8月 08

EPCoMワークショップ小学校訪問レポート


現代音楽教育研究プログラム研究部会長:松尾祐孝

皆さん、EPCoMってご存知ですか。Educational Program of Contemporary Musicの頭文字で、当協会の現代音楽教育プログラム研究部会の略称として使っています。新しい創造教育を研究・実践・普及していく部会です。昨年度に続いて、今年度も川崎市下の某小学校の授業にお邪魔をして、「音楽づくりワークショップ」を実施する活動を展開しています。去る6月下旬から7月初旬にかけて、2年生5クラスの各2回ずつの授業を行なってきましたので、簡単にレポートいたしましょう。

[実施概要]

今回参加メンバーは、私=松尾祐孝(ワークショップリーダー)と、EPCoMメンバーや音楽教育プログラムに関心の有る若手の作曲家や演奏家の方々で、都合のつく日に駆けつけてくださいました。  [1回目] アイスブレイク(全員で輪になって)~手拍子応答~声や身体表現も交えた応答~簡単なパターンの反復による即興の提示~「パターンとドローンで音楽づくり」予備実践(4グループに別れて:各ブループにサポーターが参加)~まとめ(次回は自分の楽器や音を持ってきても良いことを示唆)

[2回目] アイスブレイク(全員で輪になって)~自分の楽器や音も活用して個別の応答~テーマ再確認「パターンとドローンを使って“夏のイメージ”の音楽を創ろう!」&ヒントの提示「問いと答え」(応答性)「繰り返し」(反復生)~実践第2回(4グループに別れて:各ブループにサポーターが参加)~相互鑑賞会(4グループをそれぞれのステージを鑑賞)~まとめ(鑑賞との連系の示唆)

このような進行で、各クラスとも楽しく盛り上がりました。サポーター初体験の若手音楽家の皆さんも洞察力と音楽性を遺憾なく発揮して、見事に生徒達をリードしていました。現代邦楽研究所の山口賢治さんが毎回参加して尺八の音色も披露してくださったことで、生徒達の音に対する興味がとても高くなったように感じました。

[感想]

専門的訓練を受けていない一般の小学生との音楽づくり体験は、いつも新鮮な体験になります。「人間の持つ根源的な表現欲求と先入観に全く捕われない表現方法の刺激的な出会いが、世界で一つの自分たちの音楽ステージを生み出していく様」は正に芸術創造の原点であると、あらためて感じ入りました。昨年度から始ったこのプロジェクトですから、今回の2年生は昨年度後半の1月に一度「音楽づくり」を経験していた訳です。その分、自分達が何をしようとしているのかという意識が、昨年度よりも向上していました。2年生でも、サポーターのアドヴァイスが多少は必要ですが、「パターンとドローンの組み合わせで音楽を創る」というかなり高度な抽象的な思考の入り口には立てると言う感触を得ることができて、我々にとっても貴重な比較研究の機会となりました。2学期には、3年生と1年生でも実践を行う予定なので、それに向けての内容の策定が、EPCoMのこの夏の課題になります。

そこで、8月25日に<WSLの会>を開催することにしました。詳細は、近日中にこのブログでも発表します。現音の会員以外の方でも、こういった活動に興味の有る方でしたら参加は大歓迎ですので、どうぞ後続の記事のチェックしてください。

皆さん、どうぞ良い夏をお過ごしください。

 

[追記]

私=松尾は、更に7月初旬に沖縄方面の学校を巡って「音楽づくり研修会」を行なってきました。石垣島や南大東島の小学生や中学生、そして先生方と、「音楽づくり」を通じて創造的で楽しい交流の時を持つ機会を得ました。関連記事を私の個人ブログにアップしていますので、併せてご覧ください。(現音HPの役員・会員一覧の私の名前をクリックするとジャンプできます)

最後に、沖縄の大自然を感じていただける写真をアップしておきましょう。

石垣島・竹富島周辺のサンゴ礁と海と空 

南大東島のどこまでも青い海と空

南大東島のサトウキビ畑と大きな空

南大東小学校・中学校の入り口の風景

8月 03

新連載!福士則夫のチビテッラ日記


本日から毎週水曜日、全13回にわたって、現音副会長の福士則夫による「チビテッラ日記」を連載致します!


