6月 21

現音室内オケピアニスト兼重稔宏さん会員作品を演奏!


兼重稔宏 Toshihiro Kaneshige

兼重稔宏 Toshihiro Kaneshige

 

 

現音事務局———7月12日にカワイで開催するチャリティコンサートで、バッハやクルタークと共に日本の現代作品を演奏されるそうですね。今回の企画趣旨やプログラムについてお話頂けますか?

 

兼重稔宏:今回の企画は一昨年、東京芸大の同級生の浜野与志男と二人で始めたもので今回は第3回目です。「現代の作曲家の作品を演奏すること」と「収益金を2008年に私が滞在したバングラデシュのNGO、PAPRIに収益金を寄附すること」を二本柱にして様々な表現の形を模索しています。今年はいわゆる「ピアノリサイタル」という形式を選びましたが、昨年は美術を専門とする方々と共に表現することができてとても愉しかったです。

プログラミングについてですが、まず、楽譜屋さんで多くの作曲家のバッハをモティーフとして書かれた作品が収められている楽譜(PIANO 2000)を見つけたところが始まりでした。「面白そうだなぁ」と思いその場で購入し、家でほとんどすべての曲を弾いてみたのですが、その中でも特に南先生と金子先生の作品が心に響きました。

その2曲を決めた後、この作品と一緒に演奏したいバッハの作品を考えているうちに自然とこの2曲の前奏曲とフーガ(平均律クラヴィーア曲集、一巻第22番と二巻第4番)が浮かび上がってきました。そして最後に以前から弾きたいと思っていた湯浅先生の作品を今回こそ弾こう!と。要するに今弾きたい曲を並べてみたわけです(笑)。いろいろな意見があると思いますが、今の私にとっては無意識的に決められたプログラムの方が、いろいろと考えて、ある意味観念的に決めたプログラムよりも流れが良い場合が多かったり、作品を通して今の自分自身について知ることができ、よりよい演奏に繋がるような気がします。

 

———兼重さんは、2010年に日本現代音楽協会が結成した「JSCMユース・チェンバーオーケストラ」のメンバーでもあり、旗揚げ公演となった「室内オーケストラの新地平」で南、湯浅両会員の作品を演奏して頂きましたが、その時の印象は如何でしたか?

 

まず私の楽器がピアノということもあり、協奏曲以外ではオーケストラのなかに入って演奏した経験がなく、指揮者の先生方や共演者の皆さんにご迷惑をおかけしたなぁという思い出があります(苦笑)。そして現代音楽の中心で活躍なさっている方々と直接お話をし、一緒に演奏することができてたことはとても勉強になりました。

お二人の作品そのものについての印象は、言葉では言い表せないものが一番大きいと思います。ですが、とにかく両作品ともにとても好きな作品です。

本番の演奏中に感じたことを振り返ってお話させて頂くと、南先生の作品は一番自由な気持ちで演奏できたこと、湯浅先生の作品はなんだかこう「血が騒ぐ」感覚があったことをよく覚えています。とくに終曲は。

 

———今回の企画は、ピアノを学んでいる方やクラシック愛好家の方に、現代の新しい作品を聴いてもらえる良い機会だと思うのですが、なかなか聴衆に届きにくいと言われる現代の作品を演奏する際に、心がけていることはありますか?

 

うーん、これはどの時代の作品を演奏するにあたっても言えることだと思いますが、それぞれ作品の持つ固有のスタイルや語り口や美感、音の裏にある「何か」を読み取り正確に伝えたいと考えています。そしてそういったプロセスを経たあとは、なんというか、音から自由になって色々なものを開放することができたらいいな、と感じています。最終的には音に帰結するわけですし、うまく言葉にはしにくいのですが・・・。

まだまだ経験が浅いのでなんとも言えませんが、まず演奏者が「現代の作品」という先入観を取り払って真っ白な心で作品に触れた方が、最終的にはお客さんにも作品に内包された世界が伝わるのではないのかなぁと思っています。

 

———なるほど「先入観を取り払って真っ白な心で」ですね! それでは最後に、今後の活動予定や、実現させたいと思っている企画等があれば教えて頂けますか?

 

今後は伴奏や室内楽のリサイタルがいくつかあります。自主企画としてはまた来年このシリーズを実現させたいと考えています。

また、私自身が社会学を学んでいるということもあり、なんらかの形で社会にアプローチするような演奏会は一生続けていきたいと思っています。

あと、夢のような話ですが将来「フォルテピアノでモーツァルトを弾いて、そのあとにモダンのピアノで湯浅先生の作品、バッハをチェンバロで弾いて最後にバルトークを1900年くらいに作られたピアノで演奏する。」みたいな演奏会ができたらどんなに楽しいだろう!と思います・・・。が、とにかく今はそんな夢が実現できるようにしっかり勉強したいと思います。

 

———とても楽しみです! 本日はありがとうございました!

 

兼重稔宏 Toshihiro Kaneshige(ピアノ)

三重県津市出身。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校を経て、同大学在学中。ピアノを上野真、渡辺健二、エヴァ・ポヴォツカ、コンスタンティン・シチェルバコフの各氏に、室内楽を松原勝也、松本和将の各氏に師事。P.バドゥラ=スコダ、F.ビディーニ、J.デームスによるピアノのマスタークラス、A.チェッカート氏による指揮法のマスタークラスを受講。また、社会学を岡田徹氏に師事。エンガディン音楽祭(2009年,スイス)や日本現代音楽協会80周年記念事業(2010,年東京)などの音楽祭に出演。また、浜野与志男(pf)と共にバングラデシュ公認NGO、PAPRIに寄附する事を目的としたチャリティーコンサートを連続開催(2009~2011年,東京)。これまでにポーランド国立クラクフ室内管弦楽団、セントラル愛知交響楽団と協演。また、室内楽分野においても新日本フィルハーモニー交響楽団のメンバーとの共演(2010~2011年)を始めとして多数の演奏会に出演している。

 

第3回 グローバル・パートナーショップ・コンサート

J.S.バッハ/幻想曲とフーガ イ短調 BWV904
J.S.バッハ=S.ラフマニノフ
/組曲(ヴァイオリン・パルティータ第3番 ホ長調 BWV1006による編曲作品)
J.S.バッハ=F.ブゾーニ
/シャコンヌ
演奏:浜野与志男

J.S.バッハ
/平均律クラヴィーア曲集第I巻 より 前奏曲とフーガ 第22番変ロ短調、第24番ロ短調
湯浅 譲二
/Melodies for Piano
南 聡
/ジグザグバッハ
金子 仁美
/フーガの方法』
演奏:兼重稔宏

G.クルターク
/怒りのコラール、鐘 ~スタラヴィンスキーの追憶に~、キリエ ほか
J.S.バッハ=G.クルターク/
教理問答書コラール『深き苦しみの淵』より、我汝を呼ぶ ほか
一台四手連弾

 

▼現在ヨーロッパ渡航中の兼重さんより写真付きメールを頂きました!

ドイツのトーマス教会

バングラデシュにて

到着日に撮影したライプツィヒのトーマス教会です。レッスンを受けるという名目でバッハ音楽祭とビールを堪能中です(笑)。これからベルリン、パリ、そしてヘルフォルトというドイツの北西に位置する小さな街にいく予定です。写真が趣味でいつもモノクロ写真ばかり撮っています…。ちなみにもう一枚は演奏会の収益金を寄附させて頂いているバングラデシュのNGO、PAPRIの近くで2008年に撮影したものです(兼重)。