卑弥呼とホームズのヴァイオリン事件簿〜第16回「卑弥呼のネット活用」

こんにちは! ヴァイオリン弾きの卑弥呼こと原田真帆です。季節はグリーティングシーズン。わたしは昨年の冬はいられるだけ日本で過ごしたので、今年はロンドンのクリスマスを体感してみました。

今日はわたしのインターネットの運用に関する持論について、綴ってみたいと思います。

 

 

 

わたしはもともとパソコンを触るのが好きで、物心がついたころには父の仕事用のパソコンに入っているウィンドンズのピンボールやドローイングソフトで遊んでいたものでした。まぁ家に一台パソコンがほしかったタイミングだったからと思うのですが、わたしの5歳の“誕生日プレゼント”はかの初代 iMac。社会的ブームを巻き起こしたスケルトンボディのスタイリッシュさは今もって鮮明に覚えています。なお5歳児は iMac の段ボールに入って遊べたものでした。

そのためPCの操作をすることに関してはわりと“英才教育”で、また自分としても関心が高かったので、学校の授業でワードやエクセルの使い方を教わったときにはぐいぐいと覚えました。けれどもインターネットの世界に籍を置いたのはそれに比べて遅めです。中学時代までネットは閲覧に限り、何かのサービスに登録したり、発信をすることはしていませんでした。

初めてネット上で発信をしたのは高校生になってから。中学時代には趣味で小説を書いていて周りの創作好きの友人たちに読んでもらっていましたが、高校進学を機にそういった友人たちと離れてしまったので、小説を読んでもらえる場所がほしくて当時大盛り上がりのケータイ小説の世界に足を踏み入れます。まぁケータイ小説界には今も籍がありますが、ヒットしたことはありませんし近年はほとんど手がつけられていない状況です。

そして高校時代にはミクシィが大流行していたので友人に勧められて登録。それが実質初めて「素性を明かした」発信だったと思います。でも当時は実名でのネット上の発信に関してはわりと消極的でした。

転機は大学1年生。実は「競楽」に出場したときのことです。大学進学と同時に本名のTwitterアカウントも開設しましたが、さほどオフィシャル感もなく運用していました。しかし「競楽の本選に出ます」というツイートがゲンオンの「中の人」にリツイートされたのを機に、本選を聴いてくださった方がフォローしてくださり、そのあたりからSNS運用に関する意識が変わりました。

さらに大学2年生のときに、あるサイト上でコラムを書く機会をいただいたのを機に、編集者さんとの連絡のためにフェイスブックを始めました。コラムの宣伝をする中で、TwitterでもFacebookでも「知らない方」が「イイネ」してくださる機会が増え、SNSをどうやったらより活かしていけるだろうかと考えるようになりました。

そしてあまりハッピーな思い出ではありませんが、大学2年生の冬に「バズ」と「炎上」を経験します。何気ないひとつのツイートが2万リツイートされ、概ね賛同の方が多かった様子ですが、少なからずアンチコメントが飛んできてちょっと怖い思いをしました。けれどこのときに肌感覚で「どんな言葉がネットで反響が強いのか」「悪い反響が来そうな言葉は何か」少しわかるようになりまして…。

以来、それまで意識していた「失礼なことを言わない」「人を貶めることを言わない」ことだけでなく、「はやる言葉はやらない言葉」も考えて発信するようになりました。その後webライティングの世界に少し身を置いているため、webの発信力があるライターさんやブロガーさんの存在を知り、そういった方々の発信の様子から学んだりしています。

音楽家にしてはちょっぴりそういったことに強いので、近年は友人から「SNSをどう活用したらいいか教えてほしい」と言われます。特に今の人は「SNSの発信もがんばらなきゃ」というプレッシャーもあるかもしれません。

ロンドンに来てからびっくりしましたが、イギリス人はネット大好きなので、店という店がSNSをフルセットで開設していることが非常に多く、音楽家も若いうちからホームページを作って演奏動画を載せている人がたくさんいます。そんな環境に影響されて、わたし自身、ネット発信に関しては日本にいるときよりも現在のほうが手広く取り組んでいます。