●第1回「飛行機に乗るゾ!!」

はじめに—–

2008年、出来ればあまり乗りたくない飛行機に搭乗してしまいました。なぜならイタリアのローマより北東、ウンブリア地方にある15世紀中ごろに建てられた城で60日間過ごせるという、願ってもない依頼が飛び込んできました。スイスのマダムが芸術家の集う拠点にと、私財を投じて買い取ったもので、1年を春から四期に分けて小説家や詩人、画家、陶芸、染色、作曲、映像作家など、もの作りの芸術家たちを対象に招聘し、食事つきの自由な生活を提供しています。「話」も「飛行機」も乗らない訳は有りません! 以下はその時の日記です。少し長いのですが気楽に読んでいただければと思います。(福士則夫)

福士日記1-1

イタリアへ行く機内で何故かフランス語を勉強中

2008年6月、チビテッラ・ラニエリ財団からの招聘を受け、久々にイタリアの地に足をおろしたのは留学時代に小旅行して以来30年数年ぶりである。

6月17日午後7時、まだ明るいローマ空港に到着してから、日常会話程度のフランス語しか話せない一人の東洋人の戦いが始まる。空港で、インフォメーションで、バス停留所で、ホテルフロントで、朝食のビュッフェで、交通整理の婦人警官に対してでさえ当たり前なのだが此処はイタリア、フランス語で話しかけても首をすくめるだけ。目の前を絶え間なく人は流れているにもかかわらず何故かフリーズしてしまったような孤絶感を味わいながら。

そもそもイタリアでフランス語を話そうとする発想自体がおかしいのであるが、想定していた異国での言語のハードルは想像を絶して高かった。遠く高く真っ青に晴れ渡った空の下、今にも相手に噛み付きそうに追いつめられた顔つきの東洋人に、自分の貴重な時間を消費させたくないと思ったかどうか、バス乗り場の場所さえいい加減な答えに振り回され右往左往しながら出発5分前でようやく正しい答えを貰えたのは、観光バスの大きな窓ガラスをモップで清掃していた年配の渋いイタリア人が指し示す指先。すぐにでも出発しそうなペルージャ行きの長距離バスSulgaに飛び乗り、ギアを入れて発進する運転手にもう一度行き先を確認。

福士日記1-2

出発直前のペルージャ行きの長距離バスに飛び乗る

途中大きな街を通ったがそれが多分ローマ市内なのだろう。空港から延々3時間半以上かかけて終点のバス停前で降りると、NORIOと書かれたボール紙を持って出迎えてくれた世話役のディエゴは、英語・フランス語・スペイン語の堪能な坊主頭の陽気なイタリア人で、詩人。ようやくペルージャの地まで辿り着いて、初めて人間としての心が通ったような感覚に、思わず感激する。(つづく)

福士日記1-3

ローマの松は下半身が寂しい

★次回「孤独な生活」予告

外見埃だらけの車に乗り込むと、去年の招待者であったソウメイ(佐藤聰明)を知っているかと早速聞かれる。車窓から見る風景は石造りの町並みから田園風景に変わり、オリーブ畑が左右にうねって見える…

更新は8月10日(水)です。お楽しみに!

7月 28

第28回現音作曲新人賞入選作決定


審査員長:近藤譲

審査員長:近藤譲

7月6日(火)午後7時より日本現代音楽協会事務所に於いて、近藤譲審査員長、野平一郎・山本裕之審査員による譜面審査が行われました。厳正な審査の結果、4作品が新人賞候補作品に選ばれました。
11月24日(木)東京オペラシティリサイタルホールにて行われる「世界に開く窓~古往今来(第一部:第28回現音作曲新人賞本選会/第二部:世界に開く窓)に於いて、演奏審査により新人賞受賞作を決定します(18時開演予定)。

■入選作(五十音順)

旭井 翔一(Shoichi ASAI)
《水曜日の夢》(2011)[編成:Fl, Ob, Db]
1988年福井県生まれ。東京芸術大学音楽学部作曲科に在籍中。野平一郎、土田英介、徳永崇、篠田昌伸の各氏に師事。

酒井 信明(Nobuaki SAKAI)
《Nana》(2008)[編成:Picc, Vn, Bsn]
1976年兵庫県生まれ。大阪芸術大学音楽学科を経て京都市立芸術大学音楽学部作曲専攻を卒業。松永通温、中村典子の各氏に師事。

渋谷 由香(Yuka SHIBUYA)
《Six Landscapes in Unequal Temperament 2》(2011)[編成:Vn, Va, Vc]
1981年生まれ。東京芸術大学大学院修士課程修了。現在同大学院博士後期課程に在籍中。第19回京都芸術祭新人賞受賞。

松浦 伸吾(Shingo MATSUURA)
《霧中の紅》(2011)[編成:2Vn, Pf]
1979年生まれ。大阪音楽大学音楽学部作曲学科を経て同大学大学院音楽研究科作曲専攻修了。近藤圭、久保洋子の各氏に師事。

7月 01

打楽器作品募集!


