性と芸術性の乖離を、芸術音楽=クラシックの作り手である私たちはどうとらえるか? 誰しもがそれに日々悩み、答えを探していることと思う。ここまで全世界に浸透したポップスの影響力を取り除くことは、今さらできない。だからといってクラシックの存在意義が失われたわけでもないだろう。私としては、クラシックを愛好する人はもはや人口の1パーセントしかいないのではないかと考えている。もう一度、芸術家としてのマインドを持って、その1パーセントの人たちに理解され共感を得るものが作れれば、それでいいではないだろうかと。何でもありの時代となった今、「クラシック音楽とは何か?」という大きなテーマに答えを出すには、自分なりの方法で一生かけて取り組むしかないと思っている。 |
| [合唱]合唱表現の新たな領域へ向かって- 田中信昭がワークショップから創り上げる合唱の醍醐味 | |
| (1)現代合唱の領域Ⅱ〜田中信昭 第15回朝日現代音楽賞受賞記念演奏会 制作:山内雅弘 |
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| 2008年2月17日(日) ■13:30開場/14:00開演 ■東京文化会館小ホール ▲JR上野駅公園口前 ■全自由席3,000円 |
[1]森田泰之進/うたのはじまり、ことばのはじまり [2]山本純ノ介/無伴奏合唱組曲Ⅱ番 Panta rei [3]一柳 慧/鎮魂歌[詩:木原孝一](1985) [4]松平頼曉/Le Tombeau de Olga Brodsky[詩:松井 茂](2007/初演) [5]小鍛冶邦隆/銀色夏生の詩による混声合唱のための《マドリガルⅣ》(2007) 【指揮】田中信昭
今回も多様なスタイルの意欲的な作品が並びました。 4つの気鋭の合唱団とのコラボレーションも興味を惹 きます。田中氏の適確な解釈によって、合唱表現の新 たな可能性を実感されることでしょう。 |
| [オーケストラ]現音がオーケストラを創った☆ コンミスは甲斐史子(ROSCO/第12回朝日現代音楽賞受賞) |
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| (2)響楽Ⅱ〜若手演奏家&音大生オーケストラによる現代作品ワークショップコンサート 制作:夏田昌和、松尾祐孝 |
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| 2008年3月3日(月) ■18:30開場/19:00開演 ■紀尾井ホール(四ツ谷) ■全自由席2,000円 |
[1]高嶋みどり/管弦楽のための〈揺りかごの宇宙〉 (2007/初演) [2]小林 聡/フルート協奏曲 (2007/初演) [3]山本繁司/サウンドスペース〜オーケストラのための (2007/初演) [4]松岡貴史/オーケストラのための〈メーロス プネウマトス〉 (2007/初演) [5]水野みか子/蜃気楼消えなば宿るところなし (2007/初演) 【指揮】松尾祐孝(作曲家/洗足学園音楽大学教授) 【演奏】響楽オーケストラ2008 【協力】国立音楽大学 洗足学園音楽大学 1991年の〈東京現代音楽祭〉で開催した「響楽」は、小学生オーケストラが暗譜で現代作品を演奏するなど、鮮烈なイメージを残した企画でした。 |
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