FacebookにTwitterにInstagram、あるいはホームページにYouTubeにブログ…いろいろありますから、これらを全部回すのなんて大変です。これを言ってしまったら終わりですが、好きでないとすべてはやっていられないと思います。わたしは結局パソコンを操作することが好きなので、あれもやってみたいこれもやってみたいという好奇心から運用している節があります。

でもそれもこれも、わたしにとってはTwitterというホームがあったからできたように思います。はじめのうちせっせと発信していたのはTwitterだけでしたが、そこである程度フォロワーがついたから、ほかのSNSでの動きをTwitterに流せば併せて見てもらえるようになりましたし、今もわたしが使っているSNSの中で一番投稿の反響が素早く大きいのはTwitterです。

まずは何かひとつに集中して取り組むことで、SNSを運用してどんな反響が得られるかという感覚を養うことができるのではないかと思うんです。その「何かひとつ」は、みんなが使うから、みんなが見るから、という理由は抜きに、自分にもっともあった媒体を選んで良いと思います。

ここからはわたしの独断と偏見ですが。

たとえば複数人で食事に行ったときに、店員さんを「すみませーん」と呼べる系の人はFacebookが向いている気がします、なぜなら人々の前で大きめに声を張ることに耐えられるからです。ちなみにわたしは呼べません。でもわたしはみんなのオーダーをまとめて店員さんに伝えるのが得意です。そんな人はきっと140字に収めて発信する必要のあるTwitterが良いのです。

大皿料理が来たときに取り分けてくれる系の人は、きっとみんなのお皿にまんべんなく具を振り分けていきますよね。視覚的センスが強いのではと想像されるので、もしかしたら独自のアングルで日常を切り取ってInstagramに載せていくことに適性があるかもしれません。でもそんな食事の様子を逐一撮影するマメさがあって、解散後にLINEグループのアルバムにまとめてアップしておいてくれる系の人は絶対ブログを書いたほうがセンスが光ると思います。

わたしの場合、昔は絶対に店員さんを呼ぶことができなかったのですが、少しは大人になったのでもちろん最近はなんとか呼ぶことができます(やはり声は張れないので目で訴えますが)。それと同じで、もちろんFacebookでもウケを狙った投稿はしようと思えばできますが、そこまでヒット率は高くなく、やはりTwitterのほうが確実に反響は狙えます。これはもう向き不向きの話だと思うので、無理をしようとは思いません。

でも向き不向きを超えて重要なことがひとつあります。SNSをヒットさせるためには、コンスタントな投稿、もうこれに勝る“必勝法”はないと思います。ブログをどうしたらもっとたくさんに人に読んでもらえるだろうか、と言う人ほどあまり更新していない気がします。わたしですか? 実は最近ブログをかなりサボり気味なのです。そう、さきほどの言葉には注意書きが必要です、「自戒を込めて」とね…!

そろそろ重くなった腰を上げて、1年を総括するようなブログでも書きましょうかね。今年もお世話になりました。どうぞみなさま良いお年をお迎えください!

 

 

maho_harada文・絵:原田真帆
栃木県出身。3歳からヴァイオリンを始める。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校を経て、同大学音楽学部器楽科卒業、同声会賞を受賞。第12回大阪国際音楽コンクール弦楽器部門Age-H第1位。第10回現代音楽演奏コンクール“競楽X”審査委員特別奨励賞。現代音楽にも意欲的に取り組み、様々な新曲初演を務める。オーケストラ・トリプティークのメンバー。これまでに萩原かおり、佐々木美子、山﨑貴子、小川有紀子、澤和樹、ジェラール・プーレ、小林美恵の各氏に師事。現在英国王立音楽院修士課程2年在学中、ジャック・リーベック氏のもとで研鑽を積んでいる。