創立80周年記念事業の一環として開催する「宮本妥子パーカッションリサイタル」の演奏曲目を広く公募します。首都圏外での現代音楽の更なる展開を目指し京都で開催。最優秀作品は東京での再演も予定しています。締切りは8月末日。詳細は下記をご確認ください。

▼募集要項pdf版はこちら
http://www.jscm.net/form/miyamoto.pdf

宮本妥子

打楽器:宮本妥子

 

 

 

7月 01

創立80周年記念事業実行委員会より皆様へのお知らせ


去る5月21日に当協会の総会が開催され、今年度の事業計画や予算が承認されました。東日本大震災と原子力発電所事故という、未曾有の事態の中での年度替わりの中で、不透明な社会環境ではありますが、1930年の新興作曲家連盟として発足して以来、昨年で創立80周年を迎えた当協会は、2010~11年度の2年間を創立80周年記念事業と位置づけて、様々な企画・事業を展開しています。

お陰様で2010年度事業は無事に実行することができ、JSCMユース・チェンバー・オーケストラの旗揚げ公演や関西公演を含めた多彩な内容に対して、各方面からの高評を得ることもできました。

そしていよいよ、2011年度の事業企画を発表する段階になりました。既に、関西企画や現音作曲新人賞については、ホームページ等で応募要項等が発表されていますが、更に会員外・一般の方も出品可能な企画を準備しています。記念事業シリーズのファイナル・クライマックスとなる〈協創ー新しい音楽のカタチ~軌跡と未来〉と題した2days公演を、2012年1月21日(土)22日(日)に浜離宮朝日ホールを拠点として開催します。

▼室内楽1
Fl.2.Ob.(内1E-hr可能)Cl.Bsn.Rec.内の編成による独奏から6重奏作品。自己負担で編成追加可、ただしpfの使用は不可。

▼コンピュータ音楽
以下の何れかの作品。何れもプロジェクター(映像)は使用可。再生は2chまたは4ch。
(a) エレクトロ・アコースティックのための作品(テープ作品)
(b) ソロ楽器または声とエレクトロ・アコースティックのための作品
(c) ソロ楽器または声とコンピュータのための作品
(d) パフォーマ(原則一人)とコンピュータのための作品

▼ヴォカル・アンサンブル展
基本編成(sop.3 alto.3 ten.3 bar.3)内の4~12人の声楽作品。ピアノ使用不可。任意の伴奏楽器の設定は自己負担で可。演奏はVox Humana。

▼ピアノ・デュオ展
ピアノ2台の作品、2台ともに内部奏法は可。プリペアドは要相談。演奏は”ピアノ・デュオ・ドゥオール”(白水芳枝&藤井隆史)と”瀬尾久仁&加藤真一郎デュオ”。

▼室内楽2
弦楽四重奏(2Vn.Va.Vc.)+Pf.の範囲内で二重奏~五重奏作品。ピアノは内部奏法可。プリペアドは要相談。任意の楽器の追加は要相談。

以上の5カテゴリーにわたって、出品者(作品)を募集しています。応募は無料ですが、出品・選曲が決まった場合、所定の出品料をお支払いいただきます。詳しい情報は、当協会事務局までお問い合わせください。

日本現代音楽協会事務局 tel:03-3446-3506(平日10時~17時)

出品希望者の受付締めきりは、8月末(2011年8月31日)スコア(作品)提出厳守です。興味のある方は、まず事務局までその旨ご連絡ください。推薦楽器編成や出品料等の詳しい情報を提示いたします。締切後に、応募人数等の状況を勘案しながら、出品者の確定に進んでいきます。選曲は、実行委員会と理事会で行ないます。

私ども実行委員会では、「新しい音楽のカタチ」を発信する、新鮮で意欲的な作品の誕生を期待しています。どうぞ奮ってご応募ください。

松尾祐孝(創立80周年記念事業実行委員会・実行委員長)