EPCoMワークショップ小学校訪問レポート

現代音楽教育研究プログラム研究部会長:松尾祐孝

皆さん、EPCoMってご存知ですか。Educational Program of Contemporary Musicの頭文字で、当協会の現代音楽教育プログラム研究部会の略称として使っています。新しい創造教育を研究・実践・普及していく部会です。昨年度に続いて、今年度も川崎市下の某小学校の授業にお邪魔をして、「音楽づくりワークショップ」を実施する活動を展開しています。去る6月下旬から7月初旬にかけて、2年生5クラスの各2回ずつの授業を行なってきましたので、簡単にレポートいたしましょう。

[実施概要]

今回参加メンバーは、私=松尾祐孝(ワークショップリーダー)と、EPCoMメンバーや音楽教育プログラムに関心の有る若手の作曲家や演奏家の方々で、都合のつく日に駆けつけてくださいました。  [1回目] アイスブレイク(全員で輪になって)~手拍子応答~声や身体表現も交えた応答~簡単なパターンの反復による即興の提示~「パターンとドローンで音楽づくり」予備実践(4グループに別れて:各ブループにサポーターが参加)~まとめ(次回は自分の楽器や音を持ってきても良いことを示唆)

[2回目] アイスブレイク(全員で輪になって)~自分の楽器や音も活用して個別の応答~テーマ再確認「パターンとドローンを使って“夏のイメージ”の音楽を創ろう!」&ヒントの提示「問いと答え」(応答性)「繰り返し」(反復生)~実践第2回(4グループに別れて:各ブループにサポーターが参加)~相互鑑賞会(4グループをそれぞれのステージを鑑賞)~まとめ(鑑賞との連系の示唆)

このような進行で、各クラスとも楽しく盛り上がりました。サポーター初体験の若手音楽家の皆さんも洞察力と音楽性を遺憾なく発揮して、見事に生徒達をリードしていました。現代邦楽研究所の山口賢治さんが毎回参加して尺八の音色も披露してくださったことで、生徒達の音に対する興味がとても高くなったように感じました。

[感想]

専門的訓練を受けていない一般の小学生との音楽づくり体験は、いつも新鮮な体験になります。「人間の持つ根源的な表現欲求と先入観に全く捕われない表現方法の刺激的な出会いが、世界で一つの自分たちの音楽ステージを生み出していく様」は正に芸術創造の原点であると、あらためて感じ入りました。昨年度から始ったこのプロジェクトですから、今回の2年生は昨年度後半の1月に一度「音楽づくり」を経験していた訳です。その分、自分達が何をしようとしているのかという意識が、昨年度よりも向上していました。2年生でも、サポーターのアドヴァイスが多少は必要ですが、「パターンとドローンの組み合わせで音楽を創る」というかなり高度な抽象的な思考の入り口には立てると言う感触を得ることができて、我々にとっても貴重な比較研究の機会となりました。2学期には、3年生と1年生でも実践を行う予定なので、それに向けての内容の策定が、EPCoMのこの夏の課題になります。

そこで、8月25日に<WSLの会>を開催することにしました。詳細は、近日中にこのブログでも発表します。現音の会員以外の方でも、こういった活動に興味の有る方でしたら参加は大歓迎ですので、どうぞ後続の記事のチェックしてください。

皆さん、どうぞ良い夏をお過ごしください。

 

[追記]

私=松尾は、更に7月初旬に沖縄方面の学校を巡って「音楽づくり研修会」を行なってきました。石垣島や南大東島の小学生や中学生、そして先生方と、「音楽づくり」を通じて創造的で楽しい交流の時を持つ機会を得ました。関連記事を私の個人ブログにアップしていますので、併せてご覧ください。(現音HPの役員・会員一覧の私の名前をクリックするとジャンプできます)

最後に、沖縄の大自然を感じていただける写真をアップしておきましょう。

石垣島・竹富島周辺のサンゴ礁と海と空 

南大東島のどこまでも青い海と空

南大東島のサトウキビ畑と大きな空

南大東小学校・中学校の入り口の